あらすじ
黄巾の乱を横目に少年期を過ごした馬超――“無様な死に方だけはしたくない。圧倒的に強くなってやる”と、心に誓った彼は、父・馬騰の盟友である韓遂から刀を習う。そして半年で、泳ぐ魚を斬るほどの腕を身につけた馬超は、西暦194年、二百騎を統率して長安を攻め、大将の首を七つ取るという見事な初陣を飾るのであった。その後も厳しい修練を積み、西暦202年の「汾水の戦い」を経て、めきめきと頭角を表していった馬超は、西暦211年、曹操率いる二十万の大軍と激突する。世にいう「潼関の戦い」である。騎馬隊の先頭で、十万の大軍を指揮する馬超は、疾風の如く馬を走らせ、凄まじい活躍を見せる。そして、宿敵・曹操をあと一歩のところまで追い詰めるのだが……。屈強な肉体と際立つ腕っ節、あでやかな姿から「錦馬超」と称えられ、恐れられた豪将・馬超。戦場を駆け抜けるその勇猛果敢な姿を描ききった長編力作小説。
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Posted by ブクログ
馬超の幼少から最期までのオリジナルが入った小説。個人的に初恋の人・楊葉との絡みが好きです。不慣れな環境の中で見た絆と、悲しい位に曹操を追いかける馬超の姿は見ていて痛々しく悲しかったです。「蜀に降った事こそが不幸」というのは 残念だけどそう思います
Posted by ブクログ
馬超の少年時代から死までを描いた小説。最初に読んだ時、この著者は少年を書くのが上手いと思った。文章も読みやすく、あっという間に1冊読み終わってしまったが、物語の最後は少し駆け足になっていて、少々物足りなく感じた。馬超とホウ悳の関係(対比)に焦点を置いている為か、不自然なくらい馬岱が出ていなかった点も喉に魚の小骨がひっかかっているような違和感として残った。
Posted by ブクログ
見所は楊葉さんとの掛け合い。幼少期がごっさ可愛かった。
あと、後書きの「馬超にとっての不幸は〜」って話に妙に納得してしまった。
もっとこういうの増えて欲しいです。逸話というか武将外伝。
Posted by ブクログ
『三国志』の英雄の一人、流浪の豪将・馬超の生涯を描いた小説。
中国の北西・涼州で曹操軍に対し叛乱に立ち上がるも、そのせいで血縁者の多くを失い、結局は敗残して蜀の国に流れ着いて劉備の下で五虎将軍の一人に任じられれる馬超。基本は史実ベースで、正史に記載されているエピソードは一通りカバーされている。なので彼の人生をザッと追うには最適の一冊。
「〜した。〜した。」というブツ切り感がある文体は決して良文とは言えないのだろうけど、そのそっけ無さが岩と砂の荒野が広がる涼州を想起させ、逆に味わいとなっていたと思う。これが湿潤な江東地方の話とかだと全然合わないのだろうけど。
叛乱を起こしたことで人質となっていた父・騰と弟の鉄・休を殺され、乱の過程で妻子も殺されてしまう。蜀に逃れるも、恨みある曹操と戦う機会は結局得られなかった・・・。
馬超に関しては、「錦」と謳われたその武勇とは裏腹に、どうも蜀に彼の心休まる場所があったとは思えなくて、なんとなく切ない気持ちにさせられる人物という印象を持っていたわけだけど、この小説では、幼少の頃の創作エピソードなどを交えつつ、前述の印象をより際立たせる方向で書かれている。といっても叙情的な描写が多いわけではなく、なんとなく前述の湿度の低い文体でそっけ無く描かれる後半の半生が、馬超の背中に漂う乾いた寂寥感を感じさせるのだ。