【感想・ネタバレ】遺伝子組み換え食品との付き合いかた GMOの普及と今後のありかたは?のレビュー

あらすじ

遺伝子組み換え食品の現状と今後の普及、付き合い方を説く
近年、遺伝子組み換え食品(GMO:genetically modified organism)の普及が進んでいます。しかし日本ではその普及度合いがあまり伝わっていません。遺伝子組み換え食品については普及推進派、アンチ派による厳しい意見対立があり、冷静な論争ができない雰囲気になっています。
この本では、主に日本における遺伝子組み換え食品・遺伝子組み換え作物の変遷と現状、GMOに対してどのように考えれば良いのか、今後の課題などについて紹介します。これにより、GMOについてどのように考え、どう対処すればよいのかという疑問への答えを、読者自らが出すための知識を、多面的な観点から提供します。

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Posted by ブクログ

遺伝子組換え食品について、一般消費者がどんなことを心配していて、それに規制側や専門家がどう応えているか、コンパクトにまとめられています。
第5章の「日本人は遺伝子組換え作物とどう付き合うべきか」について、場合分けをした考え方は、私の頭を整理するのにとても参考になりました。

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2013年06月15日

Posted by ブクログ

 遺伝子組換え食品に漠然とした不安をもってる人におすすめ。何だか気持ち悪いという「イメージ」も否定せず,「科学」も紹介。結論としては,メリットは大で,安全性は十分確保されているとする。
 何だか得体のしれない物を「怖い」と感じる感情は,人間にとってまったく自然なもの。そういう恐怖は,進化の過程で有利に働いてきた本能だ。ただ,その恐怖が高じて,事実を誤認したまま遺伝子組換え食品を無闇に忌避する態度はちょっと考えもの。
 科学的事実を重視するなら,現在栽培され,消費されている遺伝子組換え食品は,メリットが大きく,安全性は高く,否定する理由は見当たらない。反対派は,過去の遺伝子組換え食品スキャンダルをあげつらって危険を訴えるが,当時告発された嫌疑は,現在では科学的に否定されてるものばかり。
 なので反対派が「科学」に立脚してGMOに反対するのは得策でない。というか,バカ丸出しっぽい。するなら「イメージ」が受け入れられないという主張をすべし。塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混合して中和すると,食塩水ができる。「科学」からはこれは飲んでもよいはずだが「イメージ」からは何とも気持ち悪くて飲めたものでない。
 日本のGMOの問題は,表示の問題が大きい。日本では忌避感情から(青いバラを除き)GMOは商業栽培されていないにもかかわらず,すでに多くのGMOが消費者の口に入っている。加工品等,表示義務がないものが多く,納豆や豆腐,味噌など,一目でダイズが使われていると分かるような食品にしか,非組換え原料が使われていないのが現状。GMO歓迎の人は高い豆腐を買わされて損だし,GMO忌避の人も知らないうちにGMOを食べていて損をしている。「科学」からGMOを許容する人にも,「イメージ」から回避する人にも,選択肢が与えられていない。
 一つ著者のスタンスで気になったのは,GMOは放射能と違うとして,放射能に汚染された食品は微量でも摂るべきでないとしてるとこ。GMOと違って放射性物質による汚染にはメリットがないからだと思うけど,もうちょっと生産者側の視点も欲しい。
 とはいえ,放射能汚染は許容できないとしている著者が,GMOについては安全と断言しているのだから,GMOについてはかなり安心してよいのだろう。でもまあ,豆腐も納豆も十分安いから,別に非組換えダイズを使ってくれてても個人的には構わないけど。

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2012年08月02日

Posted by ブクログ

すべからく情報というものは、一方向からの入力だけでは判断が偏ると思い読んでみた本。

著者はバイオテクノロジーの専門家であり、ITについても専門として関わっているようだ。本書の批判をすると、論点は「遺伝子組み換え食品は危険ではありませんよ」というものである。しかし、聡明な著者はもちろん一般の消費者が激しい心理的抵抗を持っていることは承知しており、直球の主張を避けたかったと思われる。膨大な傍証をあげ、時に二重否定的な論点を説いてみたり、「しっかりと議論が必要」と中庸な結論を書いてみたり、非常に迂遠な書き方をしているため、結局、論点がぼやけてしまって伝わりにくい。決して、著者の論点を単純に批判するつもりはなく、主張がぼやけた感じがしてじれったい、という点が不満として残った。

専門家の立場として、「遺伝子組み換え作物に危険性がないことははっきりしている」そうだが、それがなぜなのかは説明が専門的になりすぎるからかそれほど詳しく書かれてはいない。学術論文のようなものを読まされても仕方ないと思うが、物足りなさを感じた。

また、例えば、途中はさまれた不耕起栽培に関するコラムなどを読むと、不耕気栽培を自ら実際に経験したわけではなく、反論の予防のために、話として抑えておく、程度の内容。どうも実験室の中から研究者が理論のみを述べているようなステレオタイプな印象を持つ。

細かい点をあげつらうことになるが「生産面で大豆は遺伝子組み換えについて問題がない、なぜなら既にほとんど国内生産されていないから」という点も、生産国が自国の都合で一方的に輸出をストップできるリスクは無視できないリスクであり、経済モデルからの観点を少々、失しているように思える。

本書のような書も必要だとは思う。ので、読んではみたものの、説得されるということはなかった。

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2017年04月28日

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