あらすじ
【第3回ハヤカワSFコンテスト佳作受賞作】
地球を浸食しながら巨大化する異次元存在〈涯て〉が出現した近未来。
ある夏の日、疎開先の離島で暮らす少年は、転入生の少女ミウと出会う。
ゆるやかな絶望を前に、ふたりは様々な出来事を通して思い出を増やしていく。
一方、終末世界で自分に価値を見いだせない3Dデザイナーのノイは、出自不明の3Dモデルを発見する。
その来歴は〈涯て〉と地球の「時間」に深く関係していた――
現役ゲームデザイナーによる初小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
難しく書けば難しくできそうなことをライトに表現しているので読みやすい。あと、次元が複数あるわけではないので理解しやすい。もうちょっとノイのパートが多くてもよかったかな~
Posted by ブクログ
終末好きとしては外せない。本作では緩やかな滅亡を予感させつつ、それでいて日常が維持されている、そんなややもすると中途半端とも言える状態が維持されている。それでいて、明るい未来があるわけではないという閉塞感もある。オチはまぁ途中である程度読めてしまうんですが、ラストの切り方は結構好きでした。
Posted by ブクログ
なんとも表現し難い、というのが率直な感想。
ひとつの結末を迎えたといえばそのとおりなのだが、何の出来事も起こっていないとも言える。
気に入らなかった部分を先に挙げてしまうとすると、まずは文体。
「〜だった」という過去形が多すぎて、リズム感が悪い。
二つ目は構成。
この作品は、少年と少女のパート、老人が懐古するパート、ゲームクリエイターのパートの3つから成り、場面転換が多い。
それがやや苦痛だった。
私はゲームクリエイターのパートは不要なのではないかと思う。
書き方次第で、他の2つに集約できるはずだ。
良かったのは、少年と少女のパートで、子供らしいワクワクとか、ドキドキが伝わってきたところ。
それだけに、素直なボーイミーツガールが読みたかった。
結末は、始まったのに終わってない感じ。
それに、私は過去を思い出すことも美しいことの一つだと考えているので、ラストは人間の尊厳が奪われているような印象が強い。
ロマンチックSFかと思ったら、結構怖い話だった。
そうか、そう考えたら、あのラストで終わっていいのかもしれない。
Posted by ブクログ
〉あの夏、ぼくは子供だった。
〉半ズボンとビーチサンダルと、汗ばんだり乾いたりするTシャツだった。
〉世界の「終わり」が始まったのは、もうずいぶん昔のことだ。
〉つまり「涯て」が世界に現れたのは、ということだ。
ノスタルジック終末お仕事SF、かな。
球状の侵食異次元空間の進行を止めるために記憶を「思い出す」仕事をしている老人と、
その子供時代の少年、
それから老人の依頼を受けた3Dアバターデザイナーの青年。
三者の視点を交互に描きながら、時間の流れが世界とは違う「涯て」という存在について語る物語。
球状の異界が侵食してくるって言うと、「時の果のフェブラリー」(山本弘)とか「闇の中へ」(グレッグイーガン)っぽい。「正解するカド」の四角…は違うか。
あとネタバレになるけど、涯ての存在はやっぱりあの大きいアレが想起されますね。
ゲームデザイナーの著者による第3回ハヤカワSFコンテスト佳作入賞作品。
ハードSFっぽい読み応えと、読みやすさを両立しつつ爽やかで穏やかな読後感が素敵。面白かった!
今日発売の天冥の標の前に読み終わるかなと思っていたけど一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ
分かりやすい展開というか、小説にメリハリを求めてしまう俺にはちょっと物足りない作品ではあった。ただ、とても美しい小説だと思う。
思い出と意識があり、時間軸が現在と過去と未来を自由に行き来できる世界であれば、俺たちは永遠に生き続けることができるのだろうか?死後の世界とはそういうものなのかも知れない。
こういう小説はいつもの読書空間、布団の中とか通勤電車の中とかではなく、気持ち良く晴れた秋の日差しを浴びて公園で…みたいな環境で読んでみると、沁みるんだろうなぁ
Posted by ブクログ
SF。近未来。終末もの。
”涯て”の存在が一番の見どころ。
アニメ『DARKER THAN BLACK』のゲートを思い出した。
青春SFに分類したい。
あまりに抑揚のないストーリーだったが、読後感は悪くない。☆2.5。
Posted by ブクログ
ファーストコンタクもの(かもしれない)。優しい世界の週末が描き出されていて、世界の終わりが見えているのに悲壮感ではなく、ジュブナイル小説のようなみずみずしい感じが、この作品には漂っている。