あらすじ
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こうの史代氏の最新刊がついに登場!2016年秋アニメ映画化予定の『この世界の片隅に』などの話題作で根強いファンを持つ著者が、復興に向け歩む東日本の姿を描くヒット作の第2弾。突然いなくなった妻を探して旅に出た雄鶏。彼女の想い出と震災後の各地の姿を重ねながら旅は続く。震災後5年が経ち、少しずつ関心や記憶が薄れていく一方で、ただひたすらに日々の営みを積み重ねていく被災地。その風景が、イラストと詩で優しく穏やかに紡がれます。これまで日常に寄り添う暖かい目でヒロシマを描き、新たな戦争文学の世界を築き上げたとも言える著者が、穏やかに丁寧に今の東日本の姿を見つめます。震災がテーマでありながら、雄鶏という一風変わった主人公の旅行記にもなっており、親しみやすい語り口で各地を巡っていきます。主人公が途中で出会う野鳥たちも独特の存在感を醸し出し、愛らしさとユーモアを楽しみながら、家族で一緒に読み継げる一冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本編よりも「小さな世界」に持って行かれた。
化学音痴の私でも原子核分裂や廃棄物半減期のイメージが湧いて、原発の仕組みが一段階よく見えるようになった。
やっぱり著者の素朴な語り口の力はすごい。
「あれ?なんで世界はこうなってるんだっけ?」という疑問がまるで自分由来かのように浮かんできて、知識や体験の深掘りに繋がる。
主張の強さやわかりやすいメッセージ性よりも(消費して終わり、自分事になりにくいから)、こういう人の心に種を蒔くような創作こそが、人の意識や社会をちょっとずつ変えていくんじゃないかと思った。
Posted by ブクログ
震災ではぐれた妻をさがす雄鶏の旅。2巻目でもまだ出会えない。
もしや妻って、ニワトリや鳥類じゃないんじゃないかと思ってきた。
無事に会えて欲しいんだけど、季節は過ぎる。
Posted by ブクログ
仮設でののどかな風景を切り取って
〜誰も望んでなかったかも知れないこの日、それでももう二度とは戻らないこの懐かしい日〜などと妻の面影を追って旅を続ける雄鶏はとぼけたモノローグの時々にこんな詩情豊かな言葉で語りかける。
廃墟と復興の狭間に身を任せるしかない被災地の風景を何気ない日常として表すスケッチはこれも「忘れない」ための方法なのだろう。
巻末には書き下ろしでウランの半減期を人の成長に例えコミカルに描く掌編も付く。
たかが漫画…しかしそこに込められた作者のメッセージをどう捉えどう考えるかは受け手である私たち次第である