あらすじ
精神科医・南川藍子の前にあらわれた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中、突然マスコットガールに襲いかかり、殺人未遂で起訴されたプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。そして、事件捜査時の負傷がもとで、大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに黒い影が迫り始める――。人間の脳にひそむ闇を大胆に抉り出す、傑作長編ミステリ。
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Posted by ブクログ
医師です。医療系ミステリーということで読んでみたかった作品でした。
まず、海藤が半側無視であることは医学生レベルでも序盤で分かるはず。優秀な精神科医とされる藍子がそれに気付かず、ましてや脳神経外科医の丸岡に指摘されて初めて気付き専門書で学ぶ、という描写はかなり不自然です。
右脳と左脳の機能。海藤や藍子の実験の描写などは、非医療者には少し難しいのではないでしょうか。
脳神経専門外の医者である私にとっても、少し複雑に感じました。
全体としては、結末が気になりどんどん読み進めてしまうところではありますが、脳に障害を持った3人の連続殺人犯-本間、追分-のエピソード、また主人公らとの関連について、まとまりが希薄に感じられます。
医学的観点からみても興味深い内容ではありましたが、ミステリーとしてはかなり内容や登場人物の相関が複雑で難しい、かつ高い読解力を以ってしなければ消化不良感の残る作品かと思います。