あらすじ
若々しく大胆な魂と冷徹な現実主義に支えられた時、政治もまた芸術的に美しい。ルネサンスとはそういう時代であった。女たちはその時、政争と戦乱の世を生き延びることが求められた。夫を敵国の人質にとられれば解放を求めて交渉し、生家の男たちの権力闘争に巻き込まれ、また時には籠城戦の指揮もとる──。時代を代表する四人の女の人生を鮮やかに描き出した、塩野文学の出発点。 ※当電子版は新潮文庫『ルネサンスの女たち』を元に制作しています。地図・年表なども含みます。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ルネサンス期を生きた4人の女性を主人公にした、連作歴史小説であり、塩野七生の作家デビュー作。
デビュー作だからか、冷徹な文体はいつものことながら、洗練さよりも、文に込められた思いや力が強く感じられて、面白い。イザベッラ・デステやロドリーゴ・ボルジアの貴族的な立ち姿、大国ヴェネツィアの芸術的なまでに完璧な偽善など、現代の道徳には則さない姿が生き生きと描写されるときは、特にそうだったと思う。
また、各章を閉じる文の運び方もドラマチックで、つい数節を口ずさみたくなってしまうような読書だった。
Posted by ブクログ
ルネサンス期の女性4人のそれぞれの生き方を書いた作品。イザベラデステ、自分は兄弟と同じく教養を受けて夫に替わって政治を取ったのに自分の娘たちは修道院…意外。自分の道がけもの道と解ってたから?単に息子命で娘イラネだった?私は嫌い。カテリーナは絶対上司にしたくないタイプ。こういうオバはんが職場にいると男性も女性も苦労するよね。ゴミ男を自分の仕事に関わらせ挙げ句の果てに復讐劇で市民を恐怖のどん底に陥れる。クビだー!ルクレツィアは私気になったのですが、ストライクゾーン広すぎませんか?詩人もいける軍人もいける、王子系もいける…イケイケすぎ!カテリーナは影薄くて可哀想。ヴェネチア人汚い。塩野さんの作品は、史実に忠実でキチンとしてて好きです。本人も相当期強くて風変わりなんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
塩野七生さんの本はよく読むが、原点とも言える作品だ。前書で、若書きと自らの作品を揶揄されているが、なかなか素晴らしい作品だ。四人の女性を通じてルネサンス期のイタリアを描く。それぞれの人物がよく描かれており、歴史に翻弄される哀しい運命が切々と書かれている。これらの物語は、さらに進化して、後の作品に結実すると考えると感慨深い。
Posted by ブクログ
ルネサンス期のイタリアに生きた4人の貴婦人を描く。
小説といえば小説なんだろうけど、史実をなぞり塩野解釈でそれぞれの女性を魅力的に、そして現代人にも身近に理解できるよう描いた解説書とも言える。
そう、よくも悪くも解説書に読めてしまうんだよなぁ。
ローマ人の物語が「やっぱり史実って小説よりも奥深くて面白くて勉強になる」と思えたのに比べて、本書は小説的な面白みに欠けるように思った。俺自身の基礎素養の貧弱さと「ローマ人の物語」に比べて圧倒的にボリュームが足りないのが原因だとは思うが、初期作品でもあるし、筆がこなれていないこともあるのかも知れない。これから塩野作品を読み勧めていくことで、俺の基礎素養は多分あがるだろうし、塩野さんの筆もこっちは間違いなくこなれていくのだから、これからが楽しみだということ。
最後に登場するカテリーナ・コルネールが印象に残った。ただ情勢に流されていくだけの言ってしまえば毒にも薬にもならない女王が。気がつけばキプロスという国を滅ぼしているのだから・・・。楊貴妃を傾国の美女と言うがカテリーナは贅沢もなければ男をもアド和すこともないのに、ヴェネチアという国が黒幕であったとしても、ある意味すげえ女性である。