あらすじ
世界的な指揮者の父とふたりで暮らす、和音十六歳。そこへ型破りな“新しい母”がやってきて――。親子の葛藤と和解、友情と愛情。そしてある奇跡が起こる……。音楽を通して描く感動物語。
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Posted by ブクログ
心が暖かくなる作品。
文字から伝わるバッハのアリア。
母と娘の愛が真弓と和音それぞれで描かれる、3つの愛。和音が永遠を見つけられて良かったと思う。
家族の話はどうしても泣いてしまう!
Posted by ブクログ
一年以上遠ざかっていた原田マハさん。
美術の話は敷居が高く、頑張らないと読めない時があるけど、音楽の話はスッと入ってくる。特にクラシック音楽の好きな私にはもってこいの小説だった。
父子の確執?母子の逸話?友情や恋物語?いえいえこの話の中核を成すのは16歳を迎える和音といきなり母として家に居座ることになった真弓の物語だ。少なくとも私にとってはこの二人の繋がりがど真ん中だ。
不器用で真っ直ぐな者たちがぶつかり合うさまは心地よい。真実(ほんとう)をぶつけ合っているから。
チェロにさわれなかった和音が、母のために真弓とチェロを奏でる。しかし真弓を襲った悲劇。でも、和音は鼓膜でなく胸に響かせようと、チェロと一体化していく。
「あなたたちが奏でた旋律は、すうっと沁みこんで、
震えるように光を放っていた」
真弓の胸の真ん中にまっすぐ響く。
母のために開いた病院のコンサート。演奏前の固唾を飲む瞬間、読みながら音の始まりに耳を澄ます自分がいた。『G線上のアリア』に。
和音が真弓と実の母時依とチェロを通して響き合ったように、読んでいる私にも響いてきて、涙がにじんだ。
原田マハさんの美しいストーリー。感謝。
Posted by ブクログ
ゴッホの次の原田マハさんは音楽!
音楽と言う芸術。
こちらも私には到底わからない世界なので少し緊張する。
音楽一家の心のチグハグがどう整っていくか?
一見、傍若無人な真弓の登場で、どんなふうに真弓が和音と関わって、家庭が整っていくのか期待が高まる。
和音のお母さんからの手紙や真弓さんからの告白以降、切なさに心が締め付けられて涙が止まらない。
母親の、どこまでも子供を包み込む優しさ、強さ、厳しさ、苦悩、そんなようなもの全てが滲み出る言葉の数々に誰もが共感し涙するであろう。
親が子供に夢を託すのは悪なのか?
この本では和音が確実に母親や真弓の夢を引き継ぎ再びチェロに向き合っていこうとする。
終わり方も、和音や他の登場人物達のキラキラした未来が想像でき、ちょっぴり寂しいけれど、心あたたまる余韻が残った。
Posted by ブクログ
原田マハさんの本は人間味が溢れて好きなので、なんとなくジャケ買いした。
楽器を通じて人と人とかつながっていく物語。日本を代表する指揮者と、トップチェロリストの夫婦から生まれた主人公は、両親が離婚し、あまり好きではない。父親と2人で暮らしているという設定、幼い頃のスパルタ教育でチェロに嫌気が差して、しばらく弾いていなかった。
ただ高校での出会いがあり、父親の新たな婚約者、という程の母親を尊敬していた。再婚相手を装っていた女性との出会いにより、母親やチェロへの愛着、父親への感情が芽生え、最終的にはチェロを弾くと言う物語だった。
自分も幼い頃は特に何も言われずに、好き勝手育ててもらったが、大学生になった頃からあれやこれやと両親に言われるようになり、また有名な企業を2年ほどで辞めたことにより両親との関係を粗悪になっていった。しかし時が経てばわかることもあり、今35歳になって、両親がいかに大変な思いをして、自分の幼い頃や学生時代、子育てをしていたということを身に染みてわかる。この本を読んでいると、両親へしっかりと親孝行をしないとなと思うし、もうそこまで長くは生きられないとは思うので、少なくとも顔を見せに行ったりとか何かできることから始めてみようと思う。
また、この本を読んでいると、人の表面上の態度からその人の本心を読み取れないなぁと思う。あくまでその人の本心とか人間性と言うものは、たくさんコミュニケーションをとって、一緒にいる時間をたくさんとって、相手を知ると言う事は、自分のことを知ってもらうことでもあると感じた。とても良い本だった。
強いて言うなら、アメリカ帰国後にどんなチェロリストとして活躍していったかと言う部分まで見れたらもっと点数をつけていたと思う。