あらすじ
今までの日本のICT(情報通信技術)戦略は、技術で始まり技術で終わることが多く、出口戦略がなく、結果として使われないものになっている。
IoTがその轍を踏まないようにすること、そのためにも哲学が重要なのである――。
「IoT=モノのインターネット」とは何か。何のための技術であり、私たちの社会や生活は、一体どう変わるのか。技術研究開発や社会制度設計、ビジネスや実用の最前線から、豊富な実例をあげつつ、その現状・課題・未来像と、日本への指針を示す!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今まで「モノをインターネットにつなぐ」という文字通りの理解しかしていなかったIoTについて、具体的な活用シーンや仕組みについて知ることができ、理解を深められた。
オープンな仕組みであることがしきりに強調され、これからの普及は技術的な問題でなく制度面に左右されると知った。日本はオープンな技術に乗り遅れていて、インターネットに続いてIoTにおいても同じ轍を踏むのは避けたいと思った。
Posted by ブクログ
IoTとは何か、という書名に正面から答えをもらったような気がする。読んで良かった。TRONプロジェクトはすごく理想的で、社会への出口まで考えられているのに、それでもまだ実現していないのはどこに問題があるのだろう。なかなか自ら悪いとこは書かないだろうから、違う方面からの話も必要なのだろうけれど、API含めたオープン化は避けられないんじゃないだろうか。
180424
Posted by ブクログ
IoT=ユビキタス=どこでもコンピュータ=HFDS(超機能分散システム)
社会認知度のカーブ「ハイプ・サイクル」
黎明期→「過度な期待」のピーク期→幻滅期→啓蒙活動期→生産性の安定期
Posted by ブクログ
IoT社会の実現には、技術革新のみでなくネットのようなオープン化のための社会制度改革が必要であり、日本は特にこの制度改革を急ぐ必要がある。
例えば、利用者や企業から取得する情報のアクセス権限をその情報の使用者によって適切にコントロールする徹底したガバナンス管理によるプライバシー問題への対処や、情報をオープン化する事によって発生する問題の責任所在を一局集中ではなく曖昧な境界線のベストエフォートのギャランティにする。
これにより、特定の場所や企業、メーカーで閉じるネットワークではなく、あらゆる物が製造元を越えたネットワークの形成が可能となり、イノベーションが加速する。
Posted by ブクログ
IoTという分野の全体感への理解を深めたく読書。
勉強になるだけでなく、読み物として面白い。
以下学びがあった点のメモ
・道路とインターネットの類似性
→全体の責任者なし、しなやかで強い
・オープンデータ、オープンAPIが重要となる
・機器メーカー側が主導権を取るためにアグリゲートコンピューティングを実現すべき
・日本でのIoT発展には技術より制度上の課題が多い
→技術先行に陥る日本、オープン/ベストエフォート/マッシュアップ文化は強い
Posted by ブクログ
物をインターネットにつなぐと言うのがどういうことなのかがよく理解できる本です。
ただ社会に浸透させるためには日本のガバナンスを変えていかなければなかなか難しいと言うのもよく分りました。その点海外(アメリカ)のガバナンスは日本と違いどんどんチャレンジできる環境にあるので日本より発達していくということも分かりました。
今後どのように物のインターネットが発達していくのか注目していきたいと思いました。
Posted by ブクログ
自分の情報を自らの意思で出すか、それとも自動的に情報を取られることには大きな差がある。自らのかざすというSuicaなどの方式は情報の出し側に主導権がある。
ベストエフォート型とギャランティ型。
道路はベストエフォート型で鉄道はギャランティ型という例えはよく分かる。
鉄道はインフラだけでなく、その上に乗るサービスも提供保証する。
一方、道路はインフラは管理するが、その上のサービスは利用者個々の責任である。
ベストエフォート型は脆弱だが、柔軟性がある。
これから発展していくだろうIoTの理解の一助となった。
Posted by ブクログ
カメラの例が分かりやすい。
シャッターがエッジノードで、画像処理はクラウド、画像の出力はネット経由で別ノード。
物は分解されネットで1つになる。
この時、シャッター、画像処理、画像の出力が同じベンダでは意味がない。カスタマがそれぞれの機能についてベストのベンダを選ぶべき(VRM?)。そのためには機能をユーザが自由にデザインできるように疎結合する仕組みが必須になる(オープンAPI?)。
IoTの壮大な理想像が初めて分かった。
加えて、IoT実現のために解決すべき技術的側面以外の問題点(ガバナンスの問題点)についても非常に熱く書かれている。僕としては、技術的な面よりこちらのほうに多く賛同できた。今後のイノベーションに向け日本は問題山積である。
Posted by ブクログ
◯「VRMーVendor Relationship Management」は、まさに管理の向きがCRMと真逆。カスタマーが自分に関係するベンダーを管理するという考え方だ。(106p)
◯カメラの機能を撮像素子とディスプレイとユーザーインタフェースに分解して、環境中に分散する。そしてクラウドから部屋全体に置かれたカメラを操作する。(144p)
◯日本の組織・個人は、一般に責任感が強く失敗を恐れる傾向が強い、いわばギャランティ志向である。ギャランティ志向は、ベストエフォートにより成り立たざるを得ないオープンなシステムと親和性が悪い。(160p)
Posted by ブクログ
過去ではなく、今、そして未来に目を向けて書かれているので、ワクワクした気持ちで読み進めることができた。
それと同時に、新しいことを始めようとした時の日本社会のしがらみの多さには残念でしかたない。
Posted by ブクログ
IoTとは何か。なんのための技術で、どういった技術なのか。私たちの生活がどうなっていくのかを簡単にまとめた本。小難しい説明はなく、かといって思想だけではなく実例も踏まえた説明がされる。インダストリ4.0など、世界の動向も簡単にまとめており、「IoTって何?」と思う人には丁度よい本だろう。ただ、中身はどうしてもシステム関連の話が出てしまうので、その辺りを気にしない人でないと、少し辛いのかもしれない。
●メモ
・細分化した技術は「なぜ、こう設計したのか」が抜けている
・モノをインターネットで繋ぐのではなく、Internetのようにモノをつなげていく。会社、組織、ビル、住宅…
・情報処理OS(LINUX)、組込用OS(TRON)
・IoTを実現することで、「世界が人間の入力、調整なしにコンピュータが自動制御、最適な制御を行う」ことに。
・インダストリ4.0で成し遂げようとしていることは、トヨタのJIT、カンバン方式と変わらない。違いは、一企業のクローズされた中か、世界にオープンなのかどうか
・トレーサビリティ機能も「特定の何かのため」ではなく、汎用的にして社会へ貢献していく。電子タグ(ucode)の紹介。課題はコスト負担をどうするか
・IoTの活用は「ヒト対モノ」ではなく「モノ対モノ」に可能性を見出す。オートメーション化された向上。インダストリ4.0はそれを実現するが「製造業」に絞られている
・GEのインダストリアル・インターネットは設備機器の運用・メンテナンスのIoT化。ビッグデータで故障発見前にメンテナンス。ただし特定メーカーに絞られている
・「モノ」だけでなく「場所」にIDをふる。住所ではなくビルの何回会議室
・日本に今後必要な、電子貨幣。各社が複雑化してしまっている。
・2020年以降、日本経済は厳しくなるからこそ、それまでに価値のあるインフラを作り上げなければならない
・個人情報をカードではなくクラウドに保持
・行政データをAPIで利用可能。単なるデータ、PDFでは他の用途へ利用できない
・日本は責任感が強く、失敗を恐れる傾向が強いため、ベストエフォートで成り立つオープンなシステムと相性が悪い。電子タグでも間違った時の責任をどうするのかなどで前へ進まない。ガバナンスをどうしていくかが最大のテーマとなる
・IoTで謳っている理想は全て政府、自治体・民間・個人の連携によって成り立つ。日本の組織が最も苦手とする分野。それに比べて米国は失敗しても、~だから失敗したとして体制を変えて挑戦する
・イノベーションを達成させるには回数が必要
Posted by ブクログ
IoTという言葉がよく出てくる昨今、結局何が重要なの?という素朴な疑問に坂村先生がわかりやすく解説した本。技術だけではなく運用や制度も含めてオープンな基盤となる、それがこれからのIoTなんだと先生は語ります。IoTを語るならこれを読んでおきたいという感じの一冊です。
Posted by ブクログ
坂村先生の本。ユビキタス系のネタが多いのはご愛嬌。
テクノロジーからビジネスまで広範囲に取り上げ、整理付けされているのが、とてもよかった。
流石です。
Posted by ブクログ
2016年の書籍。オープン化の世界的な流れに逆らう囲い込みは望ましくないが、ビジネス的に成り立たなければ社会に受け入れられない。孤立しない囲い込みとして、自社クラウドに直結してAPIを公開することで、独占性というビジネス要求を満たしつつ、オープン化による連携を可能にするアグリゲートコンピューティング(著者・坂村健氏提唱)を推奨。
Posted by ブクログ
IOTとはユビキタスのことで定義は全く同じである。
それは書くコンピューター、物が相互に連絡しあって効率的に動くことである
こういうものっていう紹介はあるけど心には響かないな。
情報たくさん集めていろいろ活用する社会になればいいのにね
Posted by ブクログ
【由来】
・MediaMarkerのトップページで
【期待したもの】
・坂村さんがIoTを解説する新書となれば、読まない理由がない。
【要約】
・IoTはオープンでなければ本来のビジョンを達成できない。そして、そのためにはガバナンスの取り決め方が重要になってくるが、この点において日本は弱いのが懸念事項。
・TRONな坂村先生の本。IoTの普及による素晴らしい世界の礼賛には若干の危うさを感じます。でも文明の発展ってのは、そういうもんかな。ガバナンスの意識の問題が、特に日本においては重要との指摘。でも、だったら日本ではなかなか進まないんじゃないかなあ。
【ノート】
・TORN:リアルタムOS に対してはタイムシェアリング
【HARA無双】
・最近、どんな事を言っているのか、気になるところですが。というのも、言ったことは貧弱ながら、すでに現実化していて、ユビキタスの夢も色褪せた感じなので。楽観主義は昔からですが、結局、敗北してしまう、負け癖は直さないとね。
【目次】
Posted by ブクログ
IoTに関する本は、何冊も読んできましたが共通点を見つけることが難しい。。。それだけ、まだまだ定義も曖昧なんだということが、よくわかります。裏を返せば、これから大きな変革を秘めている領域ということも言えると思います。
Posted by ブクログ
IoTとは社会全体のロボット化である。
高効率化、安全性向上、個々の利便性向上
これらを叶えるまでの大きな壁は、哲学的議論(トロッコ問題)や法律・制度の対応である
ゼロリスクはありえない。
交通道路だって年間で何人もの方がなくなっている。
社会全体におけるコンセンサスとるために、議論をし続けて、国民の理解を進めていく必要がある。