あらすじ
なぜ、「Ninja」は世界を熱狂させるのか? 作られた忍者像を一新!
一口に忍者といっても、時代によってその姿を変えてきた歴史がある。あるときは城を守る警備員、あるときは敵地に攻め込む戦闘員、あるときは村人に扮するスパイ……。今まで解明されることのなかった忍者の謎を、忍術書「萬川集海」や、数々の古文書などの資料を読み解き、歴史の観点から明らかにする!
【目次】
序章
第一章 戦後時代の忍び
一、忍びの起源/二、伊賀と甲賀/三、「忍び」の実際/四、伊賀衆の活動
第二章 兵法から忍術へ
一、中国兵法の受容/二、日本的兵法書の編纂/三、軍学書の成立/四、忍術書の成立
第三章 忍術書の世界
一、忍びとしての心構え/二、忍び込みの実際/三、忍びの身体/四、忍具/五、情報の伝達
第四章 江戸時代の忍び
一、織豊期の伊賀/二、江戸暮らしの伊賀者・甲賀者/三、各地の忍び/四、江戸時代の忍術
終章 変容する忍者
一、近世から近代へ/二、伝承される忍術
あとがき
参考文献
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Posted by ブクログ
映画やマンガ、ゲームなどの影響が強い忍者のイメージが世間一般にある。いまだに本来の忍者とは何だったのか不明なところが多いようで、その歴史を研究した本。
忍者、というよりスパイに相当する役割は紀元前の遥か昔からあり、孫子の兵法にも「間諜」が出てくる。日本でも、平安時代あたりから諜報活動の重要性から存在していたようだ。
最も忍者が活動していたのはやはり戦国時代。しかし現代のイメージとは異なり、傭兵だったり武士の中の一部だ。それが泰平の世になり、武士同様に警護職に就く傍ら、権威付けと精神性の向上に向かい、宗教感や日本人の民族性と絡み合ってエンターテイメントに繋がっていったようだ。
暇になった武士が権威付けに邁進していった構図と似てるのか…と少しがっかりしつつも、創造力を膨らませて日本の文化の一つとしてエンターテイメントにしていった人達の功績を評価したい。
Posted by ブクログ
凄い量の資料を駆使して忍者を具体化してくれる本だが,古い文を読むのはきつい.伊賀甲賀の地元の三重大学に忍者の研究拠点ができたことは素晴らしいと感じている.忍びとして必要な十の要素がp. 117に挙げられているが,これが達成できるのはまさに忍者だと思った.
Posted by ブクログ
おそらく史上初の歴史学者による「忍者」の研究。歴史的存在としての「忍び」は情報収集・攪乱や後方支援を主とする工作員で、巷間に伝わる「忍法」「忍術」や超人的戦士像は近世以降のフィクションであることが明示されている。
Posted by ブクログ
洋の東西を問わず大人気のキャラクターといっていいだろう、NINJA。様々な映像作品に出てきて、敵の城に忍び込み、お姫様を救出する。
そんな派手なキャラクターとしての忍者ではなく、戦国時代から江戸時代へ、そして陸軍中野学校から現代に続く、本当に存在した忍者についての解説書。
忍者の重要な仕事は、戦国の世にあって、敵の情報を手に入れること。そして、その情報を主君に届けること。
そのためには、なるべく敵に気付かれず、万一みつかってしまったら、戦うのではなく逃げる。潔く死んでしまったら仕事は果たせない。みじめでもなんでもいいから生き延びて、情報を伝える。
そんな本物の忍者の姿を、現存する文献資料等からあらわにする。
といっても、退屈な歴史書ではなく、手裏剣や鍵縄、クナイなどの忍者道具の図説なども載っているので、楽しんで読むことができる。
本物の忍者の入門編として読める本だと思う。