あらすじ
最新の科学研究によれば、これまで定説とされてきた勉強法は多くの場合に間違っているという。では、どうすれば脳は最も効率よく学べるのか。米三大紙『ニューヨーク・タイムズ』の人気サイエンスレポーターが、著名科学者らへの取材をもとに、脳をフルパワーで働かせる記憶法・勉強法を徹底解明。全米で話題の一冊!
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃためになった。
一度覚えたことは必ず脳内にある。しかし、それを探索する能力が長けているか欠けているかで思い出せるのかが決まる。
つまり、探索能力を伸ばすことが大事。
もう一回読む
Posted by ブクログ
大脳生理学から、学習を考察した書。 ブームのはしりだったような。闇雲に経験則をふりまわすのではなく、科学的に実証された方法論で学習を進めていくことは、時代にあっていると思います。
Posted by ブクログ
結論、
没入する方向でやっていれば大体において合っている。
なぜなら、それは脳が感じていることであり、脳は成長を楽しいと感じ、成長がなければ面白いと感じなくなる。
インターリーブ学習や分散学習は、
反復練習による限界を感じている場合には、超有用な学習法で、
集中力が明らかに増すのを実感する。
それはつまり、
脳の神経回路が新たに構築されて、進化し続けていっていることを意味しているのだろう。
楽器演奏の技術習得に活用しまくれる。
Posted by ブクログ
物事を覚えること、覚えたことをうまく思い出すこと、状況に応じて覚えたことを応用するための方法 (勉強方法、練習方法) が記載されている。
そこらへんの怪しいハウトゥとは違う。どちらかというと調査論文に近く、しっかりとエビデンス (根拠) を積み上げて、こうすると良いと解説している。
しかし、示された方法を単に鵜呑みすることができる読者にとっては冗長と感じてしまう部分も多くあるだろう。その場合は、実験方法やその結果の記載は読み飛ばし、結論部のみを読むと良いだろう。
Posted by ブクログ
安直な自己啓発本ではない。
論文をもとにした緻密な科学ノンフィクションだ。
インターリーブ、分散効果など、実用的な勉強法も紹介されている。
ちゃっちゃと方法だけ知りたいなら斜め読みすればいい。
しかしじっくり読めば、学習というものが学問的にどのように扱われてきたかがわかる。
読む価値のある本だ。
Posted by ブクログ
・「嗅内皮質」は脳に入ってくる情報をふるいに役割。「海馬」は記憶形成が始める場所で、「新皮質」では、保存する価値があるとの信号が発せられた情報が健在記憶として保存される。(海馬を通じんてネットワークを形成し、最終的には検索可能な状態で新皮質で落ち着く)
・結合してネットワークを形成するのが「ニューロン」。一方のニューロンから信号を受け取ると、反対隣のニューロンへその信号を伝達する。
・記憶を使えば、記憶は変わる。
・どんな記憶にも、保存と検索の2つの力がある。
・保存する力が減らないというのは、意識的に記憶した事はすべて永遠に脳内にあるという意味だ。
・「検索する力」は、情報をいかに楽に思い出せるかの尺度だと思えば良い。学習で強化されるが、すぐに衰えてしまう力でもある。
・記憶は、記憶が形成された同じ環境下で思い出しやすい傾向にある。
・なので勉強する環境は変えた方がよい。(同じ環境で2度勉強した生徒よりも、違う場所で2度勉強した生徒のほうが成績がよかった。この場合のテストの場所は全く異なる場所であった。)
・なぜなら、いつもの手順や環境に変化を持たせることで、予行練習の内容が豊かになる。つまり、自分を取り巻く環境に頼らなくても思い出せるようになる。
・スーパーメモ。どの頻度で学習すれば最も記憶を検索できるようになるかをアルゴリズム化したもの。アプリとかにもなってる。
・バーリック家の研究では、単語を2ヶ月に1度26回勉強した際に、一番定着率がよかったという研究結果もある。
・試験までの期間と最適な学習間隔の目安。
1週間:1〜2日 2ヶ月:1週間 3ヶ月:2週間 6ヶ月:3週間 1年:1ヶ月
・一夜漬けは記憶の定着が悪いので、長期的に記憶したいのであれば、分散学習が望ましい。
・最初の1/3を覚えることに使い、2/3は暗唱に使った方がよい。
能動的な作業の方が覚えやすい。
・自己テストは勉強よりも、記憶の定着率が高い。
・事前テスト学習効果を高める。→検索の失敗が学習を促進し、その後のテストでの検索で成功する確率を高めた。つまり、事前テストで答えを推測したおかげで、勉強して覚えるときよりも覚えたいという意識が強く働き、正しい答えがより深く脳に刻み込まれたといえる。
・事前テストの効果は10%UPほど。
・学んだ事を誰かに説明することは非常に効果が高い。効果は20〜30%UPする。
・ツアィガルニク効果:相手が作業に最も没頭しているときに、邪魔をすると、記憶にとどまる長さが最大になる。人は作業に夢中になると完了させたいという思う。この想いは完了に近づくにつれて強くなる。この強くなったときに作業を中断すると、記憶にとどまりやすい。
・重要で難しいことをやっている瞬間に邪魔をいれることで、脳内はつねにその目標について考えることになる。そうすることで、より効果的な結果を導きだせる。新しいアイディアも生み出しやすい。
・ランダムに問題を解いたり、ランダムな練習を行うほうが、応用力がつく。
・インターリーブという。インターリーブは、複数の項目・スキル・理念を混ぜた練習(勉強)をある程度の期間と、個々の項目・スキル・理念の違いがわかるようになるだけでなく、個々の特徴をより鮮明につかめるようになる。→単語の練習であれば、前回学んだ単語を、今回のリストにいくつか混ぜて記憶するなど。
・情報をたくさん暗記しないといけないテスト(単語や人名や化学構造)が控えてる場合は、普段通りねて「深い眠り」を充分にとり、翌朝早く起きて簡単に復習するとよい。
・運動能力や創造的思考(数学や科学や作文)の強化に役立つ眠りの段階は、目覚める前の朝の時間隊に訪れるので、そういったテストの準備をする場合は、普段よりも遅くまで起きて準備をするほうがよい。
Posted by ブクログ
脳の記憶メカニズムに即した勉強法を提示する本書。
ただ単に方法をわかりやすく紹介する簡易版と違い、研究者たちによる数々の実験、そして発見に至るまでの経緯を明快に示してくれる。読者の多くは自分の勉強法の改善のため、または他者への教授のために本書を手に取るのだと思うが、その目的は表面上の理論理解だけでは達成できない。背景にある経緯や実験結果まで知ることで、本当の意味での「効率的な勉強法」を深く理解することできるのではないか。
Posted by ブクログ
文句なく面白かった。脳はまだまだ不思議なことを隠している。
様々な実験の結果から、どのように勉強したら効果的かが書かれている。直感やいままで信じていたことと違う事実が示されると、「おっ」となる。それが随所に現れる。
一人でも実験できるんだなあという驚きと、なぜ学生時代に私自身で実験できなかったのかという悔しさがある。
Posted by ブクログ
環境(場所)に変化をつける
方法を変える(読む、議論、キーボード入力、手書き、鏡、BGM
睡眠
勉強時間を分散させる
覚える1:自己テスト2
行き詰ったら中断して別のことをする(その間も脳は無意識にそのことを考えている)
一度の練習時間に複数のことを混ぜる(インターリーブ)
知覚学習PLM
「秩序を乱す何か、その場にそぐわない何かを目にすることが、事実上脳を目覚めさせる。っして、『なぜそれがここにあるのか?』と潜在意識に問いかけて、その情報を掘り下げさせる」
種類を混ぜた練習を行うと、学ぶ力全体が向上し、ものごとの違いを理解する力が高まる。
Posted by ブクログ
同じ場所で出来るようになるまで集中して反復演習するという勉強法が実は間違いであった。一度忘れる、時間を分ける、テストの前にテストをする、場所を変える、騒がしい場所が良い、中断する、一つのことをしない、別のことをやる、寝る。これが記憶の研究から分かった正しい勉強法である。
こうやって並べると、よくないとされていたことが実は正しかったということになる。ところで、行き詰ったときに気分転換でコーヒーを飲んだり、あきらめて寝たりした後、悩んでいたことが嘘のように理解できるようになったという経験があるのではないかと思う。これは「中断」した後も脳は考え続けており、しかも無意識のうちにさまざまな検討をしているからだという。また、思い出すときに記憶が定着しやすいということも分かっており、それが「一度忘れる」「時間を分ける」ということであり、強制的に思い出す状態を作り出すのが「テストの前にテストをする」ということになる。「場所を変える」「騒がしい場所」は思い出すための取っ掛かりを増やすことにつながる。
従来の勉強法である反復演習も間違ってはいないが、これは0を1にするのには適しているが1を10にするのには向いていないということである。また、同じ場所で同じことを繰り返すと「その場所」でなければできなくなってしまう。場所によらず、さらに応用力を身に付けるためには「場所を変える」「一つのことをしない」「別のことをやる」必要があるということである。
科学的な裏付けによってこれまで勉強のときにやってはいけないとされていたことが、実はやった方が良いものであったというのは非常に興味深い。中断してコーヒーを飲む、敢えて寝てしまうなどは無意識のうちに正しいことをやっていたことになる。「さあやるぞ」といって机に向かうよりも成り行きに任せるような勉強の方が案外うまくいくのかもしれない。
Posted by ブクログ
邦題:How we learn
内容紹介
最新の科学研究によれば、これまで定説とされてきた勉強法は多くの場合に間違っているという。では、どうすれば脳は最も効率よく学べるのか。米三大紙『ニューヨーク・タイムズ』の人気サイエンスレポーターが、著名科学者らへの取材をもとに、脳をフルパワーで働かせる記憶法・勉強法を徹底解明。全米で話題の一冊!
目次
はじめに ── 余白を広げる
Part 1 脳はいかに学ぶか
第1章 学習マシンとしての脳
第2章 なぜ脳は忘れるのか
記憶のシステムを機能させる忘却の力
忘却に備わっているスパムフィルター機能
覚えるために忘れる理論
エビングハウスが生みだした「忘却曲線」
「学習の科学」の扉を開いた実験手段
一度忘れた記憶は時間がたつと回復する!?
p46
「レミニセンス」:覚えていると思っていなかった事実や言葉が浮かび上がってくる性質
ようやく認められたバラードの「レミニセンス」
記憶には「保存」と「検索」の二つの力がある
古くなった記憶を保存しておくメリット
認知科学が明らかにした「記憶の基本原理」
Part 2 記憶力を高める
第3章 環境に変化をつける
いつもの場所、静かな環境で勉強するのは非効率
「勉強の儀式」を守ろうとする人々
勉強時の環境を復元するとより多く思いだせる
音楽を聴きながら勉強するほうが効率的?
勉強の体験は「記憶の保持」に影響を与える
「気分」は学習にどう影響するのか
マリファナを使ったアメリカ政府の実験
「強い手がかり」ほど思いだす効力が大きい
複数の知覚を関連づけるのがカギ
勉強の場所を変えたほうが思いだしやすくなる
手順や環境に変化をつければ「学ぶ力」は強化できる
第4章 勉強時間を分散する
一度に勉強するより分けたほうが効果的
「分散学習」は一夜漬けに勝る
なぜ分散効果は世の中に伝わらなかったのか
バーリック家4人の研究
世界一の外国語習得法とは?
分散学習のソフトウェア「スーパーメモ」の誕生
難しい題材を覚えるときの勉強法
試験までの期間に応じて学習間隔を変える
試験が1週間後なら1〜2日あけて勉強する
第5章 無知を味方にする
最善のテスト対策は、自分で自分をテストすること
テストには悲惨な結果がつきもの
テストを失敗させる「流暢性の幻想」
p124
脳の記憶を掘り起こす作業が大変になるほど、学習の力(検索と保存の力)が高まる。流暢性はこの方程式の裏返しだ。事実を簡単に思い出せるようになるほど、学習の力が衰える。勉強して覚えた直後に復習しても意味はない。記憶に何のメリットも生まれない。
テスト対策のスキルを高める「自己テスト」
「覚える時間」と「練習する時間」の理想的な比率とは?
p129
最初の1/3の時間を覚えることに使い、残りの2/3を暗唱の練習に使え
ゲイツの研究を進展させたスピッツァー
テストをする最高のタイミングはいつか?
どちらの文章を多く思いだせるか?
実験で明らかになった「自己テスト」の効果
知らないことをテストする「事前テスト」
なぜ「事前テスト」が学習効率を高めるのか
テストはきわめて強力な学習テクニック
Part 3 解決力を高める
第6章 ひらめきを生む
アイデアの「孵化」が問題解決のカギ
パズルを使った「洞察問題」
頭に浮かんだアイデアを捨て、視野を広げる
洞察力はどのように生じるのか
問題解決の四つのプロセス
脳は休息中も問題と向きあい続ける
「孵化」段階でも脳はヒントを探している
「孵化」の助けとなる脳の2つの働き
「孵化」からひらめきを得るには?
忘却は問題解決にも役立つ
一歩引いて周囲を見回す
休憩は問題を解くための貴重な武器になる
第7章 創造性を飛躍させる
無から有をつくりあげる「抽出」のプロセス
「孵化」の適用範囲を広げる
「抽出」が創造性を飛躍させる
留学生ツァイガルニクが選んだ研究テーマ
人は、何かを割り当てられると完了させたくなる
p207
邪魔が入るという「刺激」により、その経験が記憶に残りやすくなる
「作業を完了させたい欲求は、最初のうちはうわべだけのものかもしれない。しかし、その作業に夢中になるうちに、本物の欲求が生じる」
「ツァイガルニク効果」と目標の関係
p209
ツァイガルニクの研究により、脳には目標に関して二つのバイアス(本能ともいえる)が備わっていることが明らかとなった。一つは、割り当てられた作業に着手すると、たとえ意味のない作業でも、それを心理的に目標に感じるようになるというもの。そしてもう一つは、作業に没頭しているときに邪魔が入ると、その作業が記憶にとどまる期間が長くなることだ。
喉が渇いていると何が目に入るのか
「ツァイガルニク効果」を目標達成に活用する
p215
「目標の達成に向けて行動を起こすと、それが最優先事項となり、知覚、思考、言動が突き動かされる」(イェール大学心理学者ジョン・バー)
「チャンスはそれに備えた頭を好む」(フランス人微生物学者ルイ・パスツール)
「チャンスはそれに意識を向けた頭を満足させる」(著者)
「抽出」の過程を可視化したダイヴリーのカリキュラム
p219
ダイヴリーは、自分の作ったカリキュラムが抽出(彼女は「孵化」と呼んだ)を妨げていると考えた。1本の小論を書くのに、学生に与えられた期間は2週間。そのわずかな時間で、廃棄物処理、デイケアが子供に与える影響、ドラッグの合法化といった難しく扱いづらいテーマを理解しないといけなかった。要するに、それらのテーマについて熟考する時間がないのだ。当然、抽出のために中断することも許されない。
翌学期のクラスでは、学期中に小論を6回書くという構成を廃止し、次々に講義で扱うことを変えた。構成は変わっても、学生には同じ量の文章を書くことを要求した。ただし、書く内容は以前とは全く違う。
まず、学期の終わりに一つのテーマで小論を一本書いて提出することを課した。ただし、その調査の過程において、5回の「事前課題」も課した。調査という経験そのものを文章にさせるのだ。秘湯は専門家にインタビューしたときのことを書く。一つは、小論のテーマのキーワードや、そのテーマで議論となっている場所を明示する。一つは、そのテーマの反対派の意見や反応について書く。また、調査の間日記をつけることも要求した。(中略)
こうした工程(事前課題と日記)を設けたのは、学期の最初から最後までずっと、小論のテーマを学生の頭から離れさせないようにするためだ。
立ち止まることから「抽出」が始まる
p223
創造性を助けてくれる天使や女神のささやきをもらっている人は誰もいない。抽出できるかどうかは油断のなさの問題だ。
抽出とは「意識下とも無意識下とも呼べない場所」でアイデアを漬け込むことだ(スティーブン・キング)
第8章 反復学習の落とし穴
別のことを差し挟む「インターリーブ」の威力
反復練習に対する根強い信頼
反復練習の効果を否定した「お手玉の実験」
p231
「変化を取り入れた練習が、運動スキーマ(一つのまとまりとしての動きの記憶)の初期形成を促進すると思われる」
変化を取りいれた練習が本番の応用力を高める
p237
「一つのことを繰り返し練習させないようにすれば、人は絶えず調整せざるをえなくなる。それにより、変化全般に対応する器用さが身に付き、ひいては個々の技術に磨きがかかる」
p238
子供のころ、練習では素晴らしいのに、本番になると平凡な成績しか出せない子が周りに必ずいた。
反復練習を重ねると向上のスピードは遅くなる
p241
「体系的に変化を取り入れた練習」
「分散効果」:勉強時間を分散させる
「背景事情を変える」
「覚えるために忘れる理論」
小さな差を行き来させる
邪魔を入れる学習は美的判断にも影響を及ぼす
学習の基本原則となった「インターリーブ」
p247
「インターリープ」:学習中に関連性はあるが違う何かを混ぜる
「インターリーブ」が数学の理解を深める
数学の問題を解いてみよう!
「インターリーブ」でアクシデントに強くなる
Part 4 無意識を活用する
第9章 考えないで学ぶ
五感の判別能力を学習に活用する
目利きは何を読みとっているのか
膨大な視覚情報から「チャンク」を読みとる能力
知覚した情報はどう区別されるのか
五感は自ら学習する
知覚学習の可能性を広げたPLM
学校で実証されたPLMの効果
自分ひとりでも知覚は鍛えられる
何も考えていなくても知覚は学んでいる
第10章 眠りながら学ぶ
記憶を整理・定着させる睡眠の力を利用する
謎に包まれた睡眠の世界
睡眠の無秩序を説明しようとする試み
「レム睡眠」の発見
レム睡眠とノンレム睡眠の5段階
睡眠をとると正答率が上がる
睡眠は学習テクニックの効果を増幅させる
睡眠の各段階で何が起きているか
睡眠とは学習である
おわりに ── 脳は狩猟採集を忘れていない
p326
集中している状態は、見た目的にも感覚的にも、世間で言われているようなものとは限らない。集中している状態には、休憩や気晴らしが含まれることもあるかもしれない。別のことが頭に浮かぶこともあるかもしれない。
p335
結局は、あなたのすることすべてが学習なのだ。
付録 ── 学習効果を高める11のQ&A
原注
索引
著者
ベネディクト・キャリー(Benedict Carey)
『ニューヨーク・タイムズ』紙サイエンスレポーター。
コロラド大学卒業後、ノースウェスタン大学大学院でジャーナリズムの修士号を取得。フリージャーナリストを経て、『ロサンゼルス・タイムズ』紙の記者として脳科学、医療、健康の記事を執筆。2002年にはミズーリ大学ライフスタイル・ジャーナリズム賞を受賞した。2004年より『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者となり、神経科学、精神医学、神経学、日常の心理学を主なテーマとして活動している。読者からのメールがもっとも多い人気記者のひとりで、25年にわたって科学と健康の記事を書き続けている。
訳者
花塚恵(はなつか・めぐみ)
翻訳家。福井県福井市生まれ。英国サリー大学卒業。英語講師、企業内翻訳者を経て現職。主な訳書に『決める』(ダイヤモンド社)、『世界トップ3の経営思想家によるはじめる戦略』(大和書房)、『米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方』(東洋経済新報社)、『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。
Posted by ブクログ
記憶に定着しやすい学習の仕方として、
学習する時に、場所や音楽など環境を変えながらやった方がよい。
勉強時間を分散させる。1日後、1週間後、1か月後、など。間隔を広くとると、長く記憶にとどまる。
流暢性の幻想に囚われないために、覚える時間と練習する時間の比率は4:6程度がよい。
自己テストや事前テストをすることが効果的。
思い出さなけばならない状況を作ることが有効ということ。
休憩を入れながら、取り組んだ方が解決を思いつきやすい。
途中でやめた方がよい。ずっと脳は考える。
ランダムに様々なやり方で練習した方が結果的に定着する。
PLM、知覚学習モジュールを活用して、五感を活用した方がよい。
睡眠も大事。
環境要因、生態学的要因、課題要因に有効に働く方法を示してくれている。
Posted by ブクログ
今までの勉強法を覆す本…かも?
ただ意外と人はその勉強法を無意識に実践している気がした。
場所を変えたり、いくつもの事を同時に勉強したり…。
人間の本能は間違っていないのだと感じた。
またこの勉強法にあたり、いくつかの研究、実験について詳しく書かれており、中には助長的で不要というレビューもよく見るが、個人的にはわかりやすく面白かった。
意外に単純な研究こそが発見なんだと思った。
なかなか世の中でどんな研究がなされてきたか…なんて知る機会ないじゃないか。
そういった視点からも多くの発見があった。
作者の目線も低くしているのか、大した脳味噌のない自分でも十分理解できた。
Posted by ブクログ
忘却には情報をふるいにかけるフィルター機能がある。
環境に変化をつける。つまりいつもの場所、静かな環境で勉強するのは非効率。
分散学習。一度に勉強するより、分けた方が効果的。
知識を確認するテストは学びを高めるツールであり、学力を測る手段でしかないと思ってはいけない。
事前テスト。学習前のテストは効果的な学習方法である。
睡眠は学習に役立つ。
思い出そうとすることは復習として効果的である。
インターリーブ。つまり複数のことを混ぜることは学習方法として良い。
自分の学習に取り入れる。
分散学習。時間や場所を変えることもよい。
Posted by ブクログ
効率よく物事を覚えるには、分散して勉強すること異なる環境で勉強すること。
こういった本のレビューなども、読み終わってすぐに書くのではなく、2.3日後に内容を思い出しながら書くと記憶に定着するのかもしれない。
また、思い出せない内容を踏まえて改めて本を読み返すそういった繰り返しが大切。
と言いながらも、ついつい他の本に手が伸びてしまうのですが。
Posted by ブクログ
脳はどのようにして記憶しているのかということから始まり、より効率がよい勉強方法を様々な実験の結果を元に導き出した本。 なかなか難しい箇所も多いが、今までの勉強方法からこれはよく記憶できたな〜という経験が、実験でも効率が良いことが証明されている、と書かれていて、やっぱりよかったんだ!と感じました。 特に大学受験に挑む高校生や、資格試験を受ける人にムダな勉強にならないよう読んでみてほしいと思った一冊。
Posted by ブクログ
脳科学に効率の良い勉強法を紹介する本。具体的な数字が書かれていたり、説明や引用が多く、とても説得力があった。ただ「説明はいいから方法だけ教えて」という人には長い。ネットに要約があるのでそれを見れば十分な気がした。ただそれぞれの方法に関して興味深い実験なども紹介されているので、根拠が気になる人は読んでみると良いと思う。自分は半分読んで満足したので全部は読んでいない。
Posted by ブクログ
脳科学の方面から、どのような時と場所と方法で勉強すれば効果があるのかについて書かれています。脳の働きというものを、どのように記憶と考え方の向上につなげていくのか。今までもこのような本は出ており、それと一部重なるものもあるのですが、具体的な例が豊富にあり、そのため分かりやすく、かつ楽しく読むことができました。またすぐに実行できるものが主で、日々の勉強に役立てることができることが多数あることが良かったです。勉強は無理してするものではなく、また諦めることなく続けていくことということかと思います。筋肉を付けるような気持ちで、脳を鍛えていくこと。その方法が学べるのではないかと思います。
Posted by ブクログ
学習における分散効果について
いわゆる記憶の力には保存する力と検索する力の二種類がある。保存する力は衰えることはないが、検索する力は強化していないとすぐに衰える。記憶した時の背景や環境を手がかりとして思い出すことも多く、例えば覚える時と同じ色調の紙に書く方が別の色調の紙よりも思い出しやすいし、BGMが流れている環境で覚えたことは同じBGMがあると思い出しやすい。ただし、BGMが違うと思い出す力はBGMなしと同じなので、あまり意味はないかも(Smith, Am J Psychol 98:591-603, 1985)
学習においては分散効果が重要になる。一気に集中するよりも何日かに分けたほうがよい。本書ではテスト、インターリーブ、睡眠の効果についても述べられているが、全て分散効果の一型とみなすべきなのかもしれない。一夜漬けは一夜漬けで意味はあるものの、あとに残らない。1−2日空けて反復すると一週間ほど記憶が残る。一ヶ月空けると一年残る。テストも有効で、三分の1の時間を覚えることに使い、残り3分の2を暗唱に使うのが一番効率よく覚えられる。
バドミントンのサーブの練習を調べた研究によると、同じ種類のサーブを続けて練習し、次のサーブの練習に移るよりも、複数のサーブをランダムに練習する方が上達する。他の運動でも同様の結果が確認されており、このように他の行為を差し挟むことをインターリーブという。インターリーブで印象的なのは、被験者は同じ練習を反復するブロック学習のほうをランダム学習よりも高く評価していたということだ。しかし、実際にはランダム学習のほうが効果が高い。ブロック学習による反復練習はすぐに技術が向上するような幻想を生みやすい。
ノートに線を引く、書き写す、すぐに反復する、などの受け身の行為は実際には理解を深める効果がないにも関わらず、自分が知っているかのような錯覚を起こす。(流暢性の幻想)
睡眠により記憶が定着するという知見も分散効果の一種ではないかという。
レム睡眠はパターン認識や創造力を必要とする問題解決、情動を伴った記憶に、Stage2は運動に関する学習に、SWSは陳述的記憶の定着に関係がある(これはSWS断眠の研究からもある程度確からしい)のではないか。だからピアノの発表会のようなスキルを必要とする時やパターン認識などが要求される数学の試験前などは朝寝をした方がよいというが、やや突っ走り過ぎか。昼寝はSWSとレムの比率が多く、一時間程度の昼寝は有効だというが、これも証拠はやや希薄。
Posted by ブクログ
勉強の仕方でその効果が変わることがわかったら、だれもがその方法を知り、そして実践したいと思うだろう。
この本で行っているのは効果が高い勉強法は復習をすること。そして自分自身の理解を確認するテストをする事。
また復習や自己テストを実施する感覚によっても効果が違う事などを各種の実験の結果をもとに紹介している。
本書は主に4つのパートからできており。
・脳細胞がどのように形成され、新しい情報をどう保存すかの説明
・情報を保持する力を高めるテクニックの紹介
・問題解決力の向上にいかせるテクニック
・テクニックの効果を高めるために無意識を活用する方法
特に2つ目の情報を保持するテクニックの紹介は今後自分や子供の学習に取り入れたいと思った。
分散学習:一気に集中して勉強するのと、勉強時間を分散するのとでは、覚える量は同じでも脳にとどまる時間はずっと長くなる。
試験までの期間によって最適な学習間隔は違うが、学習した翌日と1週間後に復習すると脳の情報保持の効果が高い事が理解できた。
そして切羽詰まった時の一夜漬けは、翌日の試験当日の記憶という点では分散学習と効果は同じだが、その記憶は長くとどまらないので長い目で見ると効果的な方法とは言えないことが理解できた。
流暢性:情報が最適に素早く処理し出力する能力の事。
その時言えた公式などは翌日以降も思い出せると信じてしまうが、人は忘れるという事実を忘れてしまい、これ以上勉強する必要はないと思い込む。
記憶は、受動的に繰り返されたことよりも、受動的に繰り返したことの方が強く脳に刻まれる。
例えば、何かを暗記しようとしてほぼ覚えたとき、時間をおいてから記憶をたどって思い出す方が、もう一度本を開くよりも効果が高い。
覚える時間と練習する時間(暗唱する時間)の理想的な比率は1:3
テストという形で勉強したことをすぐに思い返すことは、学んだことを記憶にとどめ易くするために効果的。
問題解決の4つのプロセス
1.準備:論理的思考または創造性が必要となる問題に奮闘している時間
2.孵化(インキュベーション):問題を一時的にわきに置いたときにはじまる。無意識な知的活動。問題そのものを一度構成する要素まで分解し再度組み立てるなど。
3.ひらめき:アハ体験を得る瞬間。解決策が突如現れる。
4.検証:ひらめいた問題が本当に問題解決に繋がるかを確かめる。
学習効果を高めるQ&A(興味があったものを抜粋)P336
・勉強のルールを設ける必要はあるのか?(勉強する場所を決めるなど)
決める必要はない
・勉強や練習に適量は存在するのか
どれくらい勉強するかよりも、どのように勉強時間を配分するかの方が重要
・詰め込みはいけないのか
必ずしもそうとは限らないが、詰め込みで覚えたことはあとから思い出すことが難しいという事を理解する必要がある。
・自分で自分にテストをすることは役に立つのか?
非常に役に立つ。自分の理解を試す自己テストは最も効果の高い学習テクニックの1つ
・授業で取ったノートの復習はどれくらい役に立つのか
復習の仕方によって変わる。ただノートを見返す受動的な方法ではなく、自己テストを実施するなど能動的な方法を実施する。
Posted by ブクログ
勉強と脳に纏わる、これまでに成されてきた様々な研究や話題を紹介するもの。
タイトルが釣りっぽいが、内容的には勉強のハウツー本ではない。
勉強する前にテストをしたほうが良いケースがある、勉強は静寂の中で黙々とやらないほうが良い、というのは個人的にはサプライズだった。
だいぶスラスラと読める内容になっている。
Posted by ブクログ
難しかったです。
スラスラ読めなくて途中で終わってしまいました。
翻訳された本は表現が入ってきにくくて難しい。
ただ,実験や理論を詳細に説明されていたので,ちゃんと読めればすごく有益な本だと思いました。
Posted by ブクログ
一度覚えたことを忘れる。しかし一度忘れたことを思い出す傾向もある。
映像、写真、絵、風景などと結びついていると、数日後に浮かび上がってくる。
2回目に思い出したほうが、よく思い出せる。
音があったほうが、記憶しやすい。
分散学習または分散効果。一度に学習するより、少しずつ勉強するほうが脳にとどまりやすい。
ジェームズメソッド=英語の学習法・五感を使って覚える。
二ヶ月空けた復習のほうが良く覚えられる。毎回が新鮮な記憶になるほうがいい。一度、思い出すために忘れる。
間隔をあけて復習する。
ふ化段階にひらめきが出る。
完了していない目標は、長く記憶に残る=ツイニガル効果。
チャンスは、それに意識を向けること。
何回も繰り返して練習しない。練習するなら、いろいろなことを練習する。人は対応を覚える。
同じ種類の問題を解くのではだめ。復習を兼ねてかつての問題もいっしょにやる。
Posted by ブクログ
『受験脳の作り方』の著者、池谷裕二氏が推薦していたので読んだが長い。巻末に索引があり、読みたい部分を選んで読めるよう工夫はされていた。
参考になったのは第3~5章と付録。特に3章を読んで「勉強の場所を変えたほうが思い出しやすくなる」と分かった。
池谷氏の本を読んでから、こちらを読むと理解が深まるのでは。他に学習法の本でお薦めを挙げると以下の2冊である。
①伊沢拓司『勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法』
②pha『人生にゆとりを生み出す知の整理術』
Posted by ブクログ
流暢性の問題、いつもの環境ならできる、にしないようになるべく多様な環境で勉強する。分散学習。1、2日後、一週間後、1か月後。
試験1週間後、今日明日(前日)、1か月後今日1週間後(試験前日)、3か月後今日2週間後(前日)、6か月後今日3週間後(直前)、1年今日1か月(直前)
暗唱。覚えるのに三分の一、残り暗唱練習。
対象について事前テストする。1問解くごとに正解を教えてもらう。従来のやり方で勉強する。自分に自分でテストする。猫に教える。
問題は早く着手する。まず行き詰るまでやる。無意識に任せる。
複数のことを混ぜて技量を練習する。インターリーブ。物事を判別する能力の向上。
割り当てられた作業は脳で目標化する。作業に没頭しているときに邪魔が入ると記憶にとどまり脳内リストの上位になる。
論文を書く。テーマのキーワード、議論となっている場所の明示。専門家インタビュー。反対は意見。工程を日記に書き留める。邪魔によって生じる、目標に関する情報を手に入れようとする意識。
ベトナム語のインターリーブ。復習、予習の単語調べ、音読。
練習問題を素早く解く。知覚学習。
身体技能は朝多めに寝る。新しい知識を覚えるには、深い眠りを取るよう早く寝て、早朝復習する。
わからない時脳は活動する。わからなくても辞めなくてもよい。
Posted by ブクログ
専門的過ぎない素人でも理解できる内容ですが、書き方が冗長的で読むのは少し疲れます。
付録の学習効果を高める11のQ&Aを先に読み、そこに書かれている事で興味のある質問と回答だけを読み、大雑把にそのQ&Aの内容を頭に入れて本文で該当するところだけを読む方が実用的でかつ内容が良く理解できると思います。
全てを理解する必要はないので自分の関心に応じてそこだけを理解して使える様になるだけでもかなりの効果が期待できます。
Posted by ブクログ
記憶、創造に有効な研究から、脳の活用方法を示している。
・記憶は、記憶することをまとめてでなく、時間を分けて何度も繰り返す。時間の分け方は、思い出したい日までの日数によって異なる。大体、次の日、3日後、1週間後、一か月後、と徐々に間隔をあけること。思い出すことを、再発見により情報が定着する。
・異なる場所(厳密には場所だけでなく、においや音でも問題ない)で勉強することで、特定の情報に紐づいて記憶される事柄が増え、検索に引っかかりやすくなる。つまり、思い出しやすくなる。キーホルダーと同じ効果。
・テストする。これにより、理解したことを、再現する過程でその情報の検索力が高まる。
個人的には、分散による2回目以降の勉強の前に、テストで自分が理解していないことを知っておくこと。でないと、2回目以降どこがわかってないかわからず、注意するページ・項目がわからず、理解の為の効率が悪い。
・流動性の罠には注意。文字を読んでいる状態で「これはわかる、読んだことがある」として理解できている気になってしまう。しかし、それは、再読を通して保存した情報を認識しているのに過ぎない。再読を検索の手がかりにしているのだ。
しかし、何もない状態で検索して、その情報を思い出せるかどうかは別問題。これが分かってないと、本を読んで理解出来ても、テストやそれを現実世界に適用する段階で検索に引っかからないことがほとんど。
「創造」
・ひらめきの為には、考えたいことについて徹底的に考える。その後、一度それから離れて別の情報に触れていると、ぱっとひらめく事がある。これを孵化という。
・孵化の適用期間が長くなると、抽出になり、より創造的な考えに繋がることがある。無意識の内に、完了していないタスクがずっと頭に残り、それに繋がる情報を探している。ツァイグル効果。
・反復学習は、特定のことの習得は早いが、同様の条件下でないと習得したことを適用するのは難しい。その為、複数のことを同時に習得するように努めることで、習得した事に応用が利くようになり、適用条件が増える。
複数の事を習得しないと、どういった条件にそれが適用できるかも判別出来ない。
数学がいい例。公式を覚えても、どの場面でその公式を使うのか判断出来ない。
・無意識の活用。
紐づけられた情報群の単位をチャンクという。
チャンク化された情報により、パイロットは操縦席の機器類の、複数の機器から成る異なる数値から、今おかれている状況を把握し、対応出来るようになる。チェスや将棋においても同じ。パターン認識を増やしていくことが大事。それにより対応できる局面が増える。
・睡眠はレム睡眠含む睡眠の深度に応じて、記憶を定着させる役割が異なる。例えばレム睡眠は運動情報等の感覚的な情報記憶に有効だが、第2段階の深度の睡眠は文字情報などの記憶に有効。
Posted by ブクログ
サイエンスライターが様々な調査や研究をもとに、脳の視点から見た覚えやすい学習法を提唱。受験脳の作り方とベクトルは近い。(実際に受験脳の作り方の筆者がこの本を推薦している。)
この本も奇をてらったようなことはほとんど書かれておらず記憶しやすい学習法や脳の使い方を書いている。
以下要点。(受験脳とかぶっているところははぶいているかも。)
記憶を強化するために覚える方法、時間、場所などは比較的変えたほうが強い刺激になる
いつも同じパターンでの練習はできたつもりになるため、いろいろな変化をつけるとよい。(これを本書では流暢性の幻想と呼んでいる)
テストをうけるのは力を試すのではなく、どこがでるかを事前に把握し、勉強の際の注意力を強化するため
一度やりかけてほおっておいても脳は頭の中で情報を整理するため、ひらめきが生まれる
様々な問題やパターンを変えることで応用力がつく
一般的な受験テクニックとして使われているものも多いが、なぜ有効なのかという理論的なバックボーンがわかると強いだろう。
難点として一つ一つの事項を説明するのにエピソードが長く、翻訳ものということもあってか、文章自体もややわかりにくいため、読むのが結構つかれるかも。