あらすじ
それは旅というより、姿を消しつづける行為であり、
〈暗黒星の彷徨=ダーク・スター・サファリ=〉にほかならない。
チャトウィン『ソングライン』、ブーヴィエ『世界の使い方』に続く、
「オン・ザ・ムーブ」シリーズ第3弾。
アフリカの光と闇の奥をめざして、サファリをつづける。スワヒリ語の「サファリ」とは「旅」を、そして「音信不通になること」を意味する。
ハイエナ、象牙の密輸、ゴミ溜め、酷使されるロバ、
丸石敷きの路地にある剥き出しの汚水溝、
薄暗い小屋へ客を誘いこむ暗い目をした女……
セローがアフリカの地で見出した、西洋近代とはちがった「世界のあり方」とは?
原著 Dark Star Safari: Overland from Cairo to Cape Town
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
カイロから陸路でケープタウンへー。という触れ込みをみると、かつての「深夜特急」のような旅行記を思い浮かべるが、異なる種類のようだ。
著者のポール・セローは、かつてはアフリカでボランティアの教師として働いており、「再訪」の意味も含め、日常から脱出するたアフリカへ向かう。
考えてみれば、アフリカは人類発祥の地と考えられており、自然も豊かなはずなのに人々は貧しい。北からはキリスト教徒、東からはイスラム教が伝播。もともとの部族対立。大航海時代以降は南から白人が入植。人種差別。独立以降の混乱の中では共産主義という名の独裁、混沌。隣人がいきなり殺し合いをはじめる(ルワンダの大虐殺)。
やはり、何がおきているのかを確かめるためには、自分で赴くしかない。相当に名の知れた作家であるはずのセローはそうしてギュウギュウ詰めの、命知らずの運転手が運転するバスに身を任せ、一路南に向かいます(最後は自重してますが)。