あらすじ
子供の頃からのおまじないを頼りに「こわいこと」から目をそらし続ける彼女(「ミミちゃんの、おまじない」)、女性に恐怖するあまり妄想を広げまくる彼(「高畑君の、教習」)、他の誰にも明かせない「彼の本当の姿」を見せつけられた彼女(「辻口君の、自由」)、在学中まったく話したことのない女の子からのアプローチに戸惑う彼(「サイノ君の、卒業」)、仕方なく自宅へ招き入れた少年にかつての自分の姿を見いだす彼女(「舞子さんの、血」)、真意が見えない階下の住人との秘め事にふける彼(「武田君の、アメ玉」)、密室で繰り広げられる年の離れた二人の愛憎劇(「雪乃ちゃんの、部屋」「ユウジ君の、教育」)……みんな、セックスに、ふりまわされている。誰もが気にしてる、誰もが気になるセックスをめぐる読み切り短編集、第2集。ビッグコミックスピリッツ増刊に掲載された短編「エアラブ」同時収録。
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Posted by ブクログ
一巻と違って、肉体的に痛いおはなしがたくさん。
子供のころからの『おまじない』、それがあれば、『こわいことも、こわくなくなる』。ミミはずっとそれを唱え続ける。相手に必要とされることが必要で、相手から必要されなくなったらそれはとても『こわいこと』なのだ。『ミミちゃんの、おまじない』
女性から常々キラわれてきたから女性恐怖症になってしまった。すぐにエロティックな、しかし女性から罵倒される妄想しかできない。女性と話すことができない高畑。『高畑君の、教習』
おとなしくて、憧れて、だのに何故弱みを曝け出すの。きっと自分より立場が弱くて、自分に惚れていると分かっているからなのだろうけれども。やるせない。どちらも、自分本位。自分勝手。『辻口君の、自由』
話したこともない、そんな彼女とセックスすることになった。でも場所が見つからなくて、雨も降ってきて、公園の遊具に避難する。そしてぽつぽつと紡がれる会話。嗚呼、いまさらなんだけれども、会話できて、よかった。のかもしれない。『サイノ君の、卒業』
「こころが、よごれていなければ」。小さいころによくある、「とくべつなわたし」「わたしは、ぼくは、とくべつなんだ」。大人になってしまった。自分はそれ相応なのだ。理解した。けれども。『舞子さんの、血』
偶然、偶然にセックスする羽目になった。ただセックスするだけの関係。少女もそうだ。出されたキャンディ。支払い。相応の対価。交換。『武田君の、アメ玉』
なんと自分勝手なのか。自分に都合の良い自己解釈。復讐劇。ざまあみろ。『雪乃ちゃんの、部屋』『ユウジ君の、教育』
キズつきやすくて、キズつくことを恐れるふたりの関わり合い。心惹かれた。文字だけじゃないんだ。可愛い。『エアラブ』