あらすじ
BOP市場から生まれる世界規模のイノベーション
BOP(Bottom Of the Pyramid)、すなわち経済ピラミッドの底辺に位置する世界40億人の「貧困層」は、適切なアプローチをとれば有望な「顧客」に変わる――。BOP市場の巨大な可能性と「ビジネスを通じた貧困削減」の希望を示して全世界に絶大な影響を与えたベストセラーの増補改訂版。骨太の理論と豊富なケーススタディを通して、動き始めた巨大市場の実状とビジネスの未来が見えてくる。
※印刷版の付録CD-ROMに収録されているPART5のビデオクリップ集は本製品に含まれておりません。ご注意ください。
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Posted by ブクログ
グローバル資本主義は人々を幸せにするのかという問題意識を持っていた私にとって、この本の中の次のくだりが新鮮だった。「グローバル化は重力のようなもので、否定しても何にもならない。グローバル化の是非を問うのではなく、むしろ、あらゆる人々がグローバル化の恩恵を受けられるようにするにはどうすればよいかと問えば、われわれはもっと創造的になれる」
Posted by ブクログ
重厚な本で読み切るのに相当時間を費やしたが、内容は腹落ちできる点が多い。なぜ1日2ドル以下で暮らす人々がマーケットとなり得るのか、その理由をBOP市場の魅力とともに紹介し納得感も高い。貧困を救うのはボランティアや手助けというマインドセットではなく、ビジネスとしてその層と向き合い、その結果その層が幸せになるのが最良であり、それは十分可能だと理解できた。貧困をなくすことはSDGsの1番目に掲げられている目標でもあり、それを実現できるのはビジネスの力だということが確信できた。
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世界の貧困問題の解消は、援助でなく、ビジネスで。というと、フェアトレードかなんかかな、と思うのだが、そういう話ではなく、本当にプロフィット・ドリブンなビジネスを通じてというのだから、かなり驚く。1日2ドル以下で生活する層が市場になるのか?プラハラードの答えは、イエス。なぜなら、一人あたりの利益は小さくても数十億の人間がいるから。
だが、ビジネスとして成立させるためには、コスト面やビジネスモデルなどで全く新しい発想が必要。というわけで、さまざまなケースが紹介してあって、これがすごく面白い。
例えば、ニカラグアの貧困層がすむ電力がない村に電気を送る。しかし、送電線がないので、太陽光発電を設置するほうがコスト的に優位となり、ビジネスとして成り立つ。日本では、太陽光発電は、ある意味、エココンシャスな金持ちの道楽的な感じがなくもないが、そういう先進国の先進技術が最貧層のエネルギー問題の解決策になるということは相当に逆転の発想である。
といった事例が多く収録されていて、目からうろこだ。(発想的にはグラミン銀行のマイクロファイナンスに似た感じが多いかな)
ただ、ハメル&プラハラードの「コアコンピタンス経営」もそうなんだけど、なんか文章が読みにくくて、ストレートに頭に入っていかないところが難点かな。
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最貧困層(BOP)を顧客にするには、まず間違った認識とお互いの疑念をなくす。
本書に指摘されている間違った「認識」を無意識にしていたことに気づいた。
事例がかなり細かく書いてあり、今後どう新事業、新ターゲットに対して取り組んでいくかを考える際にも参考にしたい。
Posted by ブクログ
例が多く、分かりやすかった。今後の考えとして必須。
BOP(Bottom of Pyramid) の人々の市場を開拓するか?
コスト + 利益 = 販売価格 ではなく、販売価格 - コスト = 利益 となる。つまり、販売価格(支払い能力)は決まっている。
スケールメリットが大きい(他の国でも適用できる)
Win - Win の関係を構築できれば、市場が広がる。
Posted by ブクログ
アイデアとして、本のネタとして、貧困層が多くいる途上国でビジネスをしようという考えに共感を抱いた。
もちろん、購買力の問題もあるし、汚職の問題もあるし、壁は高いけど、この方向性で考えていきたい。
Posted by ブクログ
企業戦略の専門家による、世界の貧困層を顧客に変えるビジネス論。世界に40億人存在する($2/日)以下で生活する貧困層は、今までビジネス界から無視されてきたが、この層に目を向け、援助ではなく消費者としてWIN-WINの関係を模索し実践している事例が記されている。初めの200頁が論理で、後の450頁は事例である。
「携帯電話はいくつかの根強い考えを粉砕した。「経済ピラミッドの底辺には市場はない」「彼らには使うお金がない」「先進技術を生活に取り入れようとはせず、その必要もない」「多国籍企業は彼らを必要としていない」という思い込みである」p39
「BOP市場は、人類の80%を占めている。生活の質の向上を求める40億人の人々によって、これまでにない驚異的な市場が形成されると期待するのは理にかなっている」p154
「汚職とは、特権的に資源にアクセスできるように手配し、時間的な価値をお金に換算することである」p187
「BOPの貧困層を消費者として扱うことにより、彼らは自尊心、選択の自由という恩恵を受け、貧困という苦しい境遇から抜け出す機会を得られる」p206
「農業は、インドのGDPの23%を占め、10億人の国民を養い、労働人口の66%を雇用している」p506
「プロジェクトは、ネットワークへの接続とハードウェアに焦点を当てたものが圧倒的に多い。情報の流れという重要な問題を解決する方法より、ネットワーク作りや、学校にコンピュータを配置することばかりが重視され、それを使う人や人間同士のネットワークについては考えられていない」p559
「世界の農村部の人々は照明を得るために、ロウソク、灯油、乾電池、バッテリーの充電などで毎月8~12ドルを支出している。貧困層は所得に不釣合いな額を支払っているというパラドックスに陥っているのである」p582
Posted by ブクログ
貧困層が貧困から抜け出せない理由は、「選択肢が少ないこと」「選択肢があったとしても、無知なために合理的な選択ができないこと」の2つだと思う。これを悪用したのがいわゆる貧困ビジネスであるが、本書は、「貧困層に新たな選択肢を与えること」、そして、「貧困層に知識を与えること」が、貧困から抜け出す方法であり、提供するサプライヤーも利益を得られたという事例を豊富に載せている。
大方共通していたのは、「ICTによる効率化」「与信をグループで担保」というところか。
エネルギービジネスも1例載っていたので、興味深かった。なるほど分散型エネルギーシステムは特に遠隔地において送電網を敷設するよりは経済性が確保できそうだが、まだ高価なところが問題である。そこで、まずは最貧層ではなく、中間層に攻めたところが本ケースの特徴。
ちなみに、この手のテーマは百聞は一見にしかずというところがあるが、映像のCDも付録としてついているので、よりイメージがしやすくなる。
Posted by ブクログ
BOT(Bottom of the pyramid)のマーケットが
これから重要になり、
貧困層を救う手立ては、そこにビジネスを持ち込むこと
だということも理解出来た。
実際そこで成功している企業があるということもわかった。
しかし、原価を今の10~20%下げるのではなく、
90%ほど下げるにはどうすればいいのか、
この本からは全くわからない。
そこが一番重要だと思うのだが・・・。
Posted by ブクログ
いわゆるBOP市場の可能性を探る本。
BOP市場は、先進国の廉価版を提供すればいいというものではない。彼らのニーズを満たす調査、価値の提供が必要。
Posted by ブクログ
・テーマ
・民間企業が貧困緩和に果たす役割はどう変化してきたか
・多国籍企業を含む大企業は、BOP市場で従来と異なるビジネスチャンスを積極的に追求する中で何を学んだか
・これらの市場機会を開拓する上で鍵となる重要な教訓は何か
・BOP市場は企業に「新しい社会契約」を突きつけているのか
・BOP市場への参入を考える際に守るべき「関わり方のルール」とは何か
・BOPでの市場開拓において重要な要素
・教育や情報
・製品・サービスへのアクセス
・手頃な値段
・入手のしやすさ
・BOP市場におけるイノベーション12の原則
・コストパファーマンスを劇的に向上させる
・最新の技術を活用して複合型で解決する
・規模の拡大を前提にする
・環境資源を消費しない
・求められる機能を1から考える
・現地での作業を単純化する
・顧客の教育を工夫する
・劣悪な環境にも適応させる
・消費者特製に合うユーザー・インターフェースを設計する
・貧困層にアプローチする手段を構築する
・これまでの常識を捨てる
Posted by ブクログ
■ネクスト・マーケット
A.BOP 市場にアプローチする際は、貧困層の特性を念頭に置く必要がある。例えば、彼らは大きな潜在的購買力を持っている。また、急速にネットワークを築きつつあり、ワイヤレス機器などの高度な技術も難なく受け入れる。
B.貧困層を消費者に変えるには、BOP の消費力を作り出さなければならない。そのためには、「手頃な値段」「入手のしやすさ」などを考慮する必要がある。また、企業は貧困層に対する偏見を捨てて、相互の信頼を築く努力をすべきだ。
C.BOP 市場を開拓するには、企業、政府、そして貧困者自身が、貧困問題に対する解決策を「共創」することが重要である。
Posted by ブクログ
結論、BOPという概念を初めて知りその勉強のために読みましたが読むのがしんどい本だなと思いました。
事例が多く並べられていますが、数字を表、図に入れただけであまりイメージが湧かないのとそれをいちいち細かく考えていたらこの本が分厚いので読み終わらないなと非常に苦痛に感じました。
内容自体はBOPを成功させるために技術以上に現地の常識と戦うこと、女性の力を活用すること、通信インフラなどの技術を浸透させるあるいは現地に対応させるなど事例によってイノベーションの切り口は違えど「効率化」「現地での適応化」が共通で言えるのかなと感じました。
全体として、事例の多くがインドでありなんだかんだITの分野で日本以上の国ではあるが農村部との格差や衛生問題など人口が多い国のために多くの問題を抱えているのが見えてくる中身でした。
チェック(一部割愛)
・失うものが何もないBOPの消費者は新しい技術を貪欲に取り入れようとしている。(固定よりワイヤレス機器)
・BOPの「i字カーブ」
イノベーションを推進する反面、従来の市場を消滅させる可能性を持っているのだ。
・「当社のビジネスは販売がすべてではなく、配達もビジネスの一部です。」(ジベルト・ドゥアルテ)
・女性は本質的に起業家精神にあふれている。(貯蓄という側面)
・下痢は毎年220万人の死者をだす。うち30%がインド。
・「どうすれば健康になれるのか。ここに、まだ満たされていないニーズがあるのです。」
・ボクシーバが学んだ教訓:双方向の情報の流れを促進する。
既存のインフラを最大限に活用する。
・「自分たちを貧しくしているのは競争力と知識の欠如であることを貧困層はわかっている」
・「給料よりも社会的に認められることです」(アラビンド・アイ・ケア・システム)
Posted by ブクログ
発展途上国で貧困層相手にビジネスをする方法についての本。
BOP = Bottom of Pyramid = 貧困層
1日の生活費が2ドル未満の人々で、その人口は40億人~50億人で、BRICsを超える巨大市場。
貧困層は低所得のため、貧困層向けのビジネスは利益を生みにくく、成功しないという先入観に対して著者は批判。
途上国の貧困層向けのビジネスは、先進国の大衆向けのビジネスとはやり方が異なる。
やり方を押さえれば、成功することもできるらしい。
ポイントは、
1.BOPの市場特性をよく理解する
2.イノベーションを起こす
3.貧困層が自ら選択し、自尊心を養う機会を創り出す
こと。
1については、今までの常識を疑ってみることが必要。著者いわく、BOP市場の人々には潜在的購買力があり、ブランド志向もあるとのこと。
2については、規模の拡大を前提にする、求められる機能を一から構築する、など。
3が重要な点で、著者の主張が単なる市場原理崇拝ではない点に共感した。また、開発援助による弊害も克服できる。
常識を疑い、マーケットを見つけ、特性・ニーズを調べつくし、『顧客』とWin-Winの関係を築いて行く点は、BOP市場以外にも当てはまると思った。
勉強になった一冊。