あらすじ
突然、雨の路上に立っている自分に気づいた神田健一郎。傘も持っておらず、なぜか右手には血にまみれた果物ナイフ。なにかよからぬことが起こったことは想像できるのだが、その何かがまるで思い出せない。とにかく自分の家まで逃げ帰った神田を待っていたのはもう一人の自分だった! いったいなにが自分(たち)に起こったのか? そして自分とはなんてむかつく奴なのか!? 神田Aと神田Bは、変なことに興味を持つ星名サナエの力を借りてなんとか謎を解こうとするのだが……!
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Posted by ブクログ
面白い。そして上手い。
内容的に盛り上がりが欠けるとか、展開がまだるっこしいとか感じられる人もいるかもしれない。
けど、この構造、凄いとしか言いようがない。単純明快そうに見えてしっかりとした構成イメージが無いと描けないと思う。時間関連のSFをこれだけ違和感なくストンと落としてくるストーリーは中々無い。
そりゃ、細かい事を言いだせばいくらでも突っ込みどころはあるのかもしれないが――時間軸に閉じ込められたナイフなど――小説内で謎は謎として上手く処理されている。
そもそも、三日前の自分と三日後の自分が現在軸で出逢うという発想だけで打ちのめされている。
ラスト、工場にナイフを持っていく必要はあったのか?とか、ミーちゃんが落ち込んでいた理由が今一曖昧とか(それは後の巻の伏線?)あるけれど、それらもストーリーの盛り上げのために必要であったと考えるならば眼を瞑る事も吝かではないだろう。
Posted by ブクログ
学校を出よう!シリーズ最高傑作、だと思う。
SF作品を嗜んでこなかったので、本作品で強烈なインパクトを受けた。
浜松駅ビルの書店で購入して電車に乗っている時に読み始め、電車を降りてから帰るまで待てなくて、座って最後まで読みきった。多分、もう2度とこんな経験はしないだろう。
内容はタイムパラドクス系。1巻とはまた別の人物が主役を張るという、作者が超頑張った作品。キャラ作るの大変だろうに。
ホシナサナエというキーパーソン登場回でもある。
正直再登場なんてないと思ってたけど、後にちょこちょこ出てくれるので嬉しかったな。
主人公視点で見るとホシナさんが良い子なので、主人公の世界から足を引く場面は切なかったなぁ。
ナイフの円環の話はゾッとさせられた。何度か読み返すうちに、ん?と思う描写でもあったので、SF好きな人にはよくある仮説のうちの1つ程度なのかもしれない。
いやー、今でも鮮明に面白かったと思える数少ない作品の1つです。読んだラノベの中では一番。