【感想・ネタバレ】善意で貧困はなくせるのか?――貧乏人の行動経済学のレビュー

あらすじ

マイクロファイナンスのパンフレットにきれいな女性の写真を載せると申し込みは増える? 検査を受けた人にお金を払えばHIV感染率は下がる? 貴重な善意を最大限に活かすためにはどうしたらいいの? ガーナ、ケニア、南アフリカ、インド、フィリピン、ペルー、メキシコ……理論と現実が一致しない途上国の複雑な世界にわけいって、そこから「クール」な答えを、次々と導き出している〈新しい経済学〉のいまを紹介。人間心理が陥りがちな落とし穴をやんわりと回避させるための後押し(=ナッジ)の手法をふんだんに盛り込み、開発経済学の新しい知見を一般向けにやさしく語ります。その新しさの特徴は、開発プロジェクトの「なにがうまくいって、なにがだめなのか」を社会実験ではっきり実証する点、そして人間の非合理性を考慮した新しい発想に基づいている点にあります。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

行動経済学ってこういう感じなのか。

う~~ん。

なんか、結論としてはよく言われる能力の輪の範疇でお金を儲けて、それを寄付するのがよきってないようだったね。

人の行動が変わらんのは、惰性とかサンクコスト的な部分で新しいことをしないからってのはよくわかった。

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2019年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表紙に、貧乏人の行動経済学とあるが、内容は著者の実証実験のまとめ。
途上国の子供に制服を無償で付与すると、登校率は上がるのか?(まともな服を持っていない家庭の子供ならば有効な施策らしい)
学校に来ると現金給付金という意味で親にお金を渡すと登校率は上がるのか?(一定の効果あり)
こういった実証実験を紹介してくれている。

惰性。現状維持が持つ抗いがたい力。禁煙然り、貯金然り。
この力が貧しさ脱却の妨げになっているというのは面白い見方だった。
祖先から代々引き継いできた農業方法を今も同じ方法で行っているのは、惰性であると。
鋤や鍬を使い労働力を以て生産する方法が惰性であるならば、村の有力者に現代の農業生産技術を教え、その効果を見せ、広めていくことが有効な手だと思う。
貯金もまた、その意味を正しく教えないと広まらないし、SEEDといった実際の生活に差し支えない貯金額で続ける方法でしか続かない。

貧しい人々の生活を豊かにする、幼い命を奪われないようにするための正解はない。
いろいろなことを試し、地域によって国によって民族によってその地域の仕事によって、カスタマイズしていかなくてはいけない。
その国の技術が発展していなければ、ご近所情報網を作ったり。
タダであげても効果がなければ割引にしたり。

また、貧しい国の性問題も取り上げられている。
印象的な言葉は、「少女たちは、知ってか知らずか、身体的安全ではなく経済的安全を選ぶというトレードオフをしている」。
どの国もコンドーム有り無しにより価格に差をつけている。
身体的リスクに対してお金を上乗せするのは、正しい経済活動と言えるけれど、なんだか読んでいて悲しくなってくる。

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2017年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ぉー、これも完全に登録忘れてた。

もっと援助哲学的な話かと思ったら…このタイトルの意味は、もっとプロジェクトの効果の検証をしっかりしなさい、RCTは素晴らしい、というものでした。想定外でちょっと拍子抜け。しかも、何やら開発世界に関係のない人向けに書かれた本なので、開発学の、特に研究や評価などに慣れ親しんだ人にはちょっと物足りないのかも。

だけど、その分さくっと読めて、具体例を知ることはできるので、良いかな。
例えば、マイクロファイナンスはもてはやされているけれども、よくよく検証すると、マイクロファイナンス自体よりもそもそも貯金の方が効果があるかもしれないという示唆があったり。グループ連帯責任はいい面もあれども、例えばちゃんと返せる人にとってはただの負担で旨味がないからあまり意味がない、とか。
この、マイクロファイナンスの話に費やされているページが一番多い。
タクシーの運転手が超興味ありそう(乗り出して話を聞いていた)だったのに銀行融資を結局使わなかった話もなんか面白かったな。

あと興味深かったのは、マラリアの予防のための蚊帳の普及について、低額でも「売」った方が人々の意識が変わって(無料配布よりも)「使用」に繋がるという意見がある中で、ケニア西部で、明らかに無料配布が効果を上げたんだったり。


RCTにもかなり限界はあると思うんだけどね(結局場合分けが永遠になったり)、でもなるべく評価し効果的な支援をすべく努力した方がいいのは事実だし、この筆者は、必ずしも証明されたものだけやれというのではなくチャレンジは常に大切、と言ってはいるので、まぁバランスは取れているかな。


澤田教授が後書きで、開発学の入門書として推奨していたのが印象的。
後で知った話。
この作者、IPAの創設者の一人だった!

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2017年01月12日

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