あらすじ
日本サッカーが強くなるためのヒントは、体格面で世界との差を抱えながらも「世界最強」と称されるスペインのサッカーの中にある。本書では、FCバルセロナに所属し、コーチとして指導してきた著者が、「日本サッカーが強くなるための方法」を紹介する。
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Posted by ブクログ
決勝前ギリギリで読み終えました。
スペイン代表のサッカーのいわば模範であるFCバルセロナでのコーチング現場で働く著者の言葉だけに納得しがいがあります。
「日本のサッカーは『野球的トレーニング』によって育まれている」
日本は今まで「野球>サッカー」の文化だったのでそれがどのような影響をもたらしているかはハッキリわかりました。テクニックはあるが、それが実践的であるかどうかの問題だということ。ゴン中山はリフティングができないケド、ゴールを決める。それはテクニック意外に試合中生かせる技術をもっている、そういうことなのでしょう。そして野球とは異なり、小さい頃からポジションそれぞれのトレーニングを行っていないことも盲点らしい。随所に「確かに」と思うことが多く、いちサッカーファンとして日本の指導者のレベルアップを切に願います。
たぶん今日の決勝でも「体格が近い」ということでスペインと日本を比較するメディアはいるでしょう。それが間違っているとは思わないけど、この本を読めばなぜスペインが強いのか、日本とはこんなに差があるのかが分かります。
歴史を言い訳にしていないトコロにも好意をもてる本でした。
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面白かった。考えさせられるところもあった。
しかし、野球影響論には異論があるな。
野球が影響したっていうより、その背後にはもっと大きな
東アジア的学習文化みたいなものがあるんじゃないかな。
でも、総論としては納得。
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戦略的ピリオダイゼーション理論というのが耳新しい。サッカーは、カオス(予想できない複雑で不規則な現象)であり、ドリブルやパスそれだけを取り出して訓練しても、サッカーはうまくならない。「サッカーがうまくなるには、サッカーをすること」という一見当たり前の結論になるのだが、素振りやキャッチボールのような個別の要素を取り出して練習するのに慣れた日本人にはなかなか難しいのかもしれない。
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「テクニックはあるが、サッカーが下手な日本人」を以前読んでいたので、かなりかぶることがあることから、読むのが遅くなった。
基本的には育成年代で、日本とスペインというあまり体格的には恵まれていない両国が、歴史やサッカーに対する常識の違いで、どのように違ってくるのかをバルサの育成コーチである筆者の目から見てのまとめである。
サッカーは要素ごとに分割せずに、サッカーをすることで上手くなる。また、野球的文化に染まった日本の育成現場や、常に見られていないと手を抜く(逆に言えば、日本人は練習に真面目)スペイン人など、スペイン最高というわけではなく、スペインがこのように育成をすると今の結果がある。日本が育成を考える上でのヒントを指摘しますというスタンスだった。
オリンピックのU-23代表は、スペイン代表を破ったが、フル代表ではまだまだ力の差があると思う。育成のヒントとなって良い選手が現れてくれることを願う。
Posted by ブクログ
前半では、スペイン代表がユーロ2008を制すことができた理由、バルセロナのサッカーがあれほどの強さと美しさを持つ理由が分析されている。
ここまではごく一般的なサッカー批評の書籍の内容である。
この本の真骨頂はそれ以降、スペインにおける選手育成の話である。
大学卒業後、指導者を目指しスペインに渡った著者が見聞きしてきたことから、日本におけるサッカー指導の問題点を指摘している。
(野球的指導、システム論、ポジション適正の見極め、等)
そして、部活動中心の選手育成のシステムを、ただ欧州に習いクラブ中心に改めろというのではなく、現状の枠組みの中で、どのように良い方向に持っていくかを模索しようとしているところに好感が持てる。
最後にはモウリーニョが拠り所とする戦術的ピリオダイゼーション理論を紹介している。この理論が難解なであることも手伝ってか、尻切れな感じで終わっているのが残念だが、ページの制約上仕方が無いのだろう。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
サッカー・スペイン代表選手の多くは、実は日本人と同じくらい小柄だった!
「世界との体格差」を抱えながらも、2008年にヨーロッパ王者に輝き、2009年には国際Aマッチ35戦無敗という前人未踏の大記録を打ち立て、今や「世界最強」の強さを誇るスペインサッカーの中にこそ、「日本が世界で勝つためのヒント」はある。
FCバルセロナスクールの現役日本人コーチが、“小さな巨人”の強さの秘密を探り、日本サッカーの強化策を提言する。
[ 目次 ]
第1章 スペインはなぜユーロ2008を制することができたのか(体格差を補う戦術と弱点を補う精神構造;スペイン代表の躍進を促す国内サッカー事情)
第2章 強く美しいサッカーの源流・FCバルセロナの世界観(ヨーロッパ王座奪還の舞台裏;育成現場にあるスペインサッカーの秘密)
第3章 リフティングはうまいが、サッカーが下手な日本人(日本のサッカー;サッカーの本質)
第4章 日本サッカーが世界で勝つためのヒント(未来へのヒント;サッカーの本質を探る)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
網羅的ではないが、スペインサッカーをよく知る筆者が日本との違いをいくつか指摘。
特にサッカーが「石の彫刻」か「家の建築」かという話は、サッカー以外にも繋がる話で興味深かった。
デカルト以来の要素還元主義を基にした機械の時代が終わり、システムとして社会や組織や都市をとらえる生命の時代が21世紀だといわれるが、サッカーにもそうした考え方が応用できるということだ。
戦術的ピリオダイゼーション理論というのも要はそういうことで、サッカーはパスやシュートや個々の選手の能力に還元してとらえられるものではなく、11人の有機的な人間によって生み出される有機的なシステム同士が対峙するものだということにほかならない。個人もチームも有機的であり、それが「サッカーはカオスでありフラクタルである」という言葉に端的に示されている。
こうした考えがヨーロッパで戦術論が浸透している背景にある、というよりも、サッカーをより深く捉えているからこそ、要素還元主義では勝てないということを学んだというほうが正確かもしれない。
翻って日本のサッカーを取り巻く言説やトレーニングや解説者の発言を顧みるに、筆者も指摘するように、戦術に対する理解が不足しているように思えてならない。
かといって技術論を繰り広げるかといえばそうでもなく、やたらにアツい帰化ブラジル人などが日本で人気を得ている状況を見るに、日本人は寧ろ精神論が大好きなようであり、日本はヨーロッパより二段階遅れているような気がしてならない。
昔から言っているが個人的には根拠のない精神論は大嫌いである。
日本のサッカーが見ていてつまらないのは、そこに戦術的思考があまり見てとれないからではないだろうか(解説含め)。その点、ワールドカップのスペイン、ウルグアイなどは見ていて面白かった。
世界最高峰のサッカーは、スポーツが持っているライブ感、選手の立身出世物語・偶然に左右される悲哀、国・地域同士の威信をかけた戦いという要素に加え、他のスポーツにはないサッカー独自のスピード感、ボール1つで始められる極めてすそ野の広いスポーツ性、さらに上述の知的好奇心を刺激する仕組みが相まって、世界最高のエンターテイメントかつアートとして存在することができるのだろう。
Posted by ブクログ
日本サッカーの強化を目指してスペインに渡り、
10年以上もユース世代やより若い世代を始動する著者によるサッカー論。
確かにスペインリーグには、メッシをはじめ、
日本人以上に体格に恵まれない選手もたくさんいる。
国民性やサッカーの歴史にその原因を求める人も多いが、
実際にスペインで少年の指導に当たった経験から筆者は
日本ととスペインの大きな違いは子供の頃の指導体制だという。
筆者は「サッカーはサッカーをする事で上達する」という
戦術的ピリオダイゼエーション理論を軸に、
スペインと日本との環境やメンタリティの違いを踏まえて
新しい指導法を提唱している。
一番大きな要因はこのような世界を知る指導者が
日本には圧倒的に少ないという事だと思う。
いつか日本からチャビやメッシのような人材が育つことを願う。
Posted by ブクログ
日本人と体格が似ているスペイン人が何故ヨーロッパで一番強いのかを、サッカーを取り巻く環境やメンタル、等の土壌から解説し、
日本がするべきこと、そして可能性について書いている本。
サッカーはサッカーをする事で上手くなる。
前著書にも書いてあるが、これほど単純で説得力のある
言葉はないと思う。
Posted by ブクログ
育成年代の話が中心。
サッカーを上達するにはサッカーをしなければいけない。日本の野球式トレーニングは確かに効率が悪いかもしれないが、一流選手はその単調なトレーニングの中でも実践のイメージを持ってやっている。一概にどちらがいいかは難しいところ。
育成年代のコーチしてみたくなった。
Posted by ブクログ
著者はFCバルセロナで指導者の仕事をしている人。スペイン人も日本人と同じく身体が小さいのに世界を制しました。その秘密はどこにあるのかを解析します。その他、著者の体験などを綴っています。
ワールドカップ前なので、それに合わせて出版された
いろいろなサッカー本を書店でみかけます。
そして高揚する気持ちにまかせてそれを買ってしまう人、
それが僕だったりします。
本書の著者は、大学を卒業後スペインに渡り、子ども世代の
サッカーチームの監督・育成に長く関わり、
最近では福岡でスペインはバルセロナFCのサッカースクールの
コーチ務める人です。
スペインという国でのサッカーの位置づけ、国民性、
サッカーへの意識などの考察や紹介、経験論、
そして、海外で生活したからこそわかる、
日本という国でのサッカーの位置づけ、国民性、
スペインとの意識の違いなどが語られます。
しっかりと仕事をこなした人らしく、
手の届く範囲のことをしっかりと考えて実践してきた
ことが読んでいてわかります。
深遠だとは言えませんが、しっかりとした論理と哲学で
サッカーを見つめていて、具体的に物事を推し進めたり
アイデアをだしたりするための素材として、本書は有効なのではないかなぁと
思いました。
書かれていることは、まったくもって机上の空論ではありません。
地に足がついていて筋が通っている。それでいて、新たな発見を
読む人はするでしょう。考えを進めて、その結果、物事の裏側をも知ることになり、
それによって論じられる陰陽の整合性みたいなものも感じられますね…、
って、何を言っているかわかりませんね。
スペインにいるからこそわかるサッカー事情、育成論は読んでみる価値はあります。
それで、何故スペインなのかというと、
日本人と同じく体格に恵まれない選手が多いのに、ユーロ2008を制し、
FIFAランクでも1位になるくらいのサッカー強豪国だからなのです。
日本も真似できるところ、取り入れられるところはとりいれようというわけです。
そして、日本人のサッカーというものに希望も持てるというわけです。
次世代の選手を生み出す側の人が、これだけのことを考えていて、
なお根付かせようと努力してること。
提言していることは、サッカー会にとって、大きな朗報であると同時に、
プラスのエネルギーなので、サッカー関係者は本書を無視することなく、
大いに取り入れ、議論して欲しいです。
そんなことで、W杯前にサッカー本を読むのはこれが最後です。
Numberの別冊は読みますが。
集中して読んだことで少しサッカー眼が養われたような気がしています。
日本代表が好きなんだから、そういう時期があっても良いですよね~。