あらすじ
十代で捨てた家だった。姉も兄も寄りつかない家だった。老父は心臓病を患い、認知症が進む。老母は介護に疲弊していた。作家は妻とともに親を支えることになった。総合病院への入院も介護施設への入所も拒む父、世間体と因襲に縛られる母。父の死後、押し寄せた未曾有の震災。――作家は紡ぐ、ただ誠実に命の輪郭を紡ぎ出す。佐伯文学の結実を示す感動の傑作長編。毎日芸術賞受賞。
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Posted by ブクログ
主人公と父親との確執を描いた作品で、父親は心臓病とその後認知症を患い、要介護者となる。そんな父親を、主人公と彼の妻、そして母親は対応していくことになるが、持病で苦しむ主人公、父の介護に疲労困憊する妻、父の妻として長年過ごした母親の苦労と、日常会話の様子を本作では描かれている。著者の体験をもとにしたこともあって、リアリティに富んだもので、介護人を持った家族の大変さがこの作品から伝わる。また、本作の途中で巨大地震の描写もあり、当時、震災に見舞われた人たちの、地震に対する恐怖心とその影響についても当事者だからこそ説得力のあるものとなっている。