【感想・ネタバレ】作家の収支のレビュー

あらすじ

1996年38歳のとき僕は小説家になった。作家になる前は国立大学の工学部助教授で、月々の手取りは45万円だった。以来19年間に280冊の本を出したが、いまだミリオンセラの経験はなく一番売れたデビュー作『すべてがFになる』でさえ累計78万部だ。ベストセラ作家と呼ばれたこともあるが、これといった大ヒット作もないから本来ひじょうにマイナな作家である――総発行部数1400万部、総収入15億円。人気作家が印税、原稿料から原作料、その他雑収入まで客観的事実のみを作品ごと赤裸々に明示した、掟破りで驚愕かつ究極の、作家自身による経営学。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

テレビドラマの原作料を面白く思ったが,そこらに引っ掛かった編集者もいるんだね~原稿料:小説雑誌4,000~6,000円(単位は400字詰原稿用紙)→50枚の短篇だと20万~30万。漫画の場合は6,000~15,000円/枚(中には50,000円あり)。新聞のエッセィ20,000~50,000円/作。新聞連載小説50,000円/回。400~600枚の長編は200~300万円。印税8~14%。普通は10~12%。未発表(書き下ろし)が12%で,雑誌掲載後や文庫化で10%。計算は印刷された時点で,出版社が著作権を利用したという筋道。単行本が出て約3年後に人気のあるものが文庫になる。値段は半額。3年が単行本の賞味期間で,ファンは多少高くても買うというのが日本のマーケッティング。単行本の6倍以上文庫が売れる場合は,文庫書き下ろしとして文庫で12%を貰った方が作家は得。森の累計部数:単150万2000ノ403万1700文791万3700新45万2500絵12万3000。1000円の本を1万部作り,印税が100万円,制作費300万円,取次等のマージンで出荷価格は700円程度になり1万部売って出版社の利益は300万円,6割しか売れなかったら売上420万円で利益20万円。実は多くの書籍が赤字。日常的に小説を読むのは数十万人と少ない。森の印税収入ピークは2008年で1億1222万円,1996~2014累計11億9087万円だが,電子書籍の印税は15~30%,もっと高くても良いと思う。印税だけが収入ではない。講演は40万円/時間と決めていた。テレビの原作料50万/時。コカコーラの依頼で書いた「カクレカラクリ」の執筆は1000万円。教科書にエッセイが載って年間50万円くらい。支出の方は…人件費も掛からず殆どなし。印刷出版した本は278冊,総部数1400万部,稼いだ総額は約15億円,1冊当り約5万部売れ540万円を稼いだ計算。2008年引退後,収入も半減したのは仕事量に比例する~ライトノベルズって成る程,イラストがついてナンボって奴で,2%の印税がイラストレーターに入る!「…在庫は処分されることになる。在庫は課税対象になるからだ。処分するくらいならば,新古書店などに安く出荷する方が良い気もするのだが,そういうことは,表向きにはできない(裏の事情は知らない)。」(p37)森はメフィスト賞に応募せず受賞し(突如創設),賞金なしで本になることが報酬,小さなホームズ像はロンドンのシャーロックホームズ博物館の土産で£10

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2016年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

予想していたよりもはっきりと数字が書かれていて、やっぱり稼いでいらっしゃるのだなあ~というのが率直な感想です。ご自分ではマイナ作家と仰ってますが、今の日本でこれだけ稼げる小説家ってほんの一握りじゃないかな?執筆に関しても、創作活動というよりも、完全な「仕事」としていて、今は引退したから1日1時間しか執筆しないとか、びっくりぽんです。それで、シリーズものを手掛けているのだから、誰にでもできる芸当じゃありません。奥様の小ネタなども、初めて知ったことばかりで面白かったです。

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2016年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・他の作家さんの作品を読まないと仰る森 博嗣さんの小説とはどのようなものか?『すべてがFになる』を早く読まないと…

 作家の収支と言っても統計情報ではなく、森博嗣さんというたった一人の作家の収支だ。収入ではなく収支(収入と支出)としたのは、わずかではあるが、森さんが作家になった理由が趣味のためにお金が欲しかったということと、実際に何にお金を使ったかということにも言及しているから、結果的に森さんは作家として成功した人の一人なのだろうが、その秘訣は、常に新しいものを生み出し続けようとした商業作家としての意地であったということのようだ。何もかもが多様化する時代に、作家として成功するためには、とにかく書き続けられることが必要だ。

 森博嗣さんは、数少ない?理系の作家さんということだが、そのせいか、文章が極めて読みやすい。私でも知っている(注釈の要らない)言葉だけを使って平易に書かれている。だから、どんどんページが進む。池上彰さんの解説がわかりやすいのは、伝えなければならないことを池上さんご自身がしっかり理解しているからだと思うのだが、森博嗣さんの文章が分かりやすも、まるでレポートのように事実に基づいて書かれ、ご自身の頭の中が整理されているからではないだろうか?

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2020年05月04日

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