あらすじ
《戦乱の昏き世。足利が織田が豊臣が、そして妖異の者たちが描きだす壮大な伝奇絵巻!》その男は龍にならんとする蛇か? ──琵琶法師を殺(あや)めて奪った古文書が、油売り・庄五郎の野心を烈(はげ)しく燃やす。そこに記されしは邪淫教立川流の秘儀! 天下を取り、女を抱くため、古文書にしたがい、魔物と約定を交わす庄五郎。彼が辿る凄絶な運命とは?(「魔蟲傳(まむしでん)」)
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Posted by ブクログ
短編7篇収録。室町時代を舞台にした伝奇小説集。
歴史的には今一つマイナーな(?)イメージを持たれがちな室町時代だが、ここを舞台に著者が小説を書くに至った経緯はあとがきに記されている。
仏教における異端とも言うべき「立川流」が全作を通じて登場し、この作者ならではの衒学的作風と相俟って作品における妖異的要素を担っている。各作品において、主人公や他の人物がそれぞれに放つエネルギーは、一種の凄味すらも見せる。
巻頭の書き下ろしを除く6篇は、これまで異形コレクションに収録されていたもの(つまり殆どが既読)。購入してから気付いたのだが、まとめて読んでみてもやっぱり面白い。