あらすじ
(1)武士道精神を愛して卑怯を憎み、(2)他人の向上に熱心な性向をもち、(3)論理的、合理的でないものを尊ぶ情緒の国に生まれたことを誇りとする、情に棹さしてばかりの数学者は、いかにして誕生したか。独特の〈教育論〉〈文化論〉、十八番の〈家族もの〉、皆が貧しかった時代の少年期に(1)~(3)を血肉にしていく経緯を活写した中編等、論理の美しさとユーモアが見事に和した、48編の傑作エッセイ。
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Posted by ブクログ
①武士道精神を愛して卑怯を憎み、②他人の向上に熱心な性向を持ち、③論理的、合理的でないものを尊ぶ情緒の国に生まれたことを誇りとする、情に掉さしてばかりの数学者はいかに誕生したか。論理の美しさとユーモアが見事に和した、珠玉の傑作エッセイ。
ひとつ気付いたことは、藤原正彦のエッセイ集には、たいてい最後にグッと胸に迫る話が収められていることである。
今回もまた、彼の幼少時代の話が収めれており、それを読みながら「正義」とは何か、「善と悪」とは何かについて深く考えさせられた。
数学者のルーツをのぞき見ることができるのは興味深いが、こうして最後に胸を打つストーリーを持ってくるところが、なんとも憎いなぁと思ったりした。