あらすじ
60万年前のホモ・ハイデルベルゲンシスの石斧に始まり、縄文・弥生土器、古墳に至るまで、考古学は物の機能や技術面しか見てこなかった。だが、じつは「美」こそが、いにしえの人びとの在りかたを方向づけてきたのだ。物に託された数と図形、色や質感などを切り口に、人の心の動きと社会の変遷とを重ね合わせる画期的論考。 ※新潮選書に掲載の図版の一部は、電子版には収録しておりません。
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Posted by ブクログ
自分にとって良い本とは、読んだ後にこれまで意識しなかった世界を想起させてくれる本です。美と考古学の観点から古代の世界観をわかりやすく描き出し、近現代を生きる我々との相違を浮き彫りにしたことで、自分の中に人間像に対する新しい疑問が生まれたことが個人的な収穫です。
古代が好きな人には情報量は物足りないのかもしれませんが、美と考古学というタイトルに沿えば素晴らしいまとまりでした。
Posted by ブクログ
美の考古学、古代人は何に魅せられてきたか ということで、従来の考古学にはないアプローチの仕方、つまり、
第1章 人類は美とどうかかわってきたか
第2章 形の美の変遷
第3章 数と図形の美
第4章 色と質感の考古学
という方法をとり、その中身を詳しく述べている。
その成果を踏まえ、
第5章 美の人類史と列島史
で、仮説の理論づけを施した著作である。
従来の単純な縄文時代、弥生時代、古墳時代・・・
という直線的な歴史認識では、面白くもなんともないわけで、著者の論法からいけば、ユーラシア大陸の東西で、同時期同じような石斧が作られることも立証できるわけです。
考古学の世界におけるステレオタイプ的な実証主義、その限界性を打破する色んな考え方に今後もますます出会いたいものです(笑)。
Posted by ブクログ
人の脳の実に1/4が美を認知するための部分だと脳科学者の中野信子さんは言った。
じゃあ人は美をどう必要としてきたのか?めっちゃタイムリーに興味があったので、とっても面白かった。社会的な情報ツールである側面やモノ時計の感覚は特に興味深かった!