【感想・ネタバレ】ストーリー・セラーのレビュー

あらすじ

妻の病名は、致死性脳劣化症候群。複雑な思考をすればするほど脳が劣化し、やがて死に至る不治の病。生きたければ、作家という仕事を辞めるしかない。医師に宣告された夫は妻に言った。「どんなひどいことになっても俺がいる。だから家に帰ろう」。妻は小説を書かない人生を選べるのか。極限に追い詰められた夫婦を描く、心震えるストーリー。

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「致死性脳劣化症候群」という、複雑な思考をすればするほど脳が劣化し、やがて死に至るという不治の病に冒された妻。小説家という職業は、この病気と最も相性の悪いものだった。妻は書かない人生を選べるのか、現実に追い立てられる夫婦の行く末とは……
本作は、不治の病にかかった妻の物語であるside:Aと、side:Aを受けて描かれたside:Bの2部構成となっています。Side:BはSide:Aを描いた小説家のストーリーになっているのですが、最後まで読み進めると、Side:Aをフィクションとは思わせないような構成と、綺麗ごとでは片付けられないような現実の描写の生々しさが読者を引き込んできます。「実は作者の実体験で、ノンフィクションなのではないか」と思わせるほどの構成は圧巻です。何度も読み直したくなります。
有川浩先生の入門編としては少し重めかもしれませんが、面白いので是非読んでいただきたい作品です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

旦那と妻のニ視点で物語が進んでいくなかで、どちらからも愛をたくさん感じたし、結局なにが本当でなにがフィクションなのかわからないところも面白かった。
side:Bがすき。わがままを聞くのが生き甲斐ってところにすごく愛を感じた。

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2025年05月25日

匿名

ネタバレ 購入済み

単行本も持っているのですが、いつでも読みたくて電子版も購入。

何度読んでも泣ける。

見開きのページは胸がしめつけられます。

#エモい

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2021年05月15日

ネタバレ 購入済み

共感。

たしか、どこかのHPでなける作品ということでお勧めされたいたので、買ったものだった。
たしかに、じわっとくるが、どっちもだんなが完璧すぎて、あんな男がどこに転がっているものか、不思議に思う。

恋愛どうのというよりも、2話目の旦那の会社での浮きっぷりとか、それでもいいと割り切っている感じが自分と似ていて共感が持てた。

だんなが入院して事故の対応を第三者に丸投げしてることを親族から非難されても、その理由を親族に真実を告げなかったことも。
最近、それに似たことが身近であって、私も同じことを思って、同じことをした。
だから、貪欲に痛みも苦悩も自分たちだけのものにする、その屈折した気持ちがものすごく理解できた。

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2017年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

全体を通してSideAの方が面白かった。読んでいて、文体というか表現というか、内容よりも文章に価値があるような本だった。
またSideBでは、女性が夫を看取るのを避けたい気持ちから、落ちたら大変な怪我を追うような階段をわざと手すりを使わずに降りていく様子がとても印象に残った。自分も、大切な人が自分より先に無くなる状況に陥ったときに、後追いをしないで生きていけるのかと考えさせられる内容だった。
さらに知恵袋の解説で、ストーリー・セラーは、「もしかして有川浩の夫も...」と匂わせる形で二重の作中作を描いているという考察を目にした。これが本当に衝撃的だった。ここがいちばん面白いと思う。今のところネット上に有川浩さんの夫婦間にストーリーセラーのような事実は公開されていないが、本当のことを読者に匂わせるだけで、現実と小説の曖昧さが強調される最後の一文が衝撃的だった。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夫婦の絆にしんみりくる。
一つ目のお話は妻が亡くなり、2つ目のお話は夫が亡くなる。
お互いがお互いを愛し、心の深いところで繋がっていているのが文章からひしひしと伝わってくる。
切なさもあるけど、人に優しくなれるお話でもある。
どこからが本当なのか、明らかにならないまま終わるのも印象的。
不思議な読書体験ができた。

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2025年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本書の大きなテーマが「近い将来に身内が死ぬ」だと思う。夫婦や恋人、それに近しい魂の繋がりがある関係の人が死を宣告されたとき、自分はどう苦悩するのか。病気の進行を抑えられないもどかしさに苦悩し、死んだ後に声も顔もおぼろげになっていくことを想像して悲しくなると思う。
他人の死は自分の死より受け入れづらいことだと思う。自分が死ぬことは覚悟できるが、他人が死ぬことを許容できないのはどうしてだろう。現実味がないからだろうか。
AサイドもBサイドも幸せに最後を精一杯に生きていたと思う。病気にならなければと幸せな時間がもっと続いてはいたが、それはもしもの話である。2人は死を覚悟し、幸せに生き抜いたと思う。

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2025年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小説家の妻と読書家の夫という一組の夫婦を主人公にSideAとSideBで設定を180℃変えて綴られる涙腺崩壊必須の恋愛小説。SideAは妻がSideBは夫が病気で死に直面しながらどちらの立場でもお互い真摯に向き合い最後まで心から相手を愛しぬく姿が苦しいほど美しい。

私は全く内容を知らずに表紙に青いリボンをかけられてプレゼントみたいでキレイだったからという所謂ジャケ買いでこの小説を読むことになったけど実は私の彼はまさに奥様の病気が原因で死別していて読みながら私の知らない彼と彼の奥様の物語に置き換えてしまってなお一層色々な意味で胸が苦しかった。

私も人生の最後の時はこれほど愛してくれる人に側にいてほしいし逆の場合でも全く同じ気持ちで彼を看取ってあげたい。どこまでがリアルでどこまでがフィクションなのかが曖昧になっていてそこが作者の上手さでもあるわけだけど願わくばすべてがフィクションであってほしいと願わずにはいられない作品。

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2025年01月25日

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