あらすじ
他人を避け孤独に生きてきた有也と、生徒会役員で人望の厚い颯はクラスメイトで寮のルームメイト。正反対の二人の秘密――外では他人のフリ、部屋では恋人の関係だということ。颯が有也に触れる指先は甘く、有也にとって生まれてはじめての恋だった。しかし、ある夏の日、颯が事故に巻き込まれたことにより二人の関係は突然終わった。――彼はもう自分を覚えていない。それから数年後、颯のことを忘れられずにいた有也の前に再び颯が現れ――。
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Posted by ブクログ
久々に当たりのBL引いた……! ラストは涙ぐみながら読みました。これは最終的にエロとかなくても全然問題ない。いや、そのシーンは、それはそれでいいと思いましたけど、なかったとしてもいいと思える。
変わっていない想いを自覚している有也が、彼を想って泣き崩れるところは本当に切なかった。そして、最後に通じ合うところでどっと来た。切ない恋愛は萌える。
切ないのが好きなら、これは当たり。いいBLでした。
Posted by ブクログ
生徒会役員・颯×ルームメイト・有也
母親との関係から、孤独に生きる事がベストとする有也。
時間をかけ、有也の気持ちを解き恋人となった颯だが。
冬の章がいいですね。
戻らない記憶を受け入れようともがく有也の心情がせつない。スケッチブックの件なんかは、それがきっかけで記憶が戻ったりするのも有りの展開だったと思うんだけど、あえてそうならないのも切なさ倍増。
ただ、颯には、有也が孤独に生きようとしていた過去があることを覚えていて欲しかったかも。
Posted by ブクログ
【観点別評価】文章表現☆4、オリジナリティ☆3、作品としての質☆4、個人的嗜好☆3
【総合評価】文章や展開に破綻がなく、描写も上手い。泣きどころはあるが予定調和すぎて心に残るほどではない。☆3
これといった破綻はない。文体は平凡だが文章はしっかりしているし描写も巧み。しかし読んでいるときは大泣きしたが、読み終わってみると印象が薄い。
前半部分は萌えパート。寮で同室という設定やバリバリの王子様攻がストライクだという方は楽しめそう。とにかく攻が受のことを溺愛しているので、そこがハマればポイントも高くなると思う。
後半部分はどっぷり切ない。受が攻の言葉に不意を打たれて号泣する場面は非常に巧みで、こういう細部の良さがもっと盛り込まれていれば、印象深い作品になったかも。
良い作品なのにどうも心に残らない原因の一つとして、受以外の人物に厚みがないことが挙げられる。当て馬候補はいたが存在感がほとんどない。その他脇役もただの「設定」として存在するだけで「生きた人物」として描かれているとはいいがたく、それゆえに作品に深みを与えきれていない。受もなんだかんだいって良い子で、攻も色々と設定を作り込んではいるが結局はやはり完全無欠の良い人であり、おまけに「つるっと受に恋をして、更にもう一度つるっと彼に恋をした」感があるため(過去の記憶がどこかに残っていた、ということのようだが……うーんわかるけど喉ごしが良すぎる)、「悩める良い子ちゃんと悩まない良い人の悩む必要のない良い話」で終わってしまった。
決して悪い作品ではないので、萌えポイントがハマれば☆4だと思います。ただ、「また読みたいか」と問われたら「別にいいかな」というのが本音であり、そしてそれが全てであるような気もします……。
Posted by ブクログ
学園寮生ルームメートもの。攻はキラキラめのジェントルな王子様。
受は他人と距離を置くようなちょっとツンとしたナイーブな美人とくれば、
もう設定だけでかなり大好物です。
記憶喪失モノとしても王道パターンで、これといって目新しいエピソードは何もないのだけど、すごく切なくて、切なくて、ちょっと涙ぐんでしまうような場面もあった。
ふたりの気持ちがしっかり繋がった途端に、颯は不慮の事故で記憶を失くして突然有也の目の前から姿を消してしまう。
颯を失ってから、ただ平穏に生きていくことだけで精一杯だった有也だけれど、ある日バイト先で偶然、自分との過去はすっかり忘れて新しい生活を送っている颯と再会する。
颯を忘れられない自分と自分をすっかり忘れてしまった颯。
それでも再び一緒に時間を過ごすうちに、颯はもう一度有也と恋に落ちる。
最後まで記憶は戻らないパターンだった。でも恋する記憶って細胞レベルで体に刻みこまれてるんだろうか。
展開としてはありがちとしかいいようがないのだけど、嫌味じゃなくて、キュッと切なくなるお話だった。