【感想・ネタバレ】右翼と左翼のレビュー

あらすじ

「もはや右翼も左翼もない時代」といわれる。が、依然「右‐左」のレッテルはさまざまなものに貼られている。しかし「では右って何?左って?」と訊かれると答えに窮する。「右‐左」の対立軸は何か?なぜ「上‐下」「前‐後」ではないのか?定義はもとより世界史的誕生の瞬間から派生まで、影響された日本の「右‐左」の特殊性から戦後の歪み、現代の問題点までを解き明かし、ここ百数十年の世界史とそれに巻き込まれた日本の歴史がわかる画期的な一冊。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

右翼って何!?左翼って何!?
右翼・左翼って呼ばれる人たちって、どういう価値判断で行動してるわけ?…という素朴な疑問から、読んでみました。

なーるーほーどー!!!と思うことが多くて、わかりやすくて面白かった。今まで自分が持っていた簡単なイメージとしては、
○右翼=保守、愛国、天皇崇拝
○左翼=急進派、革命
○どっかの国の国会で右と左に議員の席が分かれてたことから右翼・左翼という

これくらいの知識でした(まぁ、間違ってはいなかった)。で、右翼・左翼という言葉が生まれたフランス革命の頃の説明から始まって、明治維新から大戦前後、現代の右翼・左翼の定義まで、わかりやすく説明してあります。

人権が侵害されていた世の中から、“左”の人たちは“自由・平等”を求めて戦い、その時代の“右”はどんどん押しやられていって、“左”が真ん中になり、さらにもっと進んだ人権を求める“左”が生まれてきた。そして今落ち着いているところが“議会制民主主義”であって、それより更に“左”は“社会主義”や“共産主義”であり、これ以上左には行きようがない、ってところですね。
今では当たり前の“民主主義”も“王政”の時代にはものすごく左だったわけです。
ということは、中国など、現在社会主義国の場合は、たてまえ上は“自由・平等”の理想の社会を実現した究極の“左”に位置しているわけだから(実際はどうかは別として)、“民主化”を唱える団体などは“右”と言われるらしい。
おもしろいなぁ!!!

だいたい、この本を読むまで共産主義が“自由・平等”を求めた市民革命の理想の、更に先を見ていたっていうことも分かっていなかった。市民革命が目指していた“自由・平等”と“共産主義”は全く別のベクトルだと思っていた。
今まで“なんとなく分かったつもり”だったことが、ちゃんと理解できるようになる本です。

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2019年10月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

社会主義、共産主義を唱えながら、そのための犠牲は厭う「左」と、ナショナリズムは叫ぶが、やはりそのための犠牲は避けたい「右」が補完し合いつつ、全国民的な政策合意であった「経済成長」へ邁進していった戦後日本。それは「右」「左」が、それぞれ核として持っていたはずの「正義」を喪失していき、体制の一機関と化してゆくプロセスだったといえましょう。p187

「新左翼」の学生運動のモチベーションの源泉⇒イギリスの政治学者イングルハートのいう政治行動の脱物質主義化?p196

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2014年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

右翼と左翼をきちんと区別してください。大人なんだからできるでしょ??よくわかんないです!!


 なんとなくわかっている言葉をきちんと把握するシリーズ。簡単に説明されていてよかったよ。



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p43 辞書的な意味
 右翼と左翼はタグ付の違いで理解するのがわかりやすいと前から思っていた。単純な対比構造じゃないからね。

「左翼」=進歩、自由、平等、合理主義、下層階級、知性・啓蒙主義、国粋主義、民族主義

「右翼」=保守、秩序、階層性、非合理主義、上層階級、反知識人主義、社会主義、共産主義、無政府主義

 こんな感じ。


p210 自虐史観
 ここに三十年来の日本の教科書がマルクス史観の歴史家によって編纂されたせいで、反国粋主義な内容(南京虐殺、従軍慰安婦などの歴史事実が明らかになってない問題など)になっているという右翼の主張。
 自虐史観は本当に自虐なのだろうか。左翼にとって天皇制や軍国主義など当時の帝国主義は対抗勢力である。当時の日本はまさに否定すべき大勢だったのだから、日本否定は別に自虐じゃあない。
 右翼にとっては自虐だけど、やってる当事者の左翼にとっては自虐でもなんでもないのだ。つまり、この問題は右翼の自分勝手な喚き散らしなところも無くはないのである。

 右翼、左翼、こういうところがあるからわかりづらい。あと一歩頭良くないんだよな。


p234 存在意義が狂わせる
 今の日本で右翼、左翼、とも胡散臭いものになっているのはなぜか。それは、日本が安定した国家になったために、存在意義がなくなって必死にほえ続けているからなのかもしれない。
 社会主義は世の中の労働者がブルジョワに搾取され劣悪な生活をしている時代じゃないと存在意義がない。
 国家主義は戦争中など、敵対勢力が居て一致団結しないといけないような世の中じゃないと存在意義がない。
 
 存在意義を失いつつあるものは何をするか。自分たちの存在意義を確立するために、ない物をでっち上げたり、人々の不安をあおって世の中を扇動しようとする。だから胡散臭くなっちゃうんだよな。

p241 宗教・民族主義の反共主義
 共産主義は、宗教権威や既存の権力機構の否定・打倒を叫ぶ。だから、世界の宗教であるローマカトリックやイスラエルやアラブは共産主義を嫌っている。冷戦中もそういった宗教組織は西側に加担した。
 
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 右翼と左翼の違いを説明できるようになった。

 どうして右翼と左翼が胡散臭い物に思えるのか説明できるようになった。

 今の日本で右翼と左翼はどうなるのか、なんとなくわかってきた。安倍総理は右翼だが、彼が活動できるようになってきたのは、対抗勢力の左翼(中国とか)を煽って自分たちの正当性を表現できるようにしているからだな。

 今の日本人に大切なのは、彼らの誇大広告に敏感に反応しないことだ。「お前らそんなに一生懸命やるな。おせっかいだ、ボケ。」くらいの態度、自分たち民間人ですべて賄えるという気概をもって生きていくことが大事なんだな。

 そのために左翼もいらないよう生きなきゃ。中道を生きる難しさ。でもそれこそ本当の自立と自由だ。
  

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2015年05月02日

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