あらすじ
地域のブランディングを成立させ、お金も地元に落とせるのは補助金でも工場でもなく、その地の“食文化”である。それこそが人材を育成し、雇用も生みだしていくのだ。ロングセラー『田舎力』の著者が放つ新産業論。
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Posted by ブクログ
第一章の失敗例の指摘は貴重だ。
自分の頭で考えずに他所の成功例や流行のキーワード、安易な政策に流れてしまうことが失敗の原因だと思う。
付和雷同する人物ばかり多く、自分の頭で考え抜き、信念を貫き通す人材がいない。
このことが、地域活性化をはかるうえで最大の問題だろう。
著者は文章に独特の勢いがある。広くおすすめできる一冊である。
Posted by ブクログ
主に、地域(田舎)の観光と食育についての話だった。
地域が衰退している。古い町並みは壊され、地域一帯となり何日かかけて見る場所がない。だから観光客はこない。イベントをしても一過性のもので、地域活性化に結びつかない。
「おいしい」「生産量日本一」では消費者はひきつけられない。
その課題を解決する方策を……という導入から入る。
(観光立国論を書いたデービッドアトキンソン氏と地域再生を民間から手がけ、行政のあり方の問題を指摘する木下斉氏の本の内容に似ているな、と思ったら、参考文献に彼らの本がずらりと並んでいるので、彼らの受け売りで書いている部分も大きそうだ。地域再生と日本の観光についての問題点を知りたいなら、この本より彼らの本を読んだ方がわかりやすく、納得できる)
著者の主張は、
・「おいしい」というだけでなく、様々な表現ができるような教育を子供達にすること。ながら食べではなく食べ物に向かい合い、その味をよく考える食べ方の教育。
・地域が一体となる観光をつくること(客観的な食べ物のおいしさの採点、町並み保全など)
・食べ物は「食べ方」と一緒に知らせ、本などにまとめること。
といったことだった。
外国の事例や日本の地域の事例などを紹介して、なるほど、と思わせる。
では自分の地域では何ができるだろう、と考えてみると……自分の地域でも食べ物の食べ方を本にまとめた組織があるが、仲間内の人が買っているだけで一般に知られてはいない。
教育という即時性がないものであると、最初に問題と指摘した一過性の食イベントと比較して良いと明確に言えない。
実際に、著者の主張で、タイトルの通り里山を産業ベースにのせられるだろうか……。
そもそも著者が産業にできているのか?と疑問になった。著者が介入したことで、地域の町並みはどう変わっただろうか、つくった本の普及はどれだけできて、出版前後で作物の売れ行きにどんな影響があったのか。著者の活動による成果数値はでてこない。
読んでいるときは、わくわくしたが、読み終わって一歩冷静になると、効果があるのか疑問に思った。