あらすじ
お金がないならアイデアを振り絞れ! 後ろ向きコースター、ゾンビの大量放出、絶対生還できないアトラクション・・・斬新な戦略でV字回復したUSJの軌跡をキーマンが綴る。
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入場者数の伸びが頭打ちになり、急激に落ち込む業績…。絶体絶命の危機に陥りながらも、独創的なアイデアを駆使し、限られた予算で大きなV時回復を遂げたUSJの凄腕マーケター、森岡毅が提唱する発想法をまとめた一冊です。
関西のテーマパークといえば誰しもが思い浮かべるユニバーサル・スタジオ・ジャパンですが、今の地位を築くまでの道のりはまさにドラマのようです。
“東京ディズニーランドとユニバーサル・スタジオ・ジャパンの間にある決定的な違いとは?”
“質の高いコンテンツを作り出す優秀なメンバーが、組織にとっての最大の敵である理由?”
大人気テーマパークの天才マーケターという視点で読み始めましたが、事例の一つ一つが身近に感じられることばかりで非常に参考になります。消費者の体験価値を意識したサービス設計についてはエンターテインメント業界のみならず、あらゆる場面で有効に活用できること間違いなし。明日から実践したくなるアイデアが盛り沢山です!
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Posted by ブクログ
作者のエンターテイメント業界・テーマパーク・USJに対しての強いこだわり、野望を感じると共に、仕事への向き合い方に強く感銘を受けた。
この本は、ハリウッドドリームザライドに焦点が当てられていると思っていたが、実はハリーポッターエリアの建設までの3年間の繋ぎ期間にいかにキャッシュフローを担保できるか考えるアイデアとしてバックドロップがあったということに驚いた。
どこも利益創出のために初期投資を抑える必要性もある中で、人こそ最大のアトラクションと考え、既存の設備を活用して変化させるリノベーションが効果的であると考えに納得させられた。
また、マーケティングの基礎内容も盛り込まれており、何事も消費者理解として自分で積極的に経験してみる習慣の必要性を再認識した。また、既存のアイデアを活用する【リアプライ】の考え方をはじめとして、目的の設定を最優先に、①フレームワーク→②リアプライ→③ストック→④コミットメントの考え方の手法を実践できるように意識したいと考えた。
Posted by ブクログ
以前から気になっていたのと、今度USJに行くこともあり、買った本。ジェットコースターの話だけでなく、他のアトラクションについても展開されている。USJには修学旅行で行っただけだったので、気が付いたら知名度が上がっていたという印象だったが、この本で状況を知れて面白かった。また、マーケティングや考え方についても書かれているが、自分みたいな知識のない人間でも読みやすかった。数日後にUSJに行くのがさらに楽しみになった。
Posted by ブクログ
細かなマーケティング手法というよりは、著者がどのような思考/行動プロセスを経てUSJの再建に邁進したのか、そのストーリーが描写されており非常に面白かった。特に印象的であったのは、ホラーナイト(ゾンビ)が誕生した箇所。パーク業は莫大な設備投資が必要であるにも関わらず、資金がないというジレンマを抱えていた状況において、固定費(人件費)を活用することで大幅な集客を実現できたというストーリーは、純粋に面白くまた打ち手の幅を感じさせられた(設備投資を抑え固定費で賄いたい→ホラーナイトではなく、ハロウィンに機会を見込む→状況を鑑みた打ち手としてホラーナイトという論理であることには注意)
また、本書からの最大の学びは「戦略は後戻りできない」ということ。一度莫大な投資を行ってしまうと、以降数年の戦略の幅は当然狭まり、過去に実践した戦略のせいで、将来的に危機を迎える可能性もある。戦略を考える/提案することを生業とする身ではあるが、つい「その局面において妥当的な戦略」の考案に心血を注いでしまい、中長期的にその戦略が及ぼす影響というダイナミックな視点を蔑ろにしてしまっていると感じる。戦略を考える当事者のストーリーを読み、戦略を考える際の視点を改めて補完いただいた。
特に印象に残った箇所は以下の通り
「私は、マーケティングが実戦でのみ鍛えられる実践学だと考えています。本からの理論だけが先行するマーケターは、差別化という美しい戦術に憧れて溺れることがあります。差別化すること自体にこだわってしまい、本来の目的を見失ってしまうのです」(p.37)
「その歩いている一歩一歩が正しいんだ!と思えないと、自信を持ったよいエクセキューション(実際のプラン=この場合はショーやイベントの品質)を現場が作ることはできません。腹の底の弱気や心配は絶対に周囲に悟られてはならない、誰かが言い切らないといけないのです」(p.53)
「私はアイデアを考えるときは、まず目的を徹底的に吟味して定め、その次にアイデアが満たすべき「必要条件」を一番時間をかけて考えます。そしてその必要条件を組み合わせ、より条件を絞り込んで、自分が必死に思いつくべきアイデアの輪郭をできるだけ明確に絞り込んでいきます。具体的なアイデアを考え始めるのはいつも最後の最後なのです」(p.63)
「私にとって神様を信じるとしたらそれは「確率」なのです。良いアイデアを思いつくのも思いつかないのも確率」(p.138)
「いつも思うのですが、コロンブスの卵のようなアイデアは、後で考えてみると「なぜもっと早く思いつかなかったのだろう」と思うような、一見して簡単で何で、おないようなことが多いのです」(p.166)