あらすじ
街いちばんの名探偵の元には、奇妙な依頼人ばかりがやって来る。熱狂的ファンの中年男に、執拗に真似をされる恐怖を語る人気アイドル。(「アイドルストーカー」) 何者かに太る薬を盛られていると訴えるダイエットマニアの女。(「ダイエット」) 事務所から一歩も出ないものぐさな探偵の推理とは? 全編に仕掛けられた巧妙な罠と黒い笑い。奇才が放つ連作ミステリー。
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Posted by ブクログ
この真綿で首を絞める狂った論理が小林泰三!一話目を読んでそういうことか〜と思いながら楽しみ、きっとラストにひっくり返してくると予想してたら期待通りだった。
・アイドルストーカー
依頼人を狂った中年男性に疑わせておいて本物のアイドルに反転するラストがいい。この話自体が罠になって次以降の話にバイアスかけてくる構成が好き。ストーカーエピソードはめちゃくちゃ怖い。
・消去法
大掛かりなドッキリ。そんな馬鹿なって思うしやりすぎだろと思うけどそれでも超能力より科学的。
・ダイエット
こんなにわかりやすく罠を張られて騙されるんだ……と二度読みでショックを受けた。冷凍ピザをそのままいくの……?
・食材
話を追うごとにわかりやすくなってきて、明らかなミスリードだからこそ気にせず読みたいのにどうしても気になった。台車に乗る娘の描写は悪趣味。本当に助かるのか最後までわからず怖かった。
・命の軽さ
話が通じないのに自分の論理がしっかりある人間の描写、狂った立ち位置からの真っ直ぐな会話が読んでいて気持ちいい。最初の動物のことなんて忘れて詐欺?なんで?と思った途端血の気が引いて、やっぱりこの探偵おかしいよね……?となってぐるぐるした。
・モリアーティ
急に今まで読んでいた話の一段上で話すことで現実感増してくるのこわ……。急に気付かされる薄めの嫌な感じと心地よさが癖になる。安心して笑ってたさっきまでもここに危険があったことを示すのがうますぎる。
どんな形でも公開、を本に持ってくるのも好き。
著者の中ではホラーもSFもグロもなくてソフトだし、薦めやすくてうれしい。
Posted by ブクログ
"街いちばんの名探偵"が事務所にいながらにして謎を解く、安楽椅子探偵物の連作短編ミステリー。助手的な立場である"わたし"の目線から語られる。"意外すぎる結末"という表紙のキャッチコピー通り、それぞれのお話で予想していた結末から裏切られた。最終話で仄めかされた物語全体の"意外すぎる結末"も面白かった。
Posted by ブクログ
探偵が事務所から一歩も出ることなく依頼人から話を聞くだけで真相を解き明かす安楽椅子探偵形式のストーリーで助手がシャーロック・ホームズのワトソンのように書き記していく展開が続いたかと思いきや、最後の『モリアーティ』で全ての事件が根本から覆される描写に驚き「だから『モリアーティ』なのか。」という納得感もあった。全体的に会話文が多く読みやすいが、だからこそどこが伏線かを巧妙に隠している部分も良かった。ただ、落ちが少し弱いとも感じた。