【感想・ネタバレ】超国家主義の論理と心理 他八篇のレビュー

あらすじ

日本ナショナリズムは、なぜ超国家主義(ウルトラ・ナショナリズム)へと突き進んだのか? 敗戦の翌年、日本軍国主義の精神構造に真っ向から対峙し、抑圧が下位に移されていく「抑圧委譲の原理」、それゆえの「無責任の体制」などを鋭く指摘し丸山の名を一躍高めた表題作。他に、冷戦下でのマルクス主義再検討など、著者の原点たる戦後10年の論考を集成。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『日本ファシズム の思想と運動』
この論文は、初めて読んだが、日本のファシズム 運動について、担い手とか明晰、明快に分析されている。
『軍国支配者の精神形態』
東京裁判の公判の速記録から分析。
何ら計画性もなく、日本の支配者層が、日米開戦に踏み切ったのは、連合国人を驚かせ、理解に苦しんだ。
枢軸国側で日本に特質的な事は、指導力の欠如である。

2.ナチ指導者との比較
ナチ指導者と日本の戦犯の比較を進める。
ナチ指導者は学歴が低かったが、日本の戦犯は、学歴が高かった。

ナチ指導者は、自覚的に残虐行為を行う。
日本の戦犯は、顕著な無計画性と指導力の欠如により、目的意識により手段をコントロールできず、手段としての武力行使が、ずるずる拡大して行き、自己目的化してしまった。
日本の戦犯ら指導者たちは『弱い精神』の持ち主、弱い性格であった。

"日本支配層を特色づけるこのような矮小性を最も露骨に世界に示したのは戦犯者たちの異口同音の戦争責任否定であった。"(p 162)

"被告を含めた支配層一般が今度の戦争において主体的責任意識に希薄だということは、恥知らずの狡猾とか浅ましい保身術とかいった個人道徳に帰すべくあまりに根深い原因をもっている。それはいわば個人の堕落の問題ではなくて後に見るように『体制』そのもののデカダンスの象徴なのである。"(p 167)

3.日本ファシズム の矮小性 その1
既成事実への屈服と権限への逃避。
既成事実の屈服は、自民党のお家芸。
起こってしまったこと、決まってしまったことは、仕方がないというスタンス。

"ここで『現実』というものは・・・(略)作り出されてしまったこと、いな、さらにはっきりいえばどこからか起って来たものと考えられていることである。"(p 173)
東京裁判での支配層にいた戦犯の証言を分析して。

皆、責任転嫁し、何処に政策決定の主体があったのかが、わからない。

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2020年02月15日

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