あらすじ
妄想に囚われ、妻の浮気を責める夫マサヨシ。単純な嫉妬と見える振る舞いには、本人も気づかぬ深層心理が絡んでいた――。地道な調査とカウンセリングを武器に、家庭裁判所調査官は家族問題の現場へ踏み込む。誰にも起こる感情転移、知的エリート女性の挫折と暴力、「家族」代わりの薬物使用、「家族神話」のダークサイド……。十八の家庭に巣食った「しがらみ」の正体を明かし、個人の回復法を示す実例集。
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Posted by ブクログ
あえてカテゴリーを「コンサルティングのノウハウ」としました。
家裁調査官、というお仕事があります。離婚や少年犯罪が起きた場合、いろいろな対処が考えられます。
少年犯罪の場合だと、有罪、無罪にあたる判断のほか、「現状のまま様子を見る」「親や不良仲間と引き離して様子を見る」などいろいろな対応が選択しに上がるそうです。
実情の調査を基に真実を解きほぐす、家裁調査官。それに必要なのは高度なカウンセリング能力と聞き取り力。経営コンサルタントと全く同じです。
どうして感情はもつれるのか。どうやったら人は変われるのか(本書では、犯罪や薬物からどうやって脱却するかとして描かれます)。
コンサルティングのヒント満載です。
例えば…
「オレがこうなったのもお前(親)のせいだ!」と家庭内で暴れる息子。調査官のアドバイスは、「そのセリフを言いたくなったら『どうしていいかわからない』と言い換えて」というものでした。それで親子ともストレスが激減したそうです。
また、昔と違って子育ての参考にできる「お隣さん」がいない状況だと、「子供が生まれて初めて赤ん坊に接する」(近所に接することのできる赤ん坊がいれば事前にこんな感じ、というように理解する機会もあるが現実は少ない)「1対1で向き合うしかない」(誰かに預かってもらう、などのオプションが少ない)。その結果、親からみた子供、子供から見た親との関係は深く濃密になっていく。そして…親離れ、子離れがスムースにいかずトラブルになりがち、と。
良書です。
Posted by ブクログ
20160718リクエスト
家裁調査官が見たこと知ったことより、臨床心理士でもある著者の
ロールレタリング法の解説のほうが印象に残った。相手に投函はしない手紙を書き、しまっておく。2.3日後、その手紙を相手になったつもりで読む。そしてその相手の気持ちで、自分あての手紙を書く。2.3日後、自分で読み返信…
相手が亡くなっていても、対話の出来る方法。
激情のぶつけ合いから冷静に事態を見つめられるようになり、やがて相手を受け入れる、あるいは自分が相手に受け入れられる、という変化に気づくときがある。
ロールレタリングにより、相手の背景を理解できるようになる。
やったことあるのにうまくいかなかったのは、何度も繰り返し、変化が訪れるまでやっていないからなのか?
とても為になる本。