あらすじ
読みやすさ、わかりやすさで、10万部を突破! ビジネスだけでなく、スポーツや人生のさまざまなシーンで活用できる 「負けないための戦略」が数多く紹介されています。複数の敵と戦わざるをえない今だからこそ読みたい、話題の兵法書です。
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Posted by ブクログ
前々から孫子を読んでみたいと思っていた中読書。
古典の名著といわれるが、本当に現在でも全く色褪せない原則が多く記されている印象
メモ
・いかに負けないかというところ。戦わないで相手を屈服させることは最善の策
・自分より弱い敵は味方に引き入れよ。敗れた敵兵もひきこめ。
・力関係が同じくらいの場合、事前に敵の意図を見破り、これを封じる。または敵の同盟関係を分断し孤立させる
・五事七計
道 下々と上を一心同体に
天 昼夜晴雨寒暑などの時間的条件
地 地理的条件
将 将軍の器量
法 軍需物資の管理など軍政に関する条件
主 責任者はどちらが戦いの理由を下まで浸透させているか
将 どちらが有能か
天地 天の時と地の利はどちらに有利か
法令 法令はどちらが徹底して兵器兵站はどちらが優れるか
兵 どちらが精強か
兵卒はどちらが訓練組織されているか
賞罰はどちらが公正に行われているのか
・重要なところはわざと書かない
・不敗の体勢は自軍の努力次第だが、勝機を見出せるかは相手の態勢如何にかかっている
・戦上手は自軍を絶対不敗の態勢におき、敵の隙は逃さずとらえる
・短期決戦での成功例はあるが、長期戦に持ち込んで成功した例を聞かない
短期で勝てる相手とだけ戦う
・戦争は所詮騙し合いに過ぎない
・臨機応変に動く。こちらを小さく弱く見せる。意図をとんちんかんに解釈させる
最初は処女のようにふるまい、油断をさそい、脱兎の如く攻める
・知謀に優れた将軍は食糧を敵地で調達するよう努力する
・敵が放置して置けないところを攻めること。敵の最も重視しているところを奪取すること
・戦力の集中による各個撃破を防ぐ策と重要拠点に兵をうすぐばら撒いて守る策はトレードオフ
・敵と対峙するときは正規作戦を採用し、敵を破るときは奇襲を採用する
・勝利する態勢を整えて戦うものが勝利を収め、戦いを始めてから慌てて勝機を掴もうとするものは敗北に追いやられる
・戦上手は相手をこちらの作戦に乗せようとする
・敵より先に戦場におもむいて相手を迎え撃てば余裕を持って戦うことができる。敵より遅れて戦場に到着すれば苦しい戦いを強いられる
・後出しジャンケンの威力。
無形を作る。相手の予測をさせない
・戦闘態勢は水の流れのようでなければならない。水に一定の形がないように戦争も不偏の態勢はありえない。敵の態勢に応じて変化しながら勝利を勝ち取ってこそ絶妙な用兵と言える
・堰き止められた水が激しい流れとなって岩を流すのは流れに勢いがあるから
勢いとはその時々の情況に従って臨機応変に対処することをいう
・戦上手は何よりもまず勢いに乗ることを重視し、一人一人の働きに過度の期待をかけない
・全軍を絶体絶命の窮地に追い込んで死戦させる。これが将軍の任務。兵士は逃げ道がなくなると一致団結し、敵の領内深く入り込むと結束を固めどうしようもない事態になると必死になって戦う
・敵を包囲したら必ず逃げ道を開けておき、窮地に追い込んだ敵に攻撃を仕掛けてはならない
・無形とは、移動経路や目的を捕捉させないことであり、自然体に構えて敵が先に動くのを待つことであり、完全に姿を消してしまうことでもある
・兵士にはまず温情をかける。心服をえる。その上で規律による統制を図る
・我が子のように扱う。危機感を共有させる
・将軍には陥りやすい五つの危険がある
必死になれば討死する
助かろうとすれば捕虜になる
短期で怒りっぽければ術中にはまる
清廉潔白では敵の挑発に乗る
民衆への思いやり強いと神経がまいる
・相手の意表をつくと言った情報や認識判断ベースの力
地の利や疲労空腹など環境肉体ベースの力
勢いや士気に代表される感情精神力ベースの力
閉院や物量など物量、管理ベースの力
この四つの力のバランスが重要
・
Posted by ブクログ
多くの有名経営者たちが愛読している中国の兵法、「孫子」を現代の戦略へどう反映させていくか、という話。私自身は孫子について初めて触れた本なので、とても面白かった一方で、ビジネスへの汎用性という点はなかなかすぐには難しいと感じた本。
本の半分以上は孫子の兵法の考え方と時代背景を紹介しており、まずはどう戦争で勝つべきかということが中心。
6割すぎたくらいから実際どう使うかの考察に入っていくが、具体性はあまりなく、概念的な話も多いので応用しづらい。しかし欧米のクラウセヴィッツの戦争論との比較は結構面白かった。
まず兵法の特徴を抜粋。
戦わずして勝つのが最善
→そもそも国力を守るためには交渉などで戦わずに勝てるのが最高
勝算がなければ戦わない
→負ける戦はしない、疲弊し後に食われる
彼を知り、己を知れば百戦して殆うべからず
→敵を含む周辺情報を含み、五事七計のこと。7つの責任者、将軍、地の利、法令、軍隊、組織、賞罰の比較で勝てることが重要。
短期で勝てる相手とだけ戦う
→長い戦いで良い結果になることは少ない
兵は詭道なり
→情報戦であり、相手がやってこないと油断をしていることなどをやる事が重要(だから守っていない)
相手が最も重視する所を奪うと、相手を思いのままにできる
将とは、智謀、信義、仁慈、勇気、威厳によって決まる(これらは掛け算、どれか一つ欠けてもダメ)
戦略への活かし方
戦略の考え方の違いから、切り捨て、という点。立場により大事なことのレベルが異なる。下層を捨て駒にする事が発生する。
試行錯誤ではなく臨機応変に対応して、致命傷だけを避けるべき。それによって、勝たなくても不敗にできる。
クラウセヴィッツの戦争論はひたすら相手の急所(重心)を打倒することを重視。孫子の兵法ではじわじわ弱らせて料理することを重視。
→相手の急所はビジネスでは見えづらい、崩しと決めがある事が重要。
詭道はビジネスでは使えない、短期決戦ではないから王道を取るべき。
→孫子は同じ相手と一度の戦いしか想定していないが、クラウセヴィッツは複数を想定している。これが、観光地ビジネスとそれ以外の違い。(観光地はぼったくりが多い)
選択と集中。会社の規模以外で参入障壁を作るのは困難。過去の成功を捨てる決断が必要。
勝ち癖をつけて勢いに乗る。ニッチで大きく勝ち、「どう大企業に頭を下げさせるか」を考える。
などなど。
兵法の考え方自体が面白く、クラウヴィッツとの比較も興味深かったが、この本自体はビジネスの戦略の教科書には正直できない。入門書として孫子を知り、ここからもっと深めていきたいと思わせる内容として、とても良かった。