あらすじ
わずか数千円で遊べる激安店、妊婦や母乳を売りにするホテヘル、40から50代の熟女をそろえたデリヘルなど、店舗型風俗が衰退して以降、風俗はより生々しく、過激な世界へとシフトしています。一方、参入するハードルが下がり、多くの女性が働けるようになった反面、大半の現場では、必ずしも高収入にはならない仕事になっているのが実態です。それでは、これから風俗はどこへ向かっていくのでしょうか? 様々な現場での取材・分析を通して、表面的なルポルタージュを超えて、風俗に画期的な意味を見出した一冊です。
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Posted by ブクログ
興味本位で購入したが、論旨明快で、読みやすい。普段なじみのない特殊性風俗の実態もわかりやすかった。
行政管理のない産業であるため、著者の個人取材の限界を感じる部分もあった。
しかし、取材から導き出された、『性風俗は絶対になくならないと同時に、「否認の無効性」「沈黙の有害性」「公認の不可能性」という事実がある』、というのは的を射た観察結果で、社会は性風俗を容認し、きちんと向き合って社会をより良くする方法を考えましょう、というのは非常に現実的な解であるように感じた。
第二章の母乳風俗で、どんなに嬢との関係が良くても、母乳が出なくなると3か月目には絶対男が来なくなる…というエピソードで、性癖ってこういうことなんだろうな…とおもった。理屈ではどうにもならない世界。
Posted by ブクログ
対象となった性風俗従事者と我々の生活がそうとう離れているため、実感としてピンとこないところがある。
でも、実際に性風俗店にいってみれば、相手のなかには、そのような辛い生活を強いられている人もいるだろう。
風俗産業が福祉の最後の砦になっていることが社会悪として認めることも駆除すべきことでもない、中庸なアプローチが必要で、風俗業は仕事の多様性の1つとして認知され、もっと十分な支援が得られられるべきことであることがわかった。
Posted by ブクログ
そういえばちょっと前にTwitterで風俗は福祉であるとか言って炎上した人がいたな。
それと似たようなことを言っている気もするけど、視点がちょっと違う気もする。
風俗で働く女の人も行政や福祉の支援を受けながら働いていたり、妊婦専門店や授乳してくれる店、他の店舗で門前払いされた人を働かせる地雷専門店があったり、その店が抱えるジレンマだったり...知らない世界がちょっとだけ垣間見えた。
あとがきで「この本では風俗関係書籍で必ず使われる"ある言葉"が使われていないが、それはなんでしょう」とクイズを出したが、何だろう?
Posted by ブクログ
性風俗の「生活困窮者のセーフティネット」という側面を捉えたルポルタージュ。特殊性風俗とそこで働く女性達の実態・問題点を分かりやすく解説している。文章も論理的で読みやすい。
性風俗をいくら否認しても撲滅することはできない。黙認することも内情が不透明化する危険性を孕む。かといって法律的・社会的に公認することもできない。
社会の一部として容認しうまく付き合っていくこと。すなわち、福祉や社会と繋ぎ風俗に関わる当事者の不幸を減らすことを目標にすべきであるという主張には説得力があるように感じた。
興味があるなら手に取ってみて損はしない一冊。