あらすじ
【第117回直木賞受賞作】中堅保険会社に勤める5人のOL。条件のよい結婚に策略を巡らす美人のリサ。家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおくれの康子。そして得意の英語で自立をめざす紗織。男性優位社会の中で、踏まれても虐げられても逞しく人生を切り開いていこうとする女たち。それぞれの選択と闘いを描く痛快長編。
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Posted by ブクログ
面白かった!
時代背景が古いなと思ったら25年前に
描かれたものだったのですね。
5人の女性がたくましく成長していく姿が描かれており
読んでいて気持ちがいい。
紀子だけは好感が持てなかったのだけれど
解説を読んだら男性審査員の間で一番評判がよかったのは
紀子だったとか。
分からないもんだなと思いました。
それぞれの5年後の姿を見てみたいと思える作品。
Posted by ブクログ
篠田 節子 3作品目。
保険会社の5人のOLの女性ならではの自分との闘い(聖戦)の物語。
「バリバリ仕事する訳でも、結婚する訳でもない。人生設計ってあるんですか」
人生設計というものは、いつのタイミングで立てるのだろうか?そして、どれだけの人がその設計通りに人生を送るのだろうか?
本書は、昭和末から平成初期の話だろう。男性社員は、きっと、”会社”と運命を共にするんだろう。しかし、管理職でもないOLが責任感とか義務感とかで”会社”のために働いて、会社はどれだけ報いてくれるのだろうか?だから、「ジハード」で、会社の中に自分を求める女性はいなかった。この状況は、令和の今、変わっているんだろうか?
それぞれの生き方に「ん?」という部分はあるが、けなげに、一生懸命あがいている姿に思わず応援したくなる。
ひょっとしたら、男女雇用機会均等法のなかで、企業は大きな間違いや無駄をしているのかもしれない。会社の中で、求める自分の姿を描けない現実に。
「男の人って、考えてみればキビシイよね。道が一本しかなくて、そこから外れたら脱落するしかない人生って」こう言われてしまったら、会社としておしまいかもしれない。
Posted by ブクログ
面白かったー!爽やかな読後。特に、康子の競売の話から一気に面白くなった。そして、5人の女性(主人公でない純子をいへたら6人だけど)が出てくるから、思わず自分に似ている人を探してしまった。ちなみに私は紗織8割リサ2割位のタイプかな…笑 そして、紗織の当初の自己研鑽の中途半端さは非常に耳が痛い話だった。康子、リサ、紗織のそれぞれの転機は正直出来過ぎな気もするけど、それにしても面白かった。痛快でした。
Posted by ブクログ
損保会社に勤める5人の女性社員のお話。
紀子にはずっとイライラさせられたけど、あとがき読んで男性にはこういうタイプが人気なんだと知って驚いた。時代ですかねぇ?
競売は危険だとか、翻訳の仕事で食べていけるのはほんの一握りだとか、商売の難しさとか、そういった「今の自分の生活とは縁の無いこと」の裏側を、かなり知ることができたので、そういった点でもさすが直木賞作品だなと感じた。
ラストは少々駆け足気味な感じはしたけれど、色んな面で知識を得ることができたし、全体的には面白かったので読んで良かった。
Posted by ブクログ
この作品が刊行されたのは1997年1月。そして今は、2011年11月。
14年前も今も、働く女性の立場はなんにも変わってないんだなー。
男女雇用機会均等法だのなんだのと、建前だけの法律が作られたってだけで、実際社会に出て働く女性のポジションなんて今も昔も全然変わらず、昭和の時代で時間が止まっている感じ。
それでも社会に出て働きたいと思う女性たち。
結婚して家庭に納まれば納まったで、世間に取り残された感があり、働き続ければ続けたで、これまた女としての人生のレールから外れてしまった感は否めない。
どっちが幸せなんて決して結論はでないけど、自分が後悔しない生き方をしたいっていうのが根本にあるんじゃないかなー。
女性が働く環境なんて、昔も今も、多分これからも、ずっと変わることなんてないかもしれないけど、もしかしたらその変わらない環境が女性をより一層逞しく育てているのかなー。なんて思ったりしました。
Posted by ブクログ
篠田節子作品 第117回 直木賞受賞作
この作家さんは「肖像彫刻家」に続き2作目
1997年に直木賞をとっているということで、読んでみた。
篠田節子のWikipediaを読むと ホラー・SFと出てくるのだが、
この作品はお年頃のOL 女性5人(メインは康子とリサと紗織)の生き様が興味深い
それぞれのキャラが立っていて、
様々なエピソードに対する行動や考えが話を推し進めていき、
読んでいるものが 共感したり、
(いやいや それ駄目でしょう)なんてツッコミを入れたくなったりする。
私が面白かった章は「シャトレーヌ」
気弱な康子が自分の城を獲得すべく、裁判所の競売で危ない輩と渡り合う。
勉強にもなったし、その後のエピソードにも続いていく。
人生の選択を迫られた時 あなたならどうするか?
一緒に ドキドキしながら悩んでいくのも楽しい。
働く女性におすすめの1冊。
(ドラマチックな内容なので、なかなか現実には起きないけどね)