あらすじ
歴史上から姿を消した謎の民族ハザールに関する事典の形をとった前代未聞の物語集。キリスト教、イスラーム教、ユダヤ教の交錯する45項目は、通して読むもよし、関連項目の拾い読みもよし、たまたま開いた項目を一つ読むもよし、読者の意のまま。男女両版の違いはわずか10行。どちらの版を選ばれますか? 旧ユーゴスラヴィアNIN賞受賞。/解説=沼野充義※解説も男女両版に違いがあります。
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Posted by ブクログ
一ヵ月ほどかけてじっくり読み切った。
「石蹴り遊び」は子供の頃に読んだ本遊びだが、本書は事典の体裁。
ただし単なる思い付きや目くらましではない。
同じ唯一神を源流とする三つの宗教がいわば視点を成すので、並列することで大いなる相対主義を宣言するもの、
といえば仰々しいが、対立を笑い飛ばしてしまえる機構になっている。
実際各項目内の奇想を辿るだけでも愉しいし、色違いで比較すればするほどに切り口の違いが面白い。美味しい。
さらに時代を貫く生まれ変わりの物語はロマンチックでありミステリアスでありリリカルでもある。
ぜんぜん凶悪でも陰惨でもない悪魔の存在が素敵。
まえがき、付属文書、あとがきで全体像を把握してからがおすすめ。