あらすじ
一九九七年、スペインのさびれた地方都市ビルバオに世界的に有名な建築家フランク・ゲーリー設計のビルバオ・グッゲンハイム美術館が誕生しました。その集客は最初の3年間で400万人、収益約5億ユーロ!しかしこの美術館は存続の危機に陥った老舗名門美術館による起死回生の挑戦でした。美術品の保存と研究を旨とする美術館に、今、商業化とグローバル化の波が押し寄せています。新しく変わりつつある文化の殿堂で何が起きているのでしょうか?
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これまでにも何冊ものアート関連の本を読んできましたが、小難しくて頭を抱えるものが多かった。でも、これはアート初心者にもやさしく解説されているのでさらっと読める。本著は「現代アート」よりも著者が強みとしている近世の「西洋アート」を中心に語られている。
でも、美術館ってこういうふうにして運営されていて、日本の美術館市場がどのような状態なのかを把握できるのでとても興味深かった。これで、展示や企画展の見方も変わる気がする。
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三菱一号美術館の館長の著作。
美術や美術館事情に詳しい人には物足りないかもしれないが、
私のように「そんなに詳しくないけど興味はある。時々美術館にも行く」という人にオススメ。
一通りのことが簡潔に分かりやすく書いてある。
いちいち「へぇ~、そうなんだ~」と思いながら楽しく
読んだ。
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丸の内にある落ち着いた雰囲気を持つ美術館である、三菱一号館美術館。同館の館長が書き綴る、日本の美術展と美術館の実態と現状。日本の美術館に対する公的援助が少ないことは、以前から重々承知していた。自前で用意できるコレクションに乏しく、海外にネットワークを張り巡らす新聞社・メディアの力なくしては、日本の美術館で海外芸術の展覧感を開催することは難しいのだ。そのことが、日本の美術館とメディアの関係に悪影響を及ぼし、日本に真っ当な美重点の評論が存在しないことを、筆者は心から憂えている。「寄付」と「寄贈」の違い、美術品を巡るドロドロの世界、美術品と光(太陽光、室内照明問わず)の関係…。「学芸員」の地位が、海外と日本とでは全く違うことに、驚く人も多いだろう。大学の講座で簡単に取得できる日本に対し、高度な試験を突破しないとその座につけない海外。自前で用意できるコレクションがない(少ない)が故に、日本独自で発展した様式が、海外の美術関係者から奇異の目で見られていることは、日本人美術愛好者の一人としては肩身が狭い。そしてここ数年の世界的不況で、海外の美術館も経済的苦境に陥っているのは、美術ファン、美術展覧会好きには気がかりな状況である。美術というのは、このまま「金持ちの道楽」になってしまうのだろうか。
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美術ファンとしては各美術館で様々な企画展が開催される事は行きたい展示が多すぎて選べない!という贅沢な悩みだと思っていたけれど、関係者から見ると美術展の商業化という意味で良いことばかりではないのだと知って驚いた。
海外から作品を集めれば集めるほど輸送費や保険料で莫大な費用がかかり、それを回収するため新聞社やテレビが宣伝しグッズを作り‥いわゆる日本で開催される「企画展」は失敗が許されない、ハイリスクハイリターンの一大ビジネスに(良くも悪くも)なったとのこと。関係者は大変なプレッシャーの中で準備に追われているんだろうな‥
今後美術館に行く時は心して行こうと思いました(笑)
あと個人的には日本の美術品は主に紙のものが多く展示中のダメージが多い事から展示期間が短いという話が印象的だった。もっと会期を延長してくれれば良いのに‥と不満だったけれどそんな理由なら致し方ない。
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日本の美術館・美術展の成り立ちから、美術館運営の裏側、今後の美術館の展望までを書いた本。作者の高橋氏は丸の内にある三菱1号館美術館の館長であり、彼がこれまで経験したエピソードも交えて描いており、非常に面白かった。
この本は年に1回か2回、興味のある展覧会が開催されている時だけ美術館に行く、私のようなビギナーが最も楽しく読めるのではないかと思う。
この本を読んで、自分が知っている画家・アーティストのみならず、未知の展覧会にも足を運んでみようと思うようになった。
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言われてみれば気になるものがある。それは美術館の行っている展覧会がどのように企画されて運営されるかということだ。その点で今回の本はぴったりだ。今回の著者は、丸の内にある三菱一号館美術館の初代館長。
よく展覧会のパンフレットに主催者の欄に必ずと言っていいほど載っている業界の名前がある。それは新聞社だ。戦後の海外展で海外の美術館から貸してもらうための交渉をするには海外駐在員や特派員はうってつけの存在だった。何しろ1ドル360円という時代で、誰もが手軽に旅行できる時代ではなかった。そのうえ新聞社にとっても自社の存在をアピールできる。アピールも文化に関心があるというお上品なやりかたで。需要の供給の一致が今日の海外展の基礎になっている。
1980年代以降、放送局が美術展開催の参入するようになったとある。TBSの世界ふしぎ発見を見ているとたまに展覧会の宣伝を兼ねたテーマを取り上げていることがある。その後、「商業化への道をたどる海外展」と著者が述べているように、海外の美術館は資金繰りが苦しくなってきて、日本の海外展を金の生る木にせざるを得なくなったそうだ。茶者がある美術館の名誉館長にチクリといわれた一言が載っている。それは「作品をお金で集める習慣をつけてしまったのは日本人なんだよ」と。その付けが今どっしりと響いてきているようだ。
読んでいてびっくりしたのが美術品の扱い。日本に届いて中を開けてみたら、フレスコ画の表面の顔料がはがれ落ちていた。それに対してナポリの美術館からのもので、付き添ってきたクーリエがはがれた顔料を掌にとってごみ箱に捨てたと書かれている。さらに、「イタリア人はジオットのフレスコ画を雑巾でふいてるんだよ」という著者の恩師の言葉。「あまり細かいことは気にしない傾向が強いのです」とあるように、日本人では考えられないことをする。フランス人も同様の傾向が強いそうだ。
美術館や博物館で働く場合も、商社で海外勤務をする人に求められる「神経の図太さ」が必要だ。可憐な一輪の花では心もとない。
展覧会を企画、運営していくことが大変なのが分かる。今度展覧会を見に行くときは、どんな風に企画して運営しているのか注目してみるか。展覧会の公式ガイドを見るとどこかに何かしらの形で書かれている。
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2023.12.10 長いこと美術館の現場にいる方からのメッセージは、やはり奥深く心に響くものがある。経験の素晴らしさを再確認することができた。
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展覧会にじゃぶじゃぶお金を使えた、円も強く、経済実体の強さもあった時代と違い、これからの日本は知恵が必要と痛感。
何かにつけてお金がかかる展覧会・美術館状況らしいが、品良く、知性を生かして発展させて欲しい。
むしろお金があった以前の日本の展覧会事情こそ決して褒められたものでもなかったようだが・・・
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日本と西洋やアメリカ、新興の中国まで、それぞれ美術館のなりたちから運営の違いまでバラバラで、相補的に関わり合いながら、美術史と同様、美術館にも時代の流れがあるのが面白かった。作品の見せ方やコンセプトに学芸員のワザや想い、水面下での努力があって、似たようなテーマであっても見せ方でかなり変わるんだなーと感心した。今後はもっと丁寧に展覧会見てまわりたいです。
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日本における美術展の成り立ちから、世界の美術展との違い、そして美術展開催に纏わるインサイドストーリなど、新書じゃなくてもっと知りたいと思える様な内容でした。
魑魅魍魎とまでは言わないけれど、なかなか癖のある人間が多そうで、ディグりたくなってくる。
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この間『美術館で働くということ』というエッセコミックを読んだ時、この本のことが頭にあった。
そこでいよいよ読むことに。
著者はオルセー美術館の開館準備室、国立西洋美術館の学芸員を歴任し、三菱一号館美術館館長に収まった、エリート中のエリート。
そういう立場から垣間見た、欧米のキュレーターの世界の華麗なことといったら。
『美術館で…』とはまた違う印象。
企画した展覧会のために作品を貸し借りしたり、コレクションを充実させるために買い付ける。
こういう仕事柄、学芸員同士はもちろん、画商、コレクターらとの人脈がものをいう。
そのため、大富豪ともそつなく付き合える教養や社交性も求められる――というのだ。
それだけではない。
美術展のために、額装や修復の職人さん、専門の運送業者さんなど、プロフェッショナルをまとめ、率いるコミュニケーション力と、リーダーシップが求められる。(このあたりは『美術館で…』にもある。)
まったくもって、「情熱大陸」か?と思われる刺激的な世界。
取り上げているのは、美術館の建物や内装、贋作事件や盗難、輸送での事故など、多岐にわたる。
「個人蔵」や「伝○○」の持つ含みというか、裏事情も紹介される。
こういったところも面白い。
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美術館はよく訪れるけれども、裏事情は全く知らなかったので勉強になった。一つの展覧会を手掛けるのには、こんなにも色々な方々が携わって成り立ってるのだなあと思うと、感慨深いものがあった。これからは一つ一つの展覧会をもっともっと大切に見て回りたい。
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普段見ている美術展の裏側を見れる楽しい一冊。知らない世界を知ることが出来る。へぇーそうなんだー、と言わされてしまう。丁寧な文体と、読み進めやすい話題の推移で、おすすめの一冊。
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まさに「舞台裏」。ここまで明らかにしていいのか!?あとがきで明らかにされた著者の決断に感謝したい。本書の位置づけは難しいが、美術展ファンならば、きっと最高に楽しめるはずだ。
〈以下、備忘録〉
・お金で美術品を借りる習慣を世界で作ったのは日本の新聞・放送局
・デパートの催事場での展示開催は日本独自
・デベロッパー系の美術館の存在も日本独自
・フランスのコンセルバトワール試験は弁護士より難しい。合格率2,3%。
・イギリスでは学芸員はkeeper。アメリカがcurator。
・ルーブル、オルセー級の館長は大統領の任命。
・個人所蔵の名前を明かさないのは、税金対策が絡んでいる。
・壁の色と照明
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美術館を知って50年、国立美術館の学芸員・三菱一号館美術館長として専門職35年の経験から語る。美術館の仕事、日本と西洋の違い、展覧会づくりの裏側、美術品を守ること、これからの未来のこと。
いつもいろいろなところで、沢山の展覧会が行われていますが、続くということが、すごい企画力だと思います。
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三菱一号館美術館館長による、まさにタイトル通りの本。
文章はバランス悪いところもあり、一章一章短いから読みやすいんだけど、もうちょっと深いところまで書いて欲しいなという点もあるけど、興味深かった。
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<目次>
第1章 美術館のルーツを探ってみると…
第2章 美術館の仕事、あれやこれやで大変です!
第3章 はたして展覧会づくりの裏側は?
第4章 美術作品を守るため、細心の注意を払います
第5章 美術作品はつねにリスクにさらされている?
第6章 どうなる?未来の美術館
<内容>
元国立西洋美術館在籍、現在丸の内の三菱一号館美術館館長による美術館の仕事や美術界のことを語った本。話の主は西洋美術(主に絵画)なのですが、ご本人の専門のマネのことやヨーロッパの美術館(パリの話が多いかな?)のことも語られます。近年の大家の作品展よりも視点を代えたテーマ展、マンガやファッションなどの現代アートなど、未来の美術館や展覧会の話が面白かった。むろん、画廊やオークションの話、美術館の裏話も「なるほど」と読めました。