あらすじ
それでも、私の愛をお前に伝えるには足りなさすぎる■過去、二度の結婚で初夜を迎える前に夫を兄に殺された公女レナータは、悲劇と兄の冷酷な仕打ちから心を守るため、感情を閉ざし人形姫と呼ばれるようになった。そんなレナータを政略の駒として使おうとする兄により、三度目の結婚が強引に決められる。相手はかつて兄と敵対していた国の傭兵公アレッシオ。兄と近親相姦の仲にあると噂されており、かつ、敵であった夫に歓迎されることはないと悲嘆するレナータ。しかし、アレッシオはレナータの処女を優しく散らし、熱く溺愛し、傷ついた心を解き放とうとする。政略結婚の妻として、兄に対する人質として、いつ殺されるかわからない。けれどアレッシオが愛しい。アレッシオの真意がわからぬまま、徐々に人としての心を取り戻していくレナータに、歪んだ憎悪と執着を抱く兄の陰謀が暗雲のように迫っていた――。
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アレッシオがいい男すぎる
作家さん買いです。
初期の作品らしくて拙いところもありますが、全体的に大変よかったです。
レナータが自我を取り戻していくのをアレッシオが大切に見守っていくプロセスとかもう最高。
素晴らしくよかったです。
ただ、校正さんに見落としが多くて、同じ校正者としてはよく読めよとは思いましたが。
アレッシオの演技のうまさと策略のうまさ、エルコレとの違いが際立ってよかったなぁ。
とても好きなお話でした。
シリアスだけどロマンチック
舞台は架空の国ですがモデルはイタリアの中世、小国がひしめき合っていた頃でしょうか。
ボルジア家のチェザーレとルクレツィア兄妹を思わせるような人物設定で、背徳的な魅力がありました。
ヒーローである傭兵の公国の王は、最初からヒロインを溺愛します。人形姫として心を閉ざしていたヒロインが段々に感情を取り戻していく様子がとても素敵でした。
異色のキャラとして、ヒロインの兄の忠実な部下である女性が印象的でした。大いに歪んでいますが、ここまで愛することが出来るのは称賛に値します。
とても重い部分がありましたが、読み応えがある一冊でした。