【感想・ネタバレ】パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集のレビュー

あらすじ

現代社会に警鐘を鳴らす歴史的名著。南海の酋長ツイアビは、はじめてパパラギ(=白人)たちの「文明社会」に触れた驚きを、島の人々に語って聞かせる。お金、時間、都会、機械、情報、物欲……。その内容は、深い洞察と知恵、素朴にして痛烈な啓示に満ちた文明批評として、今なお輝きを失っていない。豊かさを追い求めてモノと時間を切り刻み、無辺の闇にたどり着いてしまった私たちが、今こそ真摯に受け止めるべきメッセージ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読書会用に読んだ本。
ツイアビの視点から描写される西洋文化が、狙ったものではないと思うのにくすっと笑ってしまう。
当たり前のものを違う視点で切り取ることによる面白さに満ちていて、人と話すのにも良いと思う。

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2023年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

メモ:
「だがもし、私がぶらぶら歩いて行くとすると、いろんなものを見物できるし、友達も私に声をかけて、家の中へ呼んでくれるだろう。目的地に早く着くことが、大した得になるわけではない。」
「あまり考えないのが馬鹿なのか、それとも考えすぎる人間が馬鹿なのか、それは疑問である」

サモアとヨーロッパ
共有財産↔︎私有財産
獲得経済↔︎生産経済
贈与経済↔︎交換経済

確かに、パパラギの土地は貧しいために、その貧しさに合った思想と社会とが生み出されたのかもしれない。

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2022年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

南太平洋の島国サモアの酋長ツイアビが、ヨーロッパをその目で見て自国で語ったとされる100年ほど前の演説集である。

第三者の視点から近代ヨーロッパを見て、徹底的な観察と批評がなされる。
それは衣服や金銭、所有に依存した精神などに始まり、あげく時間そのものや、考えることへと移る。

確かにこれらは現代人が見てもより深刻に捉えられる問題であり、もはや世界的に同一の考え方で染まりつつある。
私たちはこれらの概念や、科学技術が支える進歩を義務とした生活から抜け出すことが容易ではない。100年近く前の話だが、時代は続き不動なものとなっているらしく、今読んでも新鮮な驚きがある。

だが最終章近くでそこまでになんとなく覚えた違和感の正体が決定的になったが、この話はかつてキリスト教の布教を受けそれを受け入れた島の酋長が見たとされるヨーロッパの現実、という体である。
そもそもキリスト教自体が極めてヨーロッパ的であり、それの根幹である神を善いものとしていることに違和感を覚え、調べたらやはり創作であるとのことであった。
冒頭の語ったとされる…とはそういうことだ。

しかし本書で語られること自体はそれが理由で唾棄されるものではないし、現代でも精彩を失わない強さがあり、ユーモアもあり単純に読み物としておもしろい。

私たちがなにかを考えるときや問題にするとき、現代的な、つまりヨーロッパ的思考や観念を源流とした概念が前提として頭にある。
従って全く異なる観点から物事を見るのであれば、そもそもの前提それ自体を客観的に知る必要がある。

決まった時間にとらわれた生活を意識しても、そもそも時間そのものを疑うことはなかなかない。
哲学的意味の時間存在への批判や懐疑ではなく、リアルな日常生活の上で構築され繰り返される時間割り振り、曜日や週間の単位が当たり前であるということ自体への疑問など。

進歩と素朴、どちらが正しいでもないが、私たちの「当たり前」を一考する上で読む価値は充分にある。

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2018年03月06日

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