あらすじ
フランス留学時代に女でしくじり、帰国後も生来のヨソ者として暮らしてきた乾ケンジロウ。東京でのヒモ生活から遁走し、新潟で人生初の恋に落ち結婚するも破局。富山では偶然再会した大学の女友達に、美術館で盗んだジャコメッティの彫刻を餞別に渡し、逃げるようにして故郷の呉へ――。『異邦人』ムルソーを思わせる嘘つき男の、太陽と海をめぐる不条理な彷徨。著者の最高到達点。
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Posted by ブクログ
「ニート」収録作「あいなんていらねー」で語り手を翻弄するスカトロ男がいたが、彼のその後。
不思議な題名が気になるが、表紙にはカミュ「異邦人」(すなわちよそもの)、裏表紙には乱歩「芋虫」が刻印されているらしい。
そして絲山秋子ならでは、不在の人物こそが登場人物を操っていると、あるタイミングでふと気づかされる。
本書では弟だが、実は書き出しすぐに言及されていた。
ただしそれを初読時に感じさせることないほどにふらっと現れた語り手。
本が開かれたから現れたといえるほどに。
(まあ成田さんと別れてしばらくヒモ暮らしをしていたみたいだけと)
流れるように新潟に行き、好きになった女と結婚するが、「不愉快な本」(性)を預けきれない。
なぜなら彼にとって生は孤独で、性は孤独を際立たせる苦痛に他ならないからだ。
ちなみにいつも怒っているところにキュートを感じるというところ、とても「いい」。
相手の浮気を知り富山へ。
ここでジャコメッティに感動。芸術ってやつはお互いの魂が飛び出しちまうことなのか。言葉を捨てることの快さ。
たまったま再開した同級生が空き巣趣味に狂っていることを知り、衝動的に美術館から盗み出したジャコメッティをあげて、逃亡。広島は呉へ。
弟の死を知り、時間が止まる。
そして本の中へ入ってしまう。
書かれたコトになり、ボクを読むあんたと向き合っている。
筋だけを追えばなんということのない駄目男。
しかし方法に意識的で、知的で、深みのある小説。
Posted by ブクログ
最後が少し怖かったぐらいでイマイチよくわからなかった本だった。
物語も浮浪者みたいな主人公が自分の人生を語り口調で淡々と話しているみたいな内容。
内容自体もまぁ太陽が頻繁にでていたり昔関わった女性の話が度々出ていることから、過去の場所や出来事に囚われていないように見えてるが、本当は誰よりも囚われているんじゃないん?と思った。
そう考えると最後の主人公の行動が今までの逃亡者のような人生を、最後に本当に逃げないといけない出来事を起こすのをきっかけに逃亡生活みたいな人生を終わらせるためだったんじゃないかと思い少しだけ主人公の気持ちがわかった気がした。