あらすじ
みずからの置かれた状況を冷静に把握し、果たすべき役割を完璧に遂行する。しかも皮相で浅薄な価値観に捉われることなく、すべてを醒めた眼で、相対的に見ることができる人間――それが行動的ペシミスト。「声なき少数派」である彼らの代表として、大声でまかりとおっている「多数派」の「正義」を排し、その真髄と美学を、イタリア・フィレンツェで綴ったメッセージが本書である。
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Posted by ブクログ
先だっての大阪市長選挙結果を観て、「大阪ももうアカンな」と思ってたところにこの本である。
「一人の馬鹿は、一人の馬鹿である。二人の馬鹿は、二人の馬鹿である。一万人の馬鹿は、"歴史的な力"である」
なるほど8割がたの積極的であれ消極的であれ候補に票を入れなかったその意見より、バカが集まって歴史的な力なったということか。民主主義の盲点突かれたか。
歴史から学ぼうとせず「歴史は我々が作る」と行っている連中の行った政治がどういうものなのか…連中の「維新」という言葉の使い方が軽薄であることを見れば、いかに歴史を軽く見てるかが分かるのだけど…それでも、大阪市民はヤツを選んだ。
今の選挙制を擁した民主主義である限り、ヤツが当選した限りは大阪市民たる俺にも、少なくともヤツらを担ぎ上げた責任があるってことだ。たとえ自分が投じた票がどうであろうとも…
なんで、塩野さんの痛快なエッセイを読んで、こんなくらいくだらない事に思い悩まないかんのか。これも大阪市民たる責任…でないよな
雑念を排して読みたかった1冊
Posted by ブクログ
塩野七生先生のエッセイ集がところどころに入っている短編集。前の作品についての言及や、今日の日本についてや主義・主張について、一言述べているような章もあり、読み応えがあった。とくに面白かったのは、以下の3つ。
昔から争いの絶えないイェルサレムの問題だが、解決を図ろうとしていたトップが妥協した、という事実やその協定がしごく普通かつまともなものがなされていたものというのが面白い事実だった。ただ、その協定も、教皇や他の君主によって破棄されてしまったのは、とっても残念な結果である。
また、歴史を研究するのと、歴史を描くというものの違いを書いている節も、すごくためになり、面白かった。歴史が、それっぽい真実、によって正史となってしまうのということが非常に興味深いものだった。
さらには、グイッチャルディーニが、述べている、自身の才能等を発揮できるのは、その時代のニーズに『幸運にも』適っているからだ、とする記述があり、M.サンデル教授の考えの原点を見た気がした。