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「魔蟲伝」「水虎論」「小面曾我放下敵討」「豊国祭の鐘」「かいちご」「飛鏡の蠱」「『俊寛』抄―または世阿弥という名の獄―」の7編を収録。いずれも中世後期~近世初頭を舞台とし、真言「立川流」を下敷きにした伝奇色の濃い時代小説である。この中では「『俊寛』抄」が格別に優れている。
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短編7篇収録。室町時代を舞台にした伝奇小説集。
歴史的には今一つマイナーな(?)イメージを持たれがちな室町時代だが、ここを舞台に著者が小説を書くに至った経緯はあとがきに記されている。
仏教における異端とも言うべき「立川流」が全作を通じて登場し、この作者ならではの衒学的作風と相俟って作品における妖異的要素を担っている。各作品において、主人公や他の人物がそれぞれに放つエネルギーは、一種の凄味すらも見せる。
巻頭の書き下ろしを除く6篇は、これまで異形コレクションに収録されていたもの(つまり殆どが既読)。購入してから気付いたのだが、まとめて読んでみてもやっぱり面白い。