あらすじ
〈あなた〉と〈私〉……名前すら必要としない二人の、密室のような恋――幼い頃から自分を大事にできなかった主人公が、恋を通して知った生きるための欲望。西加奈子さん絶賛他話題騒然、至上の恋愛小説。
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Posted by ブクログ
「出会ったとき…ちょっと堅苦しい印象を受けた」
「君が席を立って…後ろ姿が綺麗だということに気付いた」
「君が戸惑ったようにこちらを振り返った…ふっと力が抜けたように微笑んだ」
「まるで世界から救われたみたいに」
僕もこんなふうに話してみたい。
この先、望むべくもないことだけれども。
読ませるなあ、と第一印象。興味深くて、僕の好み。登場人物のイメージが、なかなか浮かんで来なかった…これは僕の責任だろう。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ好き。最初はいまいちのれないな〜と思ってたけどだんだん「良いかも」と思い始め最後には「良い……」となるスルメイカのような小説だった。
正直この作品が世間で大ヒットといかなかったのは納得だけど私はめちゃくちゃ好き。解説にあったように「恋」を描いているので若干文学の香りが強いような気がするしキャラクターの濃さみたいなものとか二人の過去についてとかはあまりないので、まあ一般ウケはしなかったんだろうなと。そこまで劇的な出来事もないしね。
けど私はめちゃくちゃ好き。切なくて切なくて、島本理生さんの本を読むのはこれで五冊目だけどこの本はかなり切ない。
ままならねえ二人の切ない恋といえばナラタージュもそうなんだけど、あっちのほうが社会的な立場とかもあってわかりやすかった。この作品は本当に二人だけの世界、二人にしかわからない事情って感じで、「人間と人間」を描いてる感じで本当に好きだ。島本理生さん謹製の「自分を大事にしない女×悪い人じゃないのにどこかずるい穏やかに見えて曲者の年上男」はマジで「そうそうこの味!」って感じだった。これ食べに来てたんですよ。
登場人物が全員不器用で、普通の暮らしをしているように見えてどこか歪んでて、とにかく「人間」って感じで良かった。みんな苦しんで生きてる。なんだかうまくいかない。
結局主人公はずっと本音を言えないままだったのだと思うし、男の人の側も好きだけど弱さを抱えてて、好き同士ではあるけど本当に色々な事情がありすぎてどうしようもなかったんだと思う。本文中にあったようにまさにボタンを掛け違えたような恋だ。切ない。
いつもながら文章全体の雰囲気がおしゃれで、華美すぎないのにハッとさせられたり見惚れちゃうような地の文は最高だ。島本理生さんは地の文からセリフまで全部味わい深くて良い。世界観の統一っぷりが凄まじい。
うまく言えないがとにかくよかった!好き!!
世間での評価と自分にとっての価値は必ずしもイコールではないということをしっかり再確認できた本!!
Posted by ブクログ
どうせ劣化の速度なんて微々たる差だとあきらめて、それは、そっくりそのまま、自分自身への扱い方に通じている気がした。
ぜんぶ自分が悪いだなんて、ぜんぶ自分が悪くないと言っているのと同じことだ。
Posted by ブクログ
恋愛しているときの、辻褄が合わない感情と行動が溢れていて、思い出される後悔とか恐怖で読みながらじわじわと追い詰められる感じかしました。
強くなりたい、でもそのままでも受け入れられてしまう。一方、わたしの葛藤が何故か私を安心させてくれました、悩むのは私だけではないと。
「あなたが、どんなに私を追い詰めるようなことをしたって、それは追い詰められる私の問題であって、あなたのせいじゃない」
自分が感情をコントロールできていないせいだって分かっているけど、苦しいんだよって気持ちだけでも伝わってほしい。そんな自分の幼稚さを見せられてはっとさせられた一文です。
Posted by ブクログ
「日本は、生きている人に厳しくて、死んだ人に優しい国ですね。私、テレビのニュースを見るたびに、そう思うんです。」
こんな風に記憶が溶けてぬるく混じり合う文章が好きです
どうしようもなく救われない恋の話。
Posted by ブクログ
大好きな島本作品。同じく大好きな西さんが「私はもう恋愛小説を書かない」と言うほどの作品とはと思い購入した。
島本さんの作品らしい展開ではあるが、難しかった。恋愛は二人で100ということを再確認した。同様にある作品を思い出させた。大学のゼミで精読した、ウィリアムフォークナーの『響きと怒り』だ。
2つとも、現在の話と過去の話が交錯する。『響きと怒り』の方はそれを分かりやすくするためか普通のフォントとイタリックで分けて書かれている。しかしこの作品はそれがない。尚更難しいと感じさせた。
作品中で「私」は、子として、恋人として、そして愛人として数多の苦しみを抱く。手首を傷つけながら。彼女が求めているものは何だろう、そう思いながら読み進めた。
後半、今まで「あなた」の方が思いが強かったのが、直樹との別れもあるのか逆転する。そして「あなた」は離れていく。胸が痛んだ。恋愛はなぜこうも報われないのかと強く感じた。
『一度でいいからなにも奪われずに底なしに甘やかされたかった。でも他人と比較するから眩しすぎて実態が捉えられないだけで、実際はこの世に底なしに甘やかされて育った人間なんていない。もしそういう人かいたとしても、それが幸福なこととはむしろ言い切れない。それも分かった上で捨てられない幻想を大事に抱いていたくせに、その感情を口に出すことすらできなかった。私だけを見て。いつもここに帰ってきて。私だけを選んで愛して。子供のように泣きながら、あなたに素直に言えば良かった。』(本文159貢より)
ここが彼女の本心のように思えた。彼女は本心をさらけ出しながらも、遠慮している。何て謙虚なんだ。何て生きづらいんだ。そう強く思った。同時にこの言葉に強く動かされたということは、私もこう思っているのだと気づかされた。涙が溢れた。
書きながらも、私はこの作品を理解できていないなと痛感した。もっと様々な作品に触れ、そしてこの作品も再読し、理解を深めたい。