【感想・ネタバレ】リルケ詩集のレビュー

あらすじ

現代抒情詩の金字塔といわれる「オルフォイスへのソネット」をはじめ、二十世紀ドイツ最大の詩人リルケの独自の詩境を示す作品集。

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私は神を 太古の塔をめぐり
もう千年もめぐっているが
まだ知らない 私が鷹なのか 嵐なのか
それとも大いなる歌なのかを


天才かよ

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2018年10月27日

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若い頃の作品から、晩年の作品まで幅広く収めた一冊。
最初の部分はやや青臭く感じたが 『オルフォイスへのソネット』の辺りでは胸に押し寄せるような感覚を覚えた。
一言で表すなら「圧巻」である。偉大な人物の魂に触れることが出来る、今も生きている名著。

巻末のリルケの略歴を読んで、始めから凄かったわけではなく、努力と抗いの結果に
ドイツを代表する大人物になったという点に、強く憧れた。
読後の充足感が相当にあった一冊であった。

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2015年02月01日

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なんとなしに手に取ったものだが、
素晴らしかったし、視界が広がる思いがする。

特に好きだったのは、
「形象集」などの序盤に出てきたものと、
最後の二つ。

神という言葉だったり、
宗教的な表現(?)が多い気がしたが
其れを理解していなくても
シンボルとして解釈して読んだ。
美しく、美しさの中に
みがあるような詩。

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2014年02月04日

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昭和43年新潮社発行の世界詩人全集13リルケを父の書斎から抜き取ったのはもう4年も前。赤い装丁が美しく、何気なく手にしたら当時の自分が心酔するほどよかった。持ち運び用に文庫本も欲しいなあ。

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2011年04月03日

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リルケは、やはり詩人と言ってよいのでしょうね。愛の詩人、あるいは薔薇の詩人。この詩集は、最初の詩集から晩年のものまで、年代を追って編訳されています、1冊で「リルケ詩集」と銘打つにはじゅうぶんでしょう。「詩の味わい方」がよくわからなかった時期もありました。「物語の筋を追う」ことに慣れすぎていたからかもしれません。詩を、一気に読み飛ばしてはもったいないし、でも、ある程度まとまった数のもの(たとえばひとつの詩集として出されたものなど)を読まなければ感じられないことも多いし。だけど、なぜか「○○詩集」は色々と私の本棚にあるのです。理由ははっきりしています。新潮文庫にせよ岩波文庫にせよ、詩集は小体なものが多くて、そのぶん安価だったからです。お昼休みに、昼食代を削って「今日読む本」を探すのに、なるべく安い本を選んでいた頃もあったのでした。誰にでも、同じような経験があるのでは?さて、このリルケの詩、あらためて一瞥して、私は「好き」だ、と言おうと思います。詩の翻訳は、訳者に依存するものが大きいし、それだけ翻訳が難しいということは、ようやく感じられるようになりましたけれど。「翻訳の成立可能性」について、夜を徹して語り合ったこともありましたっけ。ずいぶんと雑駁な議論をしたものだ、とも思いますが、私の基本は、今でも変わりません。翻訳ものであろうとなかろうと、感じる人は何か感じる、分からん奴には分からん。むしろ、「感じる」「読み取る」側の感じ方・読み取り方に依存するもこそが大きいはずだ。よって私は、「普遍的なもの」を信じるという意味で「翻訳の成立可能性」を信じる、と。けれど、だからこそ、そこに「良い翻訳者」が介在したほうがいい。そして、受け取る者である私自身が、能う限り豊かで敏感であるほうがいい。「豊かで敏感である」ということは、つまりそれに応じて如何様にも鷹揚になれるということです。遅かったかもしれませんが、やっとこの頃、実感として得心します。

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2011年07月19日

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「もろもろの事物のうえに張られている
成長する輪のなかで私は私の生を生きている
たぶん私は最後の輪を完成することはないだろう
でも わたしはそれを試みたいと思っている

私は神を 太古の塔をめぐり
もう千年もめぐっているが
まだ知らない 私が鷹なのか 嵐なのか
それとも大いなる歌なのかを」

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2009年10月04日

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リルケの詩集ですね。

ライナー・マリア・リルケ(1875~1926)
ドイツの新ロマン主義の詩人。
訳は、富士川英郎さん(1909~2003、東京生まれ)
ドイツ文学者、比較文学者。
あとがきに『本書には「時禱集」以後の詩のうちから特にリルケ的な特徴の著しいものを選んだが、それは、紙数の関係でやむをえなかったという事情もあるけれども、主としてそれによってリルケの詩のもつ独自な風格を鮮かに浮かびだせようとする意図にでたものである。』と、語られています。

     「或る四月から」

    ふたたび森が薫る
   ただよいのぼる雲雀の群は
  われわれの肩に重かった空を引きあげ
 木の枝を透かしてはまだ虚ろな日が見られたのにー
  永い雨の午後ののち
   金色の日に照らされた
    新しい時がよみがえる
  それを恐れて逃げながら 遠い家々の前面で
    すべての傷ついた窓が
  小心にその扉をはためかす

  それからあたりはひっそりとして
   雨さえいっそうかすかに
 静かに暮れてゆく岩の光に降りそそぎ
 すべての物音は若枝の
 かがやく蕾のなかへもぐりこむ

     「海の歌」 
       カプリ・ピッコラ・マリーナ

  大海の太古からの息吹き
  夜の海風
   お前は誰に向かって吹いてくるのでもない
  このような夜ふけに目覚めている者は
  どんなにしてもお前に
  堪えていなければならないのだ

   大海の太古からの息吹き
  それはただ古い巌のために
  吹いてくるかと思われる
  はるか遠くからただひろがりだけを
  吹きつけながら

   おお 崖のうえで 月光を浴びながら
  ゆれ動く一本の無花果の樹が
  なんとお前を感じていることだろう

    「呼吸よ 眼に見えない詩よ」

 呼吸よ 眼に見えない詩よ
 絶えず私自身の存在と引き換えに
 純粋に交換された世界空間 その中で
 私がリズミカルに生まれでる対重よ

 ただ一つの波よ 私は
 それが次第に集まって海になったもの
 あらゆる可能な海のうちで最も倹ましい海よ!
 空間の獲得よ

 空間の中のどんな多くのこれらの箇所が
 既に私の内部にあったことだろう 多くの風は
 まるで私の息子のようだ

 お前は私を知っているだろうか 大気よ
  嘗て私の場所にまだみちみちているものよ
 嘗ては私の言葉のなめらかな樹皮であり
 丸みであり 葉であったものよ

 瑞々しい自然と人間の融合を高らかに詠え挙げて、溢れかえるロマンを感じさせます。
 富士川英郎さんの訳も良いですね♪

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

海外の詩人を読むならおすすめということでチョイス。『形象集』と『新詩集』にそれぞれある「読書する人」など気になる詩もチラホラとあった。

「最後にやっと彼は面をあげた 下の書物のなかに 
とどまっているものを 自分の高さに拾いあげながら。
そして彼の眼は 外部のものを受け取るというよりは
与えながら そこに出来上がっていた豊かな世界に突きあたっていたのだった」

『オフフォイスへのソネット』など。全体的に読みやすくて歌詞のような雰囲気のものが多い。

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2025年06月06日

Posted by ブクログ

他の人の訳も読まねばという感じではありますが、好きだった言葉を

「読書する人」『形象集』
…そして私がいま書物から眼をあげると
訝しいものは何ひとつなく すべてが偉大であるだろう
かしこの戸外にあるものは 私がこの内部で生きているもの
そしてこことかしこと すべてに限界はないのだ…

「ピエタ」『新詩集』マグダラノマリアの詩
…いま あなたは疲れています そしてあなたの疲れた口は
悲しい私の口を求めようとはしないのですー
ああ イエスよ イエスよ 私たちの時はいつでした?
なんと奇妙に 私たちふたりは亡んでゆくことでしょう

「別離」
どんなにか私は感じたことだろう 別離というものを
なんとよく私がなお知っているか 暗黒で 不死身で
残酷なものを。美しい結合を
もう一度さし示し さしだし そして引きちぎるものを

どんなにか私は術なく見やったことだろう
私を呼びながら 呼びながら 立ち去らせて
あとに残ったものを。それはみんな女たちのようで
しかも 小さい 白い一点にすぎなかった

それはただ一つの合図 もはや私をよぶのではなく
もはやほとんどその意味も分からない ただかすかに
合図しつづけるものーーたぶんそれは一羽の郭公が
つと飛び去ったすももの木であった

「オランジュリーの階段 ヴェルサイユ」
…初めから既にひれ伏している
欄干のあいだを ただ孤り
階段はのぼってゆく ゆるやかに 神の恵みをうけて
何処へということもなく ただ天をめざして…

「薔薇の内部」
何処にこの内部に対する
外部があるのだろう? どんな痛みのうえに
このような麻布があてられるのか?
この憂いなく
ひらいた薔薇の
内湖に映っているのは
どの空なのだろう? 見よ
どんなに薔薇が咲きこぼれ
ほぐれているかを ふるえる手さえ
それを散りこぼすことができないかのよう
薔薇にはほとんど自分が
支えきれないのだ その多くの花は
みちあふれ
内部の世界から
外部へとあふれでている
そして外部はますますみちて 圏を閉じ
ついに夏ぜんたいが 一つの部屋に
夢のなかの一つの部屋になるのだ

「読書する人」
…そこで自分の陰影にひたっているものを読んでいる男が はたして
彼なのかどうか? そしてわれわれ「時」を持っていたわれわれが
いったい何を知ろう 彼にどれだけの「時」が消え去ったかを?

 最後にやっと彼は面をあげた 下の書物のなかに
とどまっているものを 自分の高さに拾いあげながら。
そして彼の眼は 外部のものを受け取るというよりは
与えながら そこに出来上っていた豊かな世界に突きあたっていたのだった
ちょうどひとりで遊んでいた物静かな子供たちが
急に外部の世界の存在を知るように。
けれども既にととのえられていた彼の表情は
いつまでも彼方にとどまっていた あの第二の現実のなかに

「春風」「1906-1909年の詩」
この風とともに運命が吹いてくる ああ 来るにまかせるがいい
これらすべての迫るもの 盲目なもの
そして私たちを燃えたたすものをー
(それがお前を見出すように お前はじっと動かずにおれ!)
ああ 私たちの運命がこの風とともに吹いてくる

「ヴォルフ・フォン・カルクロイト伯のための鎮魂歌」
…あなたは恥じないでいるがいい 死者たちが 
終わりまで堪えぬいたほかの死者たちが
あなたに触れても(だが 終りとはなんだろう?)
静かに 習慣のように 彼等と眼ざしを交わしているがいい
そして私たちの悲嘆が あなたの奇体な重荷となって
死者たちを驚かしても そんなことは気にかけないがいい
出来事がまだ眼に見えるものだった時代の
偉大な言葉はもはや私たちのものではない
誰に勝利を語ることができよう? 堪え忍ぶことがすべてなのだ

「ベンヴェヌータに」「1913ー1920年の詩」
…ああ 星座を眺めるということにさえ
ささやかな地上の足場が要るのではなかろうか?
なぜなら信頼はただ相手の信頼のなかから生まれ
あらゆる施しは返礼にほかならないからだ
ああ 夜は私に何も望みはしなかった
けれども 傷ついた者が傷つかない者にすがるように
私が星たちに向って立ったとき
いったい何処に私は立っていたのだろう? 私はこの地上にいたのだろうか?…

「死」
…ああ嘗て橋のうえから見た
星の落下よ
お前を忘れずに 立っていよう!

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2023年03月10日

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長女の出産で、義理の母のところでお世話になっていたころ。繰り返し読みました。訳者の言葉遣いが美しくて好きでした。

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2021年03月06日

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年代順に掲載されているので、リルケの変化が感じられるのが良かった。
個人的に、後半の作品に好きな詩が多い。

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2012年04月18日

Posted by ブクログ

受験勉強の合間に読んでいた作品。
普段はあまり詩を読む機会はないのですが、読んでみると素直に心に響くものが多く、すっごく好きな作品です。

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2010年03月11日

Posted by ブクログ

最初に買ったリルケの詩集。
その前にはランボーを読んでいたのだがあまり感銘を受けず。
んでこっち読んだら…見事に魂持ってかれましたよ(笑)

以降はリルケにすっかりメロメロ。
独特の宗教感、内的世界。暗過ぎて読めないという人も居るそうだが、
私はこの本がとっても心に『しっくり』来ます。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

うーん、詩集とか初めてだしよく分からんのですが。
まぁいいんじゃないでしょーか。
前に読んだ総統の子らっていう本にリルケの詩が引用されてて触発され買ったのですが、引用されている詩は載ってませんでした。
モルグ(死体公示所)っていうのが結構好きかも。
こういう本全く読まない私の感想は当てになりませんがね。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

優しさが前面に伝わってくるリルケの詩。旧文語は全く無く、すべて現代語なので読みやすい。
色恋を詠ったものもあれば、風景を綴ったものもある。
すべてどこか”眩しく明るくてやわらかい”。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

詩も有名どころから少しずつ。
神を手で掬うようなくだりがあるが、流体のようなイメージではなく、汎神論ということらしい。

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2022年08月10日

Posted by ブクログ

いつひとりの人間が、は結構好き。
詩や物語を読むといつも自分の情緒性の低さを認識する。そんな感じが逆にいい。

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2013年05月19日

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リルケはプラハ生まれの20世紀前半のドイツ最大の詩人。力強く哲学的な内容が多い。神に問いかけているものも多い。

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2010年03月15日

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文庫なので手軽なのが嬉しい一冊。しかも収録数が多い。私が一番好きな時トウ詩集からも、他の詩集ではあまりないものまで収められている。ネックは訳が微妙なこと。形象集や新詩集はそこそこ上手いのにー。

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2012年02月25日

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