あらすじ
2015ラグビーワールドカップの期間中、五郎丸歩が毎日記していた日記。そこにはこの4年間で彼が得たもの、犠牲にしてきたものを通して「Japan Way」のすべてが描かれていた。五郎丸曰く、「ワールドカップのあいだは、日記を書くことが新たなルーティンになっていました」。帰国後、多忙を極める中で、ノンフィクション作家の小松成美が、本人とのマンツーマン取材を繰り返した。五郎丸もインタビューを受ける中で、熱い記憶が更に鮮明に蘇る。取材終了時刻がきても、濃厚な言葉が飛び交い続け、それが止まる気配がない。複数回、そんな取材を繰り返し、小松は不眠不休でキーボードを叩き続けた。そして完成したのが本書『五郎丸日記』。日記全文を完全収録! 歴史が変わった2015ラグビーワールドカップと、そこまでの長き道程における、アスリート・五郎丸歩の心の動きを、克明に切り出して描く話題作!
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Posted by ブクログ
(2016/3/15)
スーパーラグビーレッズで頑張る五郎丸歩の、ワールドカップイングランド大会中の日記を中心に
小松某が解説を加えた本。
分厚いが日記の部分は薄い。
小松さんが書いたエピソードは多くは知ってるものだったが、いくつかは新ネタがあった。
・南ア戦の最後の場面、キックを選択したエディに従えばスタッフはティ―を持って
グランドに入らなくてはいけない。しかしスタッフはリーチのスクラムの選択を待った。
・もしその時キックを選択していたら五郎丸は「はずしていたかもしれない」と。
そんな難しい位置ではないと思うが、そういうことではない。
気持ちが整理できないと入らない、ということを五郎丸は知っている。
現にサモア戦、4トライ目を狙いたい五郎丸に対し、リーチは勝つことを優先、キックを選択。
それが正しいと分かっていても五郎丸は気持ちの整理が出来ず、はずしてしまう。
・スコットランド戦、五郎丸は4本中2本しか入らず。理由は南ア戦のケアを最優先し、筋肉を緩めたままだったから。
走ったりタックルしたりは戻っても、キックは戻らなかった。よく2本入った。(これは日記にもあり)
・ルーティーンを確実にするため、文章に落とすことを荒木さんに勧められた。
途中の歩きが不明確で、8歩、ということを認識したが、しっくりこない。
彼女の勧めで「ドレミファソラシド」にした。
などなど。
そして五郎丸の日記を読んで改めて感じたこと。
このジャパンの中心は廣瀬俊朗だったということだ。
廣瀬が精神的支柱となって素晴らしいチームとなり、ワールドカップ3勝を実現した。
もちろんハードトレーニングにより実力はついていた。
だが、いかに実力があってもそれが本番で発揮できるとは限らない。
十二分に力を出せたのはチームとしてのまとまり、信頼関係があればこそ。
エディHCも当然それに寄与していた。ビジョンを示し、選手に思い切り負荷をかけた。
だが、チームをひとつにしたのは廣瀬だった。
成功する組織というのはこういうものか。
勝てば官軍、勝ったからこそ言えるのだろうけれど、廣瀬の存在の大きさを改めて認識した。
それにしてもエディさん、乞われて行ったイングランドであっという間にシックスネイションズ優勝。
まだ4カ月。チームを作ったわけではないだろうに。。もってる!
それにしてもこの本、ワールドカップでの五郎丸の思考が見え、いい。
練習で目をやられ、アメリカ戦直前まで二重に見えてたなんて知らなかったな。
唯一無二のフルバック。怪我に強いのも大事だ。
サンウルブズにいればなぁ。フル出場だったろうに、、。
Posted by ブクログ
この本は、マネジメント、リーダーシップ、フォロワーシップ、マーケティング、人材育成、組織論、その他、ビジネスに通じるすべての要素が盛り込まれている。
Posted by ブクログ
ラグビーワールドカップ2015の大会期間中に
五郎丸選手が書き残していた日記の全文掲載と
大会後に本人やエディーヘッドコーチ、
メンタルコーチの荒木香織さんを取材しまとめた
とても貴重で読みごたえのある1冊。
あの時はこういう心理だったのか!
というのがとてもよくわかり
何度もへぇ~と思いながら 読みました。
Posted by ブクログ
WC期間中のラグビー日本代表を掘り下げて。
やっぱり五郎丸が中心になっちゃいますね、タイトルの通り。
でもやっぱり凄いプレッシャーだったんだなと...
Posted by ブクログ
見えないモノを書き起こすことで、見えるものへと変える。
そうすることで状況が整理されて取り組むべき課題が明確になり、勝率を上げることができる。
書き起こすことは、それ自体がメンタルを安定させる効果もある。
人は見えないものに恐怖や不安を感じる。
であれば、自らそれを紙に書き出して可視化してしまえばいい。
案外このテクニックを知っている人は少ない。
2015年のラグビーワールドカップの日本代表の活躍の裏側を知ることができて非常に面白かった。
一流の選手といえども、一人の人間だ。
苦悩や葛藤を抱えながらそれでも足掻いて懸命に前に進もうとする姿勢は、まさにラグビーというスポーツとシンクロしていると感じた。
とても勇気をもらった。
私も五郎丸さんのように、芯に誰よりも熱い炎を秘めた男でありたい。
Posted by ブクログ
あの南アフリカ戦でラグビーファンになった1人です。
五郎丸さんのラグビーに真摯に取り組む姿やキックのルーティンが生まれた話なんかが知れて良かったです。
Posted by ブクログ
ラグビーワールドカップの期間中、五郎丸選手は日記をつけていました。その全文と、本人への取材をもとにワールドカップ期間中や、ルーティーンを構築する日々を伝えるノンフィクション。著者はサッカー中田英寿氏への真摯な取材による著作や硬派な文章で定評のある小松成美さん。去年はテレビに出演しまくった五郎丸選手ですが、インタビューは時間の制限などでなかなか本人の本意をありのままに伝えきれていないケースも多かったように思います。この本には「あの場面ってこういう状況だったのか!」と再発見できることがちりばめられています。南アフリカ戦を振り返って五郎丸選手が後悔の念を抱いた事実。それは勝利が決まった後、敗者となった南アフリカの選手達を讃えることをしなかったこと。それを思い知らさせれたのはサモア戦の勝利の後、サモアの選手が選ぶマンオブザマッチのトロフィーをサモアの選手がわざわざロッカールームに届けてくれた事であった事実など。プレッシャーとの闘いの裏側などラグビーファンだけでなく、今回のワールドカップをご覧になった方なら読んで損はない一冊だと思います。