あらすじ
彼らには許されなかった。平穏な日々も、愛も、死も…。人気シリーズ『怖い絵』『名画の謎』の著者が、ルートヴィヒ二世ほか、王族たちの壮絶な人生を辿る好評歴史読み物第2弾。図版多数掲載! ●第一章 ルートヴィヒ二世(1845-1886):ノイシュヴァンシュタイン城をはじめとした数々の築城、ヴァーグナーへの執着。「狂王」と呼ばれた美王の死は暗殺だったのか、それとも……。●第二章 アレクサンドル三世妃マリア(1847-1928):小国デンマークから大国ロシアへ嫁いだマリアは、動乱の歴史に翻弄され、ロマノフ王朝崩壊と共産主義国家ソ連の誕生を目の当たりにすることになる。●第三章 カルロス四世(1748-1819):父王から「なんておまえは馬鹿なんだ」と嘆かれ続けたカルロス四世と、「スペイン史上最悪の王妃」の異名を持つ妃マリア・ルイサ。はたしてこのカップルの運命は?●第四章 カロリーネ・マティルデ(1751-1775):デンマークでは知らぬ者のない、18世紀王室の大スキャンダル。啓蒙主義的な新時代を築こうとした若い王妃の、旧勢力との戦い、そして許されぬ恋。
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Posted by ブクログ
今回も大変楽しく?読むことが出来た。
ルートヴィヒ二世、アレクサンドル三世妃マリア、カルロス四世、カロリーネ・マティルデの4人。
ルートヴィヒ二世とオーストリア皇后エリザベートの共通性は面白かった。二人とも若い頃は大変に美しい容姿をしており、そのために多大な期待を背負ったようだ。美しすぎると自意識過剰になって、精神を病むのか?プライドの高さと相反するような自信のなさと傲慢さ。私には理解しがたいが、理解するために必要な美しい容姿も持たないので、理解するのは不可能だろう。周囲の人々のほうが迷惑極まりないように思える。ルートヴィヒ二世は女性を愛せなかったことも不運だったと思う。
アレクサンドル三世妃マリアは複雑な気持ちになる。もし彼女が庶民のお母さんだった非常に良妻賢母で非の打ち所がない母だと思えるだろう。けれども、これが国王のお母さんだったなら困ったことになることもある、と気づかされた。舅姑とも仲良くし、努力家で周囲に溶け込む努力をし、家庭の中で太陽であり続けた。結果として息子は皆マザコンとは…。家庭的良妻賢母は王の母には良くない?そして結婚では母の言うことを聞かなかった、それが王朝の滅亡の一因になる。これもエリザベートとの類似性を指摘される。
カルロス四世、スペイン史上最悪の王妃の夫。ここまで王に不向きな人も珍しいというか、これも周囲が大変なパターンか、それとも口出ししないから楽なのか。マリーアントワネットとルイ16世夫婦と対比されていたが、カルロス四世とマリア・ルイサでは「ベルサイユのばら」のスペインバージョンは描けないように思う。スペインのマホ、マハ、スタイルの流行は日本の国風文化みたいなものか。
カロリーネ・マティルデ。愛人と密通して追放となると、ゾフィー・ドロテアと同じ運命か、と思ったが、ジョージ三世の取りなしのおかげで、降嫁先デンマークから離れることが出来た。しかし、23歳で死去。ずっと幽閉されるよりはいいのか、どうなのだろう。彼女の場合、愛人と密通しても夫から激高されたわけではないようだ。王妃という立場は本当に危ういものだなあと思う。夫の性質に左右されるのはもちろん、国の政情、周囲の人間達の野心なども関係してくる。