あらすじ
夏休み2週間以上、有休消化率100%…なのに、仕事の成果=1人あたりの労働生産性は、日本の1.5倍! ヨーロッパの中でも、まじめな日本人の気質に近く、日本と同じ物づくり大国・貿易立国であるドイツの“効率のいい働き方”の秘密とは? ドイツ在住25年のジャーナリストによる、日本人ビジネスパーソン必読の一冊。
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Posted by ブクログ
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ドイツの働き方や文化、法律などが分かりとても興味深い。社会保険制度の充実度と税金の高さ、責任の範囲が明確でチーム主義ではなく個人主義、規則を守る・個人主義の国民性であり無駄を嫌う。労働組合が強い、1日最大10時間労働。時間内に終わらせるための圧力やストレスがある。少子高齢化が進んでおり帰化を含む移民が20%。シュレーダーの痛みを伴う改革はすごい。ミニジョブにより失業者は減ったが低所得者層が増加。専門家の方がよさげだが塾が少なく子供の教育は親がやる文化らしい。働き方・仕事の範囲・文化の違いも踏まえると日本は独自のやり方を見出していくのがよいのではないか。
●ドイツの有給は30日給付でほぼ100%消化される。祝日は10日程度なので休日はさして変わらない。日本や韓国は50%程度、米国で75%程度。休暇中、平社員はメールチェックしないが、管理職はする。年初に休暇の日程をT内で決め順次取得する。交代なので、ねたみやお土産もない。
●ドイツでは仕事は人につくにではなく企業につくので、他の社員が担当者の代わりができるよう、書類や電子ファイルが分かりやすく整理することが徹底されている。余人を持って替え難いという現象が起きない。このため、文房具は規格化されており整理用品が充実している。
●首相シュレーダーが03年に発表した社会保険改アゲンダ2010がドイツ経済にとって重要な転換点。特に手厚すぎた失業保険制度の改革。毎月の税引き前所得が400€未満をミニジョブと定義し所得税と社会保険料の支払いを免除し低賃金労働を増やすとともに派遣社員の派遣期間を無制限にした。貧富の格差が出たものの失業率は一気に下がった。この改革は保守政党が提案してきた改革だったが、反対してきた社会民主党のシュレーダーが説得にまわり実現させた。17年現在の好景気とメルケル人気は、痛みを伴う改革を断行したシュレーダーに起因している。
●ドイツでは労働時間は厳しく規制されている。残業は最長2hまで。長時間労働に対する社会的イメージのマイナスの大きい。特に大企業の管理者は、1日10hの労働時間を超えないように口を酸っぱくして注意するとともに、10hが近づくと社員のPC画面に、法律違反なので直ちに帰宅するように表示される。また数か月を経て累積した残業が100を超えると労働時間を減らされる。残業代は1分毎でありかなり高額。残業が必要ということは社員不足を意味するという文化。またチーム精神が希薄で、自分が与えられた仕事だけをやっていればよく、自分の仕事や責任の範囲が明確。残業が多いのは効率が悪く無能と判断される。
●ドイツ人は法律や規則を守ることを重視する民族であり、労働時間が短い最大の理由は法律による規制。日本にある清濁併せ呑む、水清ければ魚棲まずといった形容はなく、白黒や善悪を明確する文化。調和よりもはるかに個人主義が強い。「人々は全体の調和よりも個人の利益を追求し、最低限の秩序を守るために、法律や規則で市民や企業の行動を律する必要がある」という考え方。
●ドイツ人は無駄な仕事や無駄な時間をひどく嫌う。仕事をするときには、費用対効果を常に意識し仕事をする前に、意味があるのかを真剣に議論する。管理職は仕事や課題がなぜ重要なのかについて社員を説得する必要がありやる気や労働効率に大きな影響を及ぼす。この作業に時間を投資することで具体的にどのような成果を期待できるのかを常に考えながら働いている。また、労働時間が10hを超えると効率が目に見えて落ちミスの可能性が上がるので長時間労働はしないと考える人が多い。新しいアイデアを生むためには気分転換や何もしない時間が必要。
●ドイツでは塾や予備校が非常に少なく、子供の宿題や予習は親の役目。中高一貫校であるギナジウムに行かないと大学に行けず、それ以外は実技学校であるレア―ルシューレに行く。9歳前後の成績でこれが決まる。ドイツの学校はほとんどが半日制であり、子供の教育は学校だけに任せることは間違いと考えている。知識の習得だけではなく、人格形成でもあるのだから、親が責任を持って実行しなくてはならないと考えている。
→個人的にこれはかなりイマイチな制度。復活制度はあまりないようで9歳で将来がほぼ決まるのは早すぎる。また、個人主義の文化なので仕方ないが、子供の知識・人格に親が関わりすぎて、子供の見識が狭くなりそう。貧富の連鎖の続き、機会の平等が保たれないのが最大の難点。中途半端な親がやるより、プロに任せるべきと思う。
●ドイツでは労働組合が非常に強い。ストが頻繁。取締役会を監督する組織である監査役会のメンバーは、従業員数によって50%から33%程度労働組合であり、間接的経営にも参加している。セイフティーネットが非常に充実した社会的市場経済もドイツの特徴。
ドイツ人は、概して、法律や規則に従って行動することを好み、安定や秩序を重んじる。カオス(混乱・混沌)が嫌いで、常にリスクをについて考えをめぐらし、石橋を叩いて渡る保守性を持った国民。欧州の中でも日本人の基質と近いものがある。
→「近い」のニュアンスにもよるが、個人的にはかなり違う。法律や規則の順守、合理主義、個人主義など文化の違いはかなり大きい。欧州の中では近い側なのかもしれないが。
ドイツ人は頑張るを評価しない。あまり頑張らなくても短い時間で成果を上げる社員が評価される。
●ドイツの社会性経済により、貧困率が低く、自殺率も低い(これは税金が多く平均化される点や貧困率の定義のため?)。法律によって短い労働時間と長期休暇・健全なWLB、勤労者を守り、多重防護システムである社会性経済により、労働意欲を高め、高い労働生産性によって国富を着実に増やし、競争力の高い製品で貿易黒字と恒常的な経済成長を実現し、政府の借金を削減して財政を健全化している。またドイツ経済を支える移民の存在も重要。ドイツ在留外国人は人口の10%で、帰化がもう10%であり広義の移民は20%。日本と同様に少子高齢化が進むドイツは移民政策で成功しているよう。
●ドイツの問題点。ミニジョブや派遣で低賃金労働者が増加。短時間で成果を上げることや上司の休暇に合わせた締切など時間内に終わらせる圧力やストレスが大きい。サービス砂漠:サービスの質が低く態度が悪い、客に迷惑をかけても謝らない、ドイツはチップ制でありサービスは無料ではない、日曜・祝日は一斉に商店が閉まる、閉店法で夜も20時まで。できることは自分でやる精神があり、サービス砂漠に慣れてしまうらしい。発明はうまいがビジネスが下手(FAXやハイブリッドカー・MP3など)。他国に比べてドイツ消費者は新技術への関心が少なくビジネス化のハードルが高いとも言われる。
●ジョブ型とメンバーシップ型の違いもあり仕事の範囲が明確化していない日本がドイツと同じやり方をするのは難しいかもしれない。両立も含めて独自の働き方を見出していくのが重要ではないか。
Posted by ブクログ
何もない時間は
新しいアイデアには重要
ドイツ人にとって休暇は
人生で一番大切なことで神聖なもの
年初に休暇計画を立て
同僚と話し合いながら有給計画をする
第二次世界大戦中、
前線で戦う兵士にも10日間の有休があった
歴史的にも古い習慣
ドイツ人の性格
規則、法を重んじる
無駄が嫌い=費用対効果を考える
本当にリッチな人とは
お金だけをたくさん持っている人ではなく
自分の時間をたくさん持っている人だ
ドイツは
9歳前後の教育で一生の進路が決まる
管理職を目指す人は
ドムナジウム(中高一貫校)
他は実技学校(レアールシューレ)に行く
学校だけに任せず
親が責任もって教育させる
休みが多いのになぜ経済が絶好調なのか?
シュレーダー首相の政策98-03年
『アゲンダ2010』
・失業保険給付額を減らす
・低賃金層を拡大
そのかわり
所得税や社会保険の支払い免除
・公的年金を65から67歳へ引き上げ
・派遣の緩和
痛みを伴う政策を実行
休暇は減らさず競争力を高める方法
労働法で有休の強制
1日10時間以上働けないと
決まっていて破ると上司が自費で
罰金を払わないといけない
査定も悪くなる
ドイツは
頑張ってるだけで評価しない
過程より結果重視
→生産性上がるがストレスが多い
サービスがとても悪い
サービスにも10%のチップを要求
・打ち合わせは紙一枚かつ一時間以内
・自分に与えられている権限内だったら
すぐ責任で判断
・重要なのは午前中
・誰が見てもすぐ業務を担当できるようにする