あらすじ
ミュージシャンの乾は、ライブが終わった後、突然、180cmはある長身の女に「御主人様」になって欲しい、と懇願される。ファンのひとりと思った乾は、打ち上げに彼女を誘い、酔った勢いで、激しい一夜を過ごす。そこから、乾と彼女の「御主人様」と「奴隷」の関係が始まる。SMという性的な従属関係の中、愛と欲望の深みにはまり、終には悲劇的な結末を迎える男女を鮮烈に描いた、初の長編小説。
※本書は、平成十二年十一月ぶんか社より刊行された単行本『SLAVE OF LOVE』を改題し、文庫化したものが底本です。
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みうらじゅんの短編小説。しがないロックバンドのリーダーと、彼のもとに突然現れたハードMのM子が織り成す物語。一部強烈な性的描写もあるけれど、それはあくまでも手段として描いているだけでしかないのだと思う。本質はもっと深い。真摯な態度で『Sとは?Mとは?』と懊悩するみうらじゅんの姿勢は、本当に胸を打つものがある。『じゅん』文学。
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「見苦しいほど愛されたい」気持ちがほとばしるMJ小説。
ただのSM小説とは一線を画す不思議な魅力。
M子の「御主人様」が物語が進むほど切なくなってくる。
山田五郎さんと重松清さんの解説で
2度、3度楽しめるお得な文庫版をおすすめいたします。
Posted by ブクログ
SLAVE OF LOVEで邦題、「愛にこんがらがって」です。
人間の心と体を切り離せないカルマをSMというハードな関係を通して、鮮やかに描く。
近年、簡単に「私(俺)M(S)なんだー!」という声を聞くようになった。
では、Sとは?Mとは?
小説としてはオーソドックスな形をとりながらも、生粋のマゾであるM子と お仕着せのSを演じる主人公の葛藤の描写が印象的。
興味深い一冊でした。
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SM小説が変わりはじめた、と思ったのはみうらじゅん先生の官能小説を読んでからだった。
物心ついた頃から官能小説が好きで、通り一遍の展開やキャラクター造形も嫌いではなかったけれど、新しさを感じたのはみうらじゅんさんがこのジャンルをちゃんと描いてくれたから、とも言える。
重松清様が解説書いてるのも意味深でいいですよね笑
Posted by ブクログ
みうらじゅん氏初の長編小説らしい。
SM物なのだが、描写がかなりざっくりで、エロ度は低い。しかし性欲と愛情のはざまでもがく主人公の姿はとてもリアルだった。
Posted by ブクログ
空中庭園に続いて“隠し事”についてのお話。
男として共感できる部分が多々ある作品だ。
セックスや自慰行為をした後の心の変化や、M子を前にした時の行動など。
これらには世の男全てが共感できるはずだ。
キャラクター、設定などがMJ作の「アイデン&ティティ」とかぶり読みやすかった。
ストーリー自体は何も驚き・裏切りはなく「こうなったら嫌だな」で進んでいく。
人を愛することってなんだ。