あらすじ
国家に、警察に、マスコミに、もうこれ以上騙されてたまるか――。桶川ストーカー殺人事件では、警察よりも先に犯人に辿り着き、足利事件では、冤罪と“真犯人”の可能性を示唆。調査報道で社会を大きく動かしてきた一匹狼の事件記者が、“真実”に迫るプロセスを初めて明かす。白熱の逃亡犯追跡、執念のハイジャック取材……凄絶な現場でつかんだ、“真偽”を見極める力とは? 報道の原点を問う、記者人生の集大成。※新潮新書版に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
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Posted by ブクログ
真実を見極め、司法を恐れず、真犯人を追い詰めていく姿はまさに現代の必殺仕事人。
犯人が検挙されたところで失われた命が戻るわけではないが、命を奪われた上にありもしない悪評を言いふらされて、犯人は野放し、こんなことが許されるわけがない。
マスコミなんてくだらないものだと思っていたが、中にはこういう卓越した調査をされている方もいるのだ。
もっとも、最近の彼はどうも思想が偏りがちになってきたようで残念なのだが、この本は一見の価値あり。
Posted by ブクログ
清水さんの本は2冊ほど読んでいたので伝えたいであろうメッセージは重複しているものも多かった。ただ、事件の取材ごとに章が組まれていたので、知らなかった事件・出来事の概要を知ることができたのは良かった。
以下印象に残った箇所。
時効が存在する理由:
本気で公訴時効を潰してやりたくなった。
私は不条理を報じ続けた。
当初は周囲の感心も薄かった。「法律だから仕方ない」中略。
しかし法律とは人間が人間のために作ったものだろう。「おかしい」と思えば帰ればいいし、必要なら追加、不要ならば削除すればいい。日本の刑事訴訟法は百年以上、ほとんど変わっていなかった。さらに先進国の多くは、重大事件に時効はなく、あってもすでに廃止されていた。
おわりに:
人が正確な判断を行うには、まずは精度の高い情報を持つことが必須だ。そしてそれを分析し、最後に「正しい」とか「おかしい」とか判断することになる。
→清水さんの本を読んでつくづく感じたのはメディアを鵜呑みにせず自ら情報を集めることが大切。情報化社会になって理解をしていたものの、ようやく腑に落ちた気がする。
Posted by ブクログ
2016年、50冊目です。
マスメディア、警察などの情報を鵜呑みにしてしまうことの恐ろしさが書かれている。要は、自分に入ってくる情報を自分でしっかり納得してあるいは正しく客観的にみて、判断することが大切だと論じています。
足利事件や日系ブラジル人の殺人後の母国への逃亡、桶川ストーカー殺人事件などが取り上げられています。著者のすごい執念を感じるとともに、公的権力を持つ立場の人間のいい加減さや建前主義を感じます。人は立場に胡坐をかき、楽をしてしまうため、「調査」という手間のかかるプロセスを排除してしまう。これに歯止めをかけるのは、一人一人の正義感や良心によるしかないのかと嘆息してしまう。
こういった書籍の読者を通して一人でも多くの良識ある人間を増やせればいいということなのかもしれない。