【感想・ネタバレ】意味がなければスイングはないのレビュー

あらすじ

音楽は書物と同じくらい人生にとって重要なものという村上春樹が、シューベルトからスタン・ゲッツ、ブルース・スプリングスティーン、Jポップのスガシカオまで、すべての音楽シーンから選りすぐった十一人の名曲を、磨き抜かれた文章とあふれるばかりの愛情を持って語りつくした、初の本格的音楽エッセイ。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃんこ面白いです。村上春樹さんが、「僕は、この人の音楽、好きなんだよなあ~」というミュージシャンの事を、村上さんなりに心を込めて字数を重ねて語った評論、というよりは感想文、という趣な気がします。しますが、

なにが「エエなあ~」って思うかといいますと、あくまでも自分なりの感想ですが、村上さんが、自分の「好きだなあ~このミュージシャン!」と言う気持ちを、世の中の流れとか他人の評価とかを一切気にせずに、「俺は好きなんだよ。この人がとにかく、結局のところは、この人の音楽が、好きなんだよ」って、あくまでも個人の意見で語ってるところが、好きです。

音楽の歴史の流れ、とか、音楽史の中でこの人はこういう立ち位置だ、とか、あなたはこのミュージシャンをどう思うだろうか、とか、そのあたりは一切興味がない。ただ単に「俺は、この人の音楽が、好きだ」という思いだけで文章を書いていて、それでいて、その、何処まで突き詰めても村上さん個人の思いが、なんらかの不思議な普遍性を持っていて、なんらかのある程度の皆が認める説得力を持っていて、、どこまでいっても村上さんの独り言なのに、それを他の人が読んでも面白い、というポジションまで行っている、というところがねえ、、、なんだか凄いんですよねえ。

ただ、不思議な事に、村上さんの「若い読者のための短編小説案内」を読んでも、この本を読んでも、不思議な事に、村上さんの薦める自分の知らない短編小説を読もう!自分の知らないミュージシャンの曲を聴こう!とならない自分がマジ不思議。村上さんの文章が面白すぎて、その原典まで読もう聴こう、と言う気持ちにならないんですよ。俺、ダメやんか、、、とか思ったりもします。

きょうびのご時世ですと、なんせYouTubeという途轍もなく便利な文明の利器がありますからね。この本を読んで、村上さんが薦める音楽に興味を持った村上春樹ファンの方々は、ちゃんと、その音楽を聴きに行くのが正しい進み方だと思うんですけどね、、、そうならない自分がマジ困ったものだ。

いやしかし、村上さんが、ブルース・スプリングスティーンと、スガシカオについて言及しているのは、凄くこう、良いんです。良いんですよ。特にスガシカオ。スガシカオ、めちゃくちゃ、良いですよねえ。

0
2022年07月25日

「エッセイ・紀行」ランキング