あらすじ
嫌いなことはやらない。商談よりも食事が大事。空気は読んだことがない。それでも、結果が出るのはなぜなのか――。怠惰で陽気で適当なのに、ファッションから車まで、独自のセンスと哲学で世界の一流品を生み出している国イタリア。彼らの秘密を、日常のさまざまなシーンの行動・価値観や「イタリア人あるある」から、軽妙にひもときます。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
イタリアと日本では、(そしてイタリアとフランスでも!)時間や仕事、計画といったコンセプトがいろいろ違うということが分かり、納得しました。
自分の感覚を大事にし、自分の生活の余裕を優先する…
また、そんなイタリア人の良いところだけではなく、問題もあるということ、それ等がどうつながっているか、ということも理解できてとても興味深かったです。スリの多さや規則が機能しない実情など、社会の両側面を伝えられているところも説得力がありますね。
何事もバランスが大事、と言葉で片づけるのは簡単ですが、
一番優先すべきことを間違えず、あるいは本来優先すべきことを口に出せない場を生み出してしまっていないか、定期的に振り返り修正することが大事そうですねー。そしてそれは、他の文化圏でいらっとしたことや違和感、考え方の違いをきっかけとして、自分のもっている概念について考えることからも始められる、ということなのかと思いました。
Posted by ブクログ
2011年に東日本大震災があった。避難を余儀なくされた人々がたくさんいた。国内外の視察団の人々が現地に入ったが、「住めなくなったなら別の場所に住めばいい。どうしてここに固執するのか?」
という発言があったと、新聞で読んだのを覚えている。たしかにそうだ。合理的だ。引っ越せばいい。
でも、それだけではないものがあるんだと思った。
この本を読んでて、それを思い出した。
「東北魂」ってことを耳にすることがある。
なんかあると「同じ東北人」だと助け合ったり応援する姿をよくみる。
もしかして、イタリア人は、こういう感覚を持っているんじゃないかなあ。似てるんじゃないかなあ。
どこの出身?ってことを必ず聞くらしい。
自分の住む街に愛着がすごくあるらしい。
地方ごとに習慣嗜好特徴が違うって、まさに日本。東北、関西、大阪、九州、張り合ったり悪口言ったり、憧れたり。似てると思う。
コネ、義理人情、おやおや〜、日本的だわ。
もちろん、人によるってのはわかるけど、ざっくりまとめるとこんな感じだよ、っていうイタリア人のトリセツ。「空気は読んだことがない」笑う!
そうだよ、空気は吸うもんで読むもんじゃない。
イタリア人はサラリーマン的な労働には向いてない。決まったことをやって賃金をもらうんだから、賃金以上のことをしないのは当たり前。
感情移入できないと関心もてないし熱中できないのは、そりゃそうだ。でも、いいものをつくりたい、仲間や家族と力を合わせてやろう、楽しい、というときは一生懸命に働くし向上心も高い。
これって、「やりがいが欲しい」とか言うのと似てない?
キッチリ段取りつけて予定たててシミュレーションして完璧を目指す日本人は、いつも緊張している。ちょっと予定外が起こると対応できない。
イタリア人は、その場で臨機応変に対応できる。
綿密な予定はたててないから。出たとこ勝負。
目の前のことに、最も簡単で楽な解決策をとろうとする。そして、粘り強くやり切る。
旅行に行く時、ホテルも交通手段も食事も観光も、
何時にどこにいき、これをみて、ここで食べて、
ってキッチリ決める人がいる。実は私はコレ。
せっかく行くんだから失敗したくない、実り多くしたいと思う。予定通りに行動する。ガイドブックなどで事前にみて知っていて、そこをたどってる感じ。わーすてき、写真と同じね。これが日本人。
かたやイタリア人。京都いこう!ホテルと飛行機は予約するとして、あとは行ってから考えよう。
ガイドブックは持ってるけど、行く途中に面白そうな看板があると寄り道する。こんな道あるよ、変わった建物あるよ、なんかオシャレなお店あるよ。
清水寺には行けなかったけど、初めて見るいろんなものにワクワクドキドキして楽しかったね!
このぐらいの違いじゃないかなあ、と思う。
どっちがいい、ってことじゃないけど。。。。
日本人て、人がどう思うかばかり考えてるとこあるから、自分がどうしたいかだけで行動することがあってもいいと思う。言われた通りにするとか、自分で決められないとか、窮屈だと思う。
「なんとかなるんじゃない?」って考え方、日本人には必要だと思うし、それを日常的に持ってるのがイタリア人て気がする。
自分に甘いけど人にも甘いから人を許せる、って、
すごく生きやすいと思う。日本人は人に厳しい。
友達の友達は友達、頼っていけばいいって安心だ。
人間、完璧な人なんていないんだから、イタリア人はすごいってわけではない。困るとこもいっぱいある。でも「なんか面白いやつ」ってのは、友達にはいたほうがいいよね。
仕事柄、日本とイタリアを行ったり来たりしてる著者が、戸惑ったり困ったりしながら理解していったイタリア人。そして日本人へのチクッとした批判。
どっちにも愛情こもってると思った。
人生は楽しんだもん勝ち。笑ったほうが幸せ。
美しくてオシャレなものは、やっぱりステキ。
こんな生き方もあるよチカラ抜いてみ、って思える本でした。
Posted by ブクログ
日本にずっといると、自分の価値観や習慣が当然で絶対的な物のように考えてしまいがちだが、たまに違う国の価値観を知ると、心と頭が柔軟になっていく気がする。
イタリア人的働き方を読むと、映画紅の豚で、みんなで飛行機を作っている場面を思い出す。まさに、イタリアの職場とはあんな感じなのだろうか。
日本は、イタリアと比べると公共の場所でのサービスや流れがスムースで快適で行き届いているが、消費者もどこかで生産者(サービス提供者)であるという点を考えると、あまりにも快適すぎるサービスを当たり前のようにしてしまう風潮は息苦しく感じる。その点、イタリアでは気負う事なく楽しく働けるのかもしれない。
日本人から見ると、一見無秩序でルーズな国に見えるイタリアだが、社会的なルールの下にみんなの暗黙のルールがあって、表面的なルールは重視せず破っているが、ちゃんとみんなの共通認識のルールは大切に守っている。イタリアも秩序とルールがしっかり根付いている国なのだと気づけた。
やたら食事の時間が長いのも、そこにご飯を食べる以上の役割を持たせているからという点についても気づけた。
雨が降ると塩をかけられたナメクジのように元気をなくす、という姿には、かわいらしさを感じる。
Posted by ブクログ
遅れた人に合わせる。
イタリア人にとっての30分は世界にとっての1時間。
正確なルールに基づいて遅刻する。
好きなようにさせて結果を出させる。
ダメもと精神。馴れ馴れしく図々しく。
仕事とプライべートはわけない。
公私の区別が曖昧で労働時間の区切りも厳密ではない家族工房型の企業で
仕事に感情移入する。
公務員のように義務意識が高い大きな組織では能率が低い。
目標達成ではなく、過程を楽しむ。
抜群の発想やアイデアは寄り道や脱線から生まれる。
どんな状況でもそれなりに楽しむ。
理想にこだわり、高望みしても不満ばかりがたまっていく。
食卓で裸の付き合いをする。
コネを広げる舞台。
自宅への招待のほうが高級レストランより心のこもった行為。