あらすじ
ソクラテス哲学の核心にある「反駁的対話」の構造と意味を分析し、それがかれの倫理的信念といかに関わるかを考察する。さらに、この倫理的信念の彼方に現れる「無知の自覚」が、ダイモニオンの囁きと共に、なにか超越的なものを示唆することを推定する。
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Posted by ブクログ
著書を残さなかったソクラテスの思想、信念とはいかなるものであったのか、明快な論理で考察している。
正直教科書とか概説本を読んでいる限りでは逆張りやソフィストとの違いがよく分からないソクラテスなんだけど、徳をなし、善く生きるという哲学の核、超越的な「ダイモ二オン」への敬虔な姿勢が一貫してあることが分かりやすく示されていて勉強になる本だった。決して相手の反駁だけにとどまらない指針が見えたことでソクラテスへの印象もけっこう変わったと思う。徳、善といった概念は具体的にどのようなものが想定されているのかというところまで、弟子たちの思想を例示しつつ丁寧に踏み込んで考察されていてよかった。