あらすじ
母親という十字架に苦しんでいる人へ――。 昨今、母親との関係に苦しんでいる人が増えている。 母親との関係は、単に母親一人との関係に終わらない。 他のすべての対人関係や恋愛、子育て、うつや依存症などの精神的な要因ともなる。 「母という病」を知って、それに向き合い、克服することが、不幸の根を断ち切り、実り多い人生を手に入れる近道である。 現役精神科医による、あまりにも感動的かつ衝撃的な提言!
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Posted by ブクログ
こざっぱりとした食卓で、家族みんなで夕食を囲んで、和やかに話したりテレビを見て自然に笑うことが許されて落ち着く、なんていう得られなかった場面がどうしてもまだ欲してるというか憧れているのを、これを読んで気づかされてしまう。
母は私の気持ちを理解しようとしてくれていただろうか、汲み取ろうとしていただろうか。
演じず自然に生きるということがどれほど難しいか。
本書の随所随所で過去を振り返ってしまう。
たとえば、両親が喧嘩することを恐れていた感情だけが残ってる場面。母が怒りの感情を手持ち無沙汰にしているように感じた場面。
でもこれは、母親個人の問題ではなく、社会全体の問題なんだと思う。核家族化、ひとり親家庭といった普段ネガティヴに取り上げられるだけでなく、ポジティブに捉えられる女性の社会進出へのまなざしも必要なんだろうな。女性が働きながら母親の役割を果たすために、なんらかの新しい手立てが生まれるべき。
いま現代の1/3の人が母という病をなんらかの形で抱えているという。多くの人に読まれ多くの人とともに考え、ともに支え合っていける社会になってゆけたらなあと思う。
〈以下引用〉
この世に唯一変わらないものがあるとしたら、それは母親に愛されたいという子どもの願いかもしれない。そこには何の掛け値も打算もない。愛されなかった子どもほど、その思いは強烈で一途だ。
豊かで快適になったはずの社会は、子どもから、本来の母親を奪ってしまってきたように思える。それが、母という病の増加をもたらしている大きな原因ではないだろうか。経済が豊かになっても、幸福になるどころか、生きることすら意味が感じられず、空虚感に苛まれる人が増えている一因が、そこにあるように思えてならない。
Posted by ブクログ
ある小説の、『娘の不幸は全て母親から始まる』のように書いた一節を思い出した。母親に愛されたことがないことがその人間に及ぼす影響は、『愛されたことがないから愛し方が分からない』の一言では語り尽くせない影響があるのだと痛感した。
納得するフレーズが多くて、大変勉強となった。心に留めておきたい。本にラインマーカーを引く習慣がないので付箋をつけるに留めていたが、付箋をつけた数が多いのでラインマーカーで塗ろうかどうしようかを迷っている。
以下、作中より引用。
『けれども、子どもの方は、親よりもずっと純粋だ。どんなあさましい親側の都合であれ、子どもはそれを仕方のないこととして受け入れ、親の期待に答えようとする。
なぜなら、子供は親に愛されたいから。その気持ちはどんなものより純粋だ』
『甘えていいはずの人に甘えられず、一番危険な人に助けを求めてしまう。うわべだけを見れば、一番危険な人が、一番優しそうに振る舞うから。
本当の愛情というものを知ってる人なら、簡単に見破ることのできる見せかけの愛情にひっかかってしまうのだ』
『子どもは親を憎みたくなんかない。ただ親を愛したいのだ